くわちゃんの独り言

音楽や映画が大好きな爺さん。長年の経験から知りえたことを発信します。

歳をとることと認知症をもう一度考えてみる

 

認知症ってどんなもの?

一口に認知症といっても様々なパターンがあって、 100人いれば100通りと言えます。

年齢とも密接な関係があって、一般的に言われるのは65歳以上だと7〜10人に 1人、 85歳以上だと3〜4人に 1人が認知症と想定されています。

 

ざっくりとした言い方をすれば、老化と密接な関係があります。

 

実は、認知症は脳に何らかの病変があって起こります。

その病気は大きく分けると2つ。

 

 1つは変性疾患と言って、脳の中に広範囲に病気が現れます。

典型的なのがアルツハイマー病。そして最近注目されるようになったのが レビー小体病。

アルツハイマーもレビー小体も、脳の中に老廃物がたまることによって引き起こされる病気ですね。

潜伏期間がとても長いのも特徴です。アルツハイマー病だと25年と言われてます。

つまり70歳過ぎてアルツハイマー病になる方は、50歳前に始まったと言えるわけです。

 2つ目は血管系の認知症です。

昔からよく言われる”当たる”と言われる脳卒中がこれにあたりますね。

 個人的な話になりますが私はこちらの血管系のトラブルで3カ月間ほど認知症になった経験があります。

慢性硬膜下血腫。すぐには思い出せなかったのですが、庭仕事の最中にしたたか左側頭部をぶつけたんですね。それが原因で3ヶ月後には手術をしなければならない状況になってました。

 

慢性硬膜下血腫その後遺症

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慢性硬膜下血腫 退院後2日目位の私

 目次

 

 

2015年の6月の初めの頃に、私はしたたか左側頭部をぶつけました。庭仕事の最中だったんですね。大きな木の剪定作業中でした。

 

その時はぶつけた痛み程度で、その後特に何かを感じる事はなく普通に生活はできていたんですが、7月の中過ぎになるとだんだん話すことが自由にならなくなってきた気がするんです。

話を盛り上げるためにある程度相槌を打ったりとかしなければいけないんですが、気の利いた言葉がすぐに出ないために、黙ってしまうことが多くなりました。

 8月に入るといよいよ言葉は出にくくなり、話しかけられたことに反応しようとするのですが、簡単な会話ならば何とかなったのですが、複雑な内容になると話を理解することができない自分がいて、また、会話をしようとしても相手とタイミングが合わず、とんちんかんな発言をするようになっていたと思います。

8月の末ごろになると、うっすらと頭痛がしていた気がします。また、歩く時に右足を引きずるようにもなっていたと思います。と同時に、車の運転で妙なふらつきを感じるようにもなりました。

車の運転ではブレーキに素早く足を乗せることができず、ヒヤヒヤすることが増えてきたと思います。

日常生活では、言葉が出にくいことと、パソコンの入力が全くできなくなっていることにも気が付きました。

もともと文字入力はブラインドタッチで普通にできていたのですが、何をどう動かしていいのかわからなくなっている。また当時携帯を持っていましたが、メールを打ててないんですね。どうやっていいのかわからない。

この状態で、さすがに少しおかしいと思うようになり、職場の先輩やボランティア仲間の先輩に相談したところ、今すぐ病院に行けとの事でした。

仲間の勧めでは、旭川の日赤病院の脳神経外科が私にはふさわしいとの事でしたので、 9月に入ってから確か夕方の5時半ごろでしたかね、時間外の窓口にお願いしますと言って入ったわけです。

