クリント・イーストウッド監督であり主役であり
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イーストウッドは映画の世界では半世紀以上も活躍している重鎮である。
はるか昔にあったテレビ映画ローハイドの若いお兄さん役でも有名だった。
とにかくイケメン俳優だった記憶が。
俳優として様々な役柄をこなしながら晩年になってからは監督業もこなすように。
映画監督としても極めて実績があるわけだ。
どの作品も見覚えがあるのである。ハリウッドを代表する映画人と言っていいだろう。
特に私が感じるのは、年取ってからがさらに魅力を増していること。
ダンディーであり、また老いてますます盛んを地で行くような浮き名を流すことも。
決して衰えることのない情熱
老齢期になっても活躍できる人の一大特徴はそれは情熱だろうと思う次第。
情熱を持ち続けられる事は、そのことこそが才能だと言えるだろう。
イーストウッドは今年89歳になるまさに高齢者中の高齢者。
しかしこれだけの映画を老いてなお、制作できることが何にも増して素晴らしいのだと実感する。
おそらく、身動きできなくなるまで映画に関わり続けるに違いない。
そしてその映画は必ずや私のようなファンを満足させると確信するのである。
ヒラリースワンク 筋金入りのハリウッド女優
ヒラリースワンクの凄さは25才で最初のアカデミー賞の主演女優賞を受賞している。
最初の作品がトランスジェンダーの役。
ボーイズドントクライ
この作品で女性でありながら男性の心を持った少女の役で一躍注目を浴びた。
役者としては凄腕の女優。
SF映画でも活躍したり、様々な役柄を実に生き生きとこなしている。
最初のボーイズドントクライでも素晴らしい演技ではあったのだが、やはりイーストウッドと組んだミリオンダラーベイビーは彼女のイチオシ作品と言える。
ボーイズドントクライでの彼女の役
実は物語は女性のプロボクサーの話。
物語の最初の流れはあのロッキーを見ているようなサクセスストーリーの匂いがプンプン。
しかし作品の中ごろから後半にかけて少しずつ重い題材を取り込むように。
ヒロインのボクサーは家族との関係がうまくいっておらず、そしてイーストウッド扮するトレーナーも家族との関係でトラブルを抱えていた模様。
作品の最後の方で、実は映画には全く向かないと思われる題材が描かれる。
それは尊厳死に関わる話。
ヒロインの女性ボクサーは最後の試合で重大な事故に見舞われ、人工呼吸器をつけなければ生きていけない瀕死の重傷を負うことになる。
この重症を折った後、イーストウッドとスワンクは、まさに命を削るような極限の演技をすることに。
物語は、死を願う女性ボクサーをイーストウッドが万感の思いでその願いを聞き入れて命を絶つ。彼女の尊厳死を受け入れてサポートをする、そのような内容。
欧米はなんといってもキリスト教社会。たとえ半身不随の身の上であってもその命を断つ事は簡単に社会が受け入れられるはずもなく。
実は映画自体もこのシーンがあるゆえに、賛否両論の評価だったらしい。
しかしながら何度も見た目で言わせていただければこのシーンがあるからこそ、映画はそのストーリーに重厚さを併せ持っていたと言える。
名脇役 モーガンフリーマン
モーガンフリーマンは黒人俳優の中で重鎮と呼べる存在。
ハリウッド映画で黒人俳優は今や欠かせない存在。
その俳優たちの中でも、わたし的にはイチオシの俳優。
存在感で問うならば、この人の右に出るものはいないのではないか。
実はこの映画ミリオンダラーベイビーは、このモーガン・フリーマン扮する黒人のボクシングトレーナーの1人称のナレーションで進むのである。
最後の尊厳死に関わる難しい題材もそれぞれの俳優が過不足なく演じきっていたと言える。
まとめ
奇しくも今日、テレビではアカデミー賞受賞の生放送をやっていた。
今年の主演男優賞は、ラミマレック。
宣伝効果もあったし、ラミマレックがおよそ1年かけて作り上げたフレディ・マーキュリーも本人が乗り移ったかのような圧倒的なリアル感で画面で生きていた。
アカデミー賞の系譜は遥か昔までたどることができるが、受賞する作品や俳優たちはなんといってもまぐれでは受賞できないだろうと言う事。
風きりになる映画は毎年たくさんある中で、前評判ならばたくさん話題にも登ってくるが、受賞にまでたどり着ける作品、俳優は、本当にごくわずか。
このミリオンダラーベイビーは2004年の作品。この時30歳だったヒラリー・スワンクも今年はもう46歳である。
イーストウッドは90歳の1つ手前である。
映画好きを自称するならこの作品は絶対に外せないと改めて思う。
娯楽映画の要素を十分に含みながら、その本質は非常に重いマインドをさらりと表現した秀作であったと言える。