古い映画にもかかわらず画期的な手法で作られた
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スタンリーキューブリック監督の2001年宇宙の旅。
1968年度封切りの映画でありながら斬新な映像と難解なストーリーで一世を風靡した作品。
2001 A Space Odyssey Opening in 1080 HD
こちらのシーンはあまりに有名。
映像もさることながらバックに流れるこの曲で度肝を抜かれた方も多いはず。
クラッシック音楽界の名曲
オリジナルはリヒャルトシュトラウス作曲 “ツラトゥストラはかく語りき”
この曲はシュトラウスが32歳の時の作品。彼は1864年生まれで 1949年まで存命だった。
彼の音楽活動は、作曲家としてよりは指揮者としての方が圧倒的に有名であったと思う。
カールベームやジョージセルの指導を行ったことでも有名。
同じ指揮者仲間でマーラーがいた。
私のアップした記事を参考にしていただきたい。
リヒャルトシュトラウスの有名な曲はこの”ツラトストラ”と”アルプス交響曲”になるだろうか。
映画にも使われた“かく語りき”の交響詩が、比較的若い頃の作品であるのに対して、”アルプス交響曲”は20年近く経ってから作品になる。
冒頭の記憶に残る音、豪快なオーケストラワーク。この曲の真骨頂と言える。
しかしながら”トゥラトストラはかく語りき“の曲の最後まで知っている人は果たして何人いるだろうか。
はっきり言ってこの曲の有名なのは冒頭部分だけである。後半部分が知られる事はほとんど無い。
実は最後まで聞くことがあまりなかったりする
参考までにこちらが全曲
R.シュトラウス: 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」作品30 カラヤン 1973
シュトラウスの野心作と言って良いのかもしれない。
自然に対する畏敬の念がよく表現されているように感じる。
映画の中では、シュトラウス違いだがウィンナワルツのシュトラウスの作品がいくつか使われていた。
2001: A SPACE ODYSSEY / 2001年宇宙の旅 1968
今、映像を見返してみても、音楽に乗って画面に現れる様々な特撮技術を駆使した映像は驚異的と言っていいだろう。
今のようにコンピューターを使ったCG処理などありえない時代だから。
映画を作り得る情熱とは
すべては円谷プロダクションがやっていたような特殊撮影と呼ばれる技術で作られていた。
並々ならぬ努力と熱意がなければ到底作り得ない作品。
原作はアーサーCクラーク
この当時のSF映画の主な原作に関わっていた超有名な作家である。
他にはこの作品の続編となる”2010年“
映画の映像と音楽がここまで絶妙にマッチした作品も少ないのではないか。
もともとは全く別のソースである。
しかし映画の中の音楽は作品の持つメッセージ性や美術的な価値に大きく花を添えていたと言える。
この映画の、科学ものとしての価値は、この後およそ10年経ってからスター・ウォーズや未知との遭遇といった作品が現れるまで、簡単には打ち破ることのできない大きな壁だった。
この作品は紛れもなくSF映画であるにもかかわらず、訴えてくるものは神の意志。
神がどのような気持ちでこの宇宙を創造しようとしたのかが描かれていたと思う。
その答えはこの作品の続編”2010年“で明らかになる。
この当時の最新鋭の宇宙物理学。つまり、この太陽系の中の木星の扱いである。
木星は宇宙物理学では、太陽になり損ねた星と言われている。
神は木星に太陽としての機能を持たせようと画策したのである。
” 2010年“の最後でそれが明らかになる。
まとめ
映画はSF作品の形をとっていながら、多分に宗教的な意味合いが強く、どちらかと言えばストーリーが理解しにくいきらいがあった。
言い方を変えればこの難解さが、作品の値打ちをさらに押し上げた部分もあるようだ。
最近のSF映画に見られる分かりやすさはこの作品の中には全く感じられない。
SF映画の形をとりながら、ストーリーはサスペンスやホラーのような恐怖も交えて、謎が謎を生む展開となっていた。
特に現実と夢との区別のない描き方は、映画を見る人たちを悩ませるのに十分な演出だったと言える。
スター・ウォーズや未知との遭遇もこの作品の精神的なバックボーンを微妙に踏襲している気がする。
この映画から芸術の新たな分野が生まれたと言っていいだろう。
映画の歴史の中でも試金石となる作品であった。