そこでも病院内でどこに行っていいのやら全くわからず、通りすがりのドクターに助けていただいた記憶がありますね。

調べてもらったところ、私の左側頭部の中にはかなり大きな血腫ができていてすぐに手術が必要とのこと。

その日のうちに、側頭部に穴を開けて中の血を排出させる施術を受けることに。

中から出てきた血液は、後から聞いたところによると90 CCとの事でした。

私の脳は左側ですがこの90 CC分の血腫のせいで、様々な不具合が体に起こっていたんですね。

 ひと晩、低い枕で血腫からの出血をドレナージしたところ、症状は劇的に改善。

わずか三日間の入院で私は退院できることになったんです。

またあれだけ苦労していた会話もごく普通に交わせるようになり、ほとんど不可能に近かったメール作成で心配してくれた友達その他に連絡を取ることができたんです。

 6月の最初から9月の頭まで、実際に認知症の症状が出て苦しい思いをしたのは1ヵ月半ぐらいでしょう。

認知症関連のボランティアをさせていただいている

私は認知症関係ではキャラバンメイトの会に所属していて、認知症サポーター養成講座の講師の仕事をたまに受けることが。

 

そのせいで、認知症に関する情報は常にアンテナを張り巡らせて、様々な情報を得るように心がけています。

 

講師をする時の話のポイントとして、一般的なマニアルに沿った説明はもちろんするのですが、私の場合、期間は短かったですが認知症患者としての時間が存在しているので、その時の気持ちや、置かれた状況を可能な限り詳しく説明するようにしています。

やはり聞いていただくと一般的な話よりは、個人的な私の体験談の方が圧倒的に説得力があって、皆さん納得していただけるんですね。

実はこれも後日談になるのですが、認知症でトラぶっているときには自分が認知症だとは自覚しませんでした。

後から振り返ってみて自分がいつもボランティアで話をさせてもらう認知症患者そのものだったのではないかと少しずつ理解できるようになり、そうして状況が納得できるようになったんですね。

厳しい現実

現在認知症の患者は、これは推定の数字でしかないんですが日本だと軽く500万人を超えるはずです 。

ずいぶん前の情報になるんですが、認知症患者数462万人と発表されたことがあります。

もうあれからは随分経ちますね。これは平成23年の情報のはずなので、認知症の患者は増えることはあっても減る事は無い厳しい現実があります。

大きな理由があるのは、自分が認知症であることを自覚しない人たちがハンパなく大勢いることでしょう。

アルツハイマー病を始めとする認知症の病気は専門のドクターでなければ、診断はつかないのですが、その診断の元となる様々な判定にそれぞれの患者の日々の行動パターンがあります。

自分では決しておかしくはないと思っていても、実際は物忘れがひどかったり、おかしな行動をとってみたり、また人によって様々ですが大抵の場合感情表現が激しくなりますね。

ここで言う感情表現は喜怒哀楽の怒。怒りですね。怒りっぽくなると思います。

認知症の講座で中心的に話すこと

認知症の症状の中で中核症状と呼ばれるもとになる症状があります。

 1つは記憶障害と呼ばれる物忘れです。尋常でない忘れ方をするようになります。

認知症の物忘れと、普通の物忘れではその度合いが全く違いますね。

 

一般的に言われるのは今日の食事の内容を思い出せないのが物忘れ。

食事をしたかどうかも忘れているのが認知症。

 

認知症ではこのぐらい物忘れが激しくなります。

次に見当識障害と言って、時間的な感覚がわからなくなったり、ケースバイケースで着る物を変えなければならないのに、その感覚が全くずれてくるんです。

夏なのに冬用のオーバーを着てみたり、冬に半袖で過ごしてみたり、端から見ても絶対におかしな感覚です。

この見当識障害では、目の前にいる知人を認識することができなかったりもします。

自分の子供の顔を忘れたり、また連れ合いの顔を忘れることも。

 また、理解力判断力は低下することになります。

 2つのことを同時にできなくなったりすることもありますね。そしていつもと違うささいなことにも反応してしまって、次の行動ができなくなったりするんです。

また実際の機能が著しく低下するために、スーパーでの買い物や料理を作ったりなどということにも著しく障害が出ます。

冷蔵庫を開けてみて同じ品物がたくさん買ってあって並んでいるなんて言うのはよくない兆候ですね。

 

人間の心の働きはとても奥行きが深い

 認知症のサポーター養成講座で私が特に話をさせてもらう内容があります。

 

それは人間は知性と感性の両方で成り立つ生き物だと言うこと。

 

この2つは別々に存在はしているのですが、両方ともキャッチボールのようにお互いの働きを助け合いながら、その人の人となりを決定していますね。

 

知的な働きは、これは科学的な根拠をきちんと求める働きです。

例えば身長が何センチメートルとか体重が何キログラムとか、血糖値がいくらあるとか数字的なものをきちんと考慮する働きになります。

 

感性の側は、一言でわかりやすくいうと、好きか嫌いかの感覚でとらえようとする。

そして知的な情報に対して感覚的に感想を述べて、その時得られた感覚をもとに記憶の中にしまっていくわけですね。

 

どのような人であっても感性と知性は別々にあったとしても同時に働きます

 

例えば数学者のような知性の塊のような人たちでも、その知性を生み出すためのひらめきなどは、感性の側から得られているでしょう。

 

この2つの働きを別々に存在させて切り離せる事は不可能です。

 

認知症になるとこの知性の側に決定的な不具合が現れます

 

自分で経験してみてよくわかったんですが、知的な働きがうまくいかなくなったときに、私の感覚は、そのうまくいかないことに対して様々な理由付けをしようとしていました。

わからないこと、理解できないことも、そんなこともあるだろう位に考えていましたね。

車の運転の時も、明らかに不具合が出ていたのですが、私は自分の車が古い事のせいにしていたと思います。私の中にトラブルがあるとは決して思わなかったんですね。

またパソコンや携帯のメールができなくなったことも、疲れているからと勝手に決めつけていました。いつかゆっくり休むことができれば元に戻るはずだとそう思っていたんです。

 

個人的な差はあるとは思いますが 、知的な側に問題が起こった場合、感覚部分はその不具合をなんとか感覚で補おうとするようです。

 

この時にうまくいく場合はほとんどないと言っていいでしょう。

 

特に認知症になっている場合は、自分で頑張ろうとする感覚が逆に病状を進め、周りとの関係に軋轢を生じるはずです。

 

人の話が素直に聞けなくなるのも大きな特徴なんですね。

 

がんばって何とか辻褄を合わせようとするので、人の話をゆっくり聞いて理解するなんて事はありえないことだし、何よりも不可能になっているはずです。

 

平凡な対応の中にヒントが

認知症が社会に及ぼす影響は極めて大きいので、国も総力を挙げて対策に乗り出しています。テレビや新聞ではごくたまに報道される程度ですが、実際問題として国を揺るがせかねないとても大きな事件なんです。

私は認知症のサポーター養成講座をスーパーマーケットでさせていただいたことがあります。

その時の私の話なんですが、スーパーに認知症の人がやってきたとします。

その方は仮に中程度の症状で、少なくとも普通の生活を送るのは厳しい方だったと想定します。

その人にもよりますが、スーパーでレジを通さずに陳列した品物をそのままむしゃむしゃ食べることもあり得るはずです。

また品物を持ったままレジを通過せずに外に行こうとすることもあり得るでしょう。 

 この時に、一般人にするような万引きの人に対する対応などをしてはいけないんですね。

大抵一言二言会話をしてみれば明らかにちぐはぐなことを言い始めるはずなので、そこで認知症を疑わなければいけません。

大体の見当をつけて、日常の簡単な挨拶から相手の人がどんな人なのかを探っていくんです。

食べ物が好きか嫌いかとか、また、スーパーの店先では落ち着かないですから、裏の休憩室かどこかに入っていただいて、そこでお茶1杯くらいを差し上げて、その人の普段の生活とか名前とか連絡先等をうまい具合に聞き出すことですよね。

今、街中ではこのようなトラブルや、実際の患者さんはほとんど見かけないはずです。

認知症の症状の中に徘徊がありますが、こちらも社会的には重要な問題として受け止められているんです。

大抵の場合、配達業務を行っている人とか、郵便局、銀行などの様々な施設では認知症を想定した勉強会に参加した人たちが多いと思います。

そしてこの人たちは、一般市民を見守る運動に加入されている方が多いんです。

それとなく人々の生活を見守ることでしょうか。

新聞配達をされる方たちも、新聞がきちんと取り込まれているかどうかを把握することでそこの家庭の安否確認をする場合があるんです。

まとめ

認知症をめぐる様々な対応は、まず認知症を患った当事者の方、そしてその家族の形が1番ご苦労をされているといえます。

 

特にご家族の方は大変です。

認知症の症状の中に物忘れがありますが、そこからすぐに”物をとられた勘違い”が起こります。

自分でどこにしまったかを忘れていながら、誰かにとられたと騒ぎ始めるんですね。

よくあるパターンですが、その時に真っ先に犯人扱いされるのが、その認知症の方を普段、一心にお世話している親しい人が餌食にされちゃうんです。

一生懸命尽くしているのに泥棒呼ばわりされちゃうわけです。

 

実は認知症では、最もポピュラーな症状の1つで、症状が起こる前にあらかじめドクターやケアマネさんのような方から指導を受けるかもしれません。

他にも認知症の種類によって、様々な症状が出ます。

家族の方を中心に、こういった症状への対応で疲弊してしまうのが実情です。

認知症への対応は、片手間や小手先では不可能なので、まずしかるべき行政機関に相談をして、どういった対応が1番ふさわしいのかアドバイスを求めることですね。

 

 1人や家族だけで抱え込む事は極力避けたほうがいいんです。

 

おかしいと思ったり、違和感を感じたならば相談できる人を常日頃から周りに決めておくことがいいと思いますね。

 

今はささやかな近所付き合いでも、このような横のつながりが持てることによって、大きなトラブルも未然に防ぐいる場合があるんです。

 

特に病気そのものが、生活習慣病の中に紹介される位歩ピラーなものになりつつありますね。

 

アルツハイマー病などは、認知症患者の半数以上を占めると言われてますが、糖尿病と極めて近い関係があるんです。

体に病気が出たならば糖尿病ですが、それが脳に出た場合はアルツハイマー病だといったドクターがおりました。

またレビー小体病はパーキンソン病と非常に近しい関係があります。

 

今後の方針

アルツハイマー病等は今世界中で薬の研究開発が行われています。

もしうまい具合に特効薬ができたならば、これはノーベル賞クラスの業績と言っていいでしょう。

現状ではまだ開発には至っていませんが。

しかし、これらの特効薬を待つのではなく、認知症にならないための生活習慣も様々紹介されているわけだから、そういったことに注意を向けるのもとても大切です。

生活習慣病の予防で言われる様々な方策が認知症予防にもとても大きな効果があるとされています。

例えば、食べるものであったり、睡眠時間であったり、タバコ酒といった嗜好品の取り方など。これらのものに適正に配慮していくならば、少しは予防効果が期待できそうです。

自分で経験してみてわかりますが、リアルタイムの当事者は、認知症であることを理解しませんし、自覚しません。

普段から、友人知人と親しく交わる習慣があれば、かなり高い確率で未然に防げるはずですね。

包括支援センター

こちらは各自治体の行政機関の中に必ず設けられています。

認知症の方を始め、様々なトラブルを抱えた方のためにどのような支援がふさわしいかを常に考えているセクションです。

自分の所属する地方自治体のどこにあるかを確認しておくのがいいと思いますね。

また健康に関する様々なサロンのような集まりが、どこでも広く行われているはずです。

これらはすべて行政機関が主導でやっているので、単純に電話で聞けばすぐに情報が得られると思いますね。

経験者である私が、1番納得できる対処方法は、いかにコミニュケーションを持つかに尽きると思っているんです。