くわちゃんの独り言

音楽や映画が大好きな爺さん。長年の経験から知りえたことを発信します。

改めて思い出す黒澤明の「生きる」

 

名優 志村喬

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市役所職員として描かれていた。志村喬の代表作品

目次

 

 黒澤映画と言えばすぐに思い出すのは三船敏郎だが、同時期によく出演していたのはこちらの志村喬である。

映画館での志村喬ももちろん知ってはいるが、一般的にはテレビドラマで知った人も多いのではないかな。

紛れもなく名優である。その演技力は実力派の俳優にふさわしいと言える。

この頃封切られた映画は「7人の侍」が有名なのだが、この「生きる」も実は長きにわたって大勢の人に支持された忘れられない作品と言えるはず。

市役所職員をしている主人公がガンで余命宣告を受ける

この物語は余命宣告を受けた退職間際の市役所職員の1連の行動を描いたものである。

市役所の「すぐやる課」に所属していた主人公は様々な住民の要望に応えようと奔走する内容だったと記憶する。

ガンで余命いくばくもないことを知り、また様々な人間模様の軋轢の中でストレスを抱え込んでいた主人公は死ぬまでの間に何か意義のあることを1つ成し遂げようと決意をする物語。

私の恐怖と闘いながら、また世の中への切ない願い思いを込めながら映画は淡々と話を進める。

黒澤監督は意外にも、コメディータッチの手法をとりながらこの映画を進めている。

思わず笑いだすシーンや、涙ぐんでしまうようなシーン。

後の世まで語り継がれる作品は、実はびっくりするような激しいシーンや驚くようなこともそれほどあるわけではなく、どちらかと言えば控えめな語り口で描かれているのである。

黒澤映画の真骨頂

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黒澤明と三船敏郎 驚くほどダンディーでかっこいい

このツーショットはレアな写真と言えるでしょう。

ちなみに写真の説明で、黒澤明は182cm、三船敏郎が175cmとあった。

サングラス姿の黒澤監督はよく見かけるのだが、昔の写真にはこのようなサングラスなしのものも結構あったりして背が大きい人のイメージは 、正直なかったですが、こうして見てみるととても長身でかっこいいんですね。

 映画の存在を知ったのは高校生の頃

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映画の代表となるシーン 最後の方で描かれる

このシーンを覚えている人は多いでしょう。

志村喬さんが雪がちらつく中でブランコをこぎながらあの「ゴンドラの唄」を歌うシーン 。

 代表的なシーンなので誰しもが紹介するのですが、実は映画を見ているとあちこちに印象的なシーンがちりばめられているんです。

志村喬さんがやくざを前にしてニヤリと笑うシーンとか1杯の水をもらってゴクゴクと飲みほすシーンとか私の記憶の中ではこちらも忘れがたいかな。

初めて見た今から50年近くも前の新宿の映画館

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20歳の私が知っている新宿歌舞伎町はこんな感じだったな

 20歳の