ジェームスキャメロンがどうしても作りたかった物語
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主人公のこの女の子。モーションキャプチャーで作ったCG画像なんだけど、とても作り物には思えない位リアリティーが。
ローササラザールが主役を演ずるにあたって 、格闘技のトレーニングをしたり様々な努力をしたと聞く。
画面を見ていて感じるのは、ディティールに至るまでの描写が実にこと細か。
肌のキメまでがしっかりと写っている。
このCG映像と実際の俳優の演技を組み合わせて、映画は完成された。
人間の顔の表情をロボットに組み込むやり方は、もうずいぶん前の作品にななるが、AIとか何年か前のエキスマキナがある。
今回のアリータバトルエンジェルは、実際の俳優の表情を入れ込むだけではなく表情そのものから目を大きくしたりする変化を加えて全く別物のキャラクターに仕上げていた。
原作者の画像を参考にすると、どうしても目が大きくなければ主役のアリータにはなりえないと考えたらしい。
木城ゆきとが原作
日本の漫画家、木城ゆきとは日本国内でもかなりの知名度があるのだが、外国ではひょっとするともっと有名なのかもしれない。
ジェームズキャメロンが最大限の賛辞を送ってこの作品の映画化を試みてずいぶん年数が経っていると聞く。
原作を再現しようとすると、どうしてもクリアしなければならないテクニカルな問題があって、ある程度の技術革新を待たなければならなかったようだ。
この漫画は単行本でも発行されている。おそらく読んだ方も多いに違いない。
作品の持つアイデンティティーは、感じるに日本の漫画文化の真骨頂と言えるかもしれない。
このタイプの日本オリジナルの作品を実写化する場合には、成功失敗が簡単に分かれてしまうのである。
日本では世界的に有名な漫画の実写化を外国資本で行った例もあるが、必ずしも成功には至っていないようだ。
アリータバトルエンジェルは封切られてまだ1週間なのだが、映画としての興行成績はかなり優秀と聞いている。
何よりも原作の持っている重厚なストーリーと、全く手抜きのないアクションシーンの連続が作品の価値をいやがおうでも高めていると感じる。
映像の凄さはピカイチ
メイキングでは撮影の裏側が公開される。
どんな作品でもそうだが作品の裏側は極めて過酷であると言える。
出来上がった映像は極めてシンプルでわかりやすいのだが、そこに至るまでは並々ならぬ努力が必要なわけだ。
作品をまとめ上げるには、役者もそうだが 何よりも優秀なスタッフの熱意が不可欠であると言える。
こうして作られた映像は、結論から言えば何の違和感もなく画面で見ていられるのである。
ストーリーはかなり重たい
実は物語のベースとなる時代背景は今から数百年後との設定である。
大きな戦争もあったり、また様々な事件があって人類は2つの世界に分かれて住んでいると言う設定である。
空中都市に住んでいる上層階級と、後は地上に住む言ってみれば敗北者のような人々が世界を構成していると説明されている。
アリータをめぐる 様々な背景があるのだが、彼女は基本自分自身の過去の記憶をほとんど持ち合わせていない。完全な記憶喪失では無いのだが、断片的にしか思いだせないのである。
この彼女が1人の人間として様々な経験を積みながら自分自身の本来の姿に目覚めていくと言う設定。
彼女はおよそ300年ほど前に作られた、最終兵器とも目される超高性能なサイボーグであった。
このサイボーグに関わるさまざまな出来事によって人としてのあり方を問う物語と言える。
アリータがであった様々な人たちは、残念ながら皆死んでいく運命にあるようだ。
心に向き合うときの様々な反応が物語のメインテーマとも取れる。
脇を固める有名な役者達
このジェニファーコネリーが、子供を失った母親の役なのだが、作品の中で重要な役割を果たしていた。
様々な映画に出ているので、知っている人はかなり多いと思う。
黒人俳優として最近特に様々なところで見かける俳優であるが、奇しくも今年のアカデミー賞では共演したヴィゴモーテンセンとともにツーショットで写真に収まっている。
ヴィゴモーテンセンは古くはロードオブザリングでアラゴルンの役をやっていた。
この頃から既にイケメン俳優として欠かせない人材だったと思う。
マハーシャラアリは、 アリータバトルエンジェルの中では敵役を演じていたのだが、
この役どころはなかなか難しく別人格が乗り移るシーンがしょっちゅうあって、役者として演技を使い分ける必要が。
一人二役と言ってしまえばそれまでだが、誰かにコントロールされて人格を奪われてしまう演技はそれなりに難しさがあるはずだ。
マハーシャラアリはいずれ主演男優賞を狙える俳優とみる。
最近は黒人俳優は女優もそうなのだが活躍するメンバーが多くて楽しみなことこの上もない。
こちらは最近公開された実話
まとめ
映画を見た感想を一言で言うなれば“納得して満足”である。
実は私はこの作品のオリジナルを読んでいない。
オリジナルがどれほどの作品なのか、そこは極めて興味深いところなのだが、とりあえず今日映画を見た感じで言うなれば“4DX3D “の持ち味がいかんなく発揮されていた。
座席が動くのはもとより、風、光、雨水、どれもが上手に組み合わされて、またずぼらな私は字幕を追いたくないので、吹き替え版を見ることにしている。
そうすれば字幕を追うめんどくささから解放されるのである。
最後に感じたのは、どうやらこの作品はこのまま終わるわけにはいかないようだ。
アリータは覚醒して自分自身が何者なのかを自覚できたが、その先にもついていくストーリーがあって、その事は描けずじまいである。
おそらくはジェームスキャメロンのことなので、あのアバターのように続編を作るに違いない。
また続編がなければこのまま作品が完結してしまうのも少し物足りなさを感じる。
決して壮大な物語と言うわけではないのに、作品の中に様々なエピソードが巧妙に仕込まれていて、作品をトータルで複雑かつ面白いものに仕上げている気がする。
とりあえず今はまだ封切られて1週間。
次回作以降の話も、あるのかないのかすらもわからないが、1連の上映期間が過ぎたならばまた新たな議論が湧き上がってくるのだろう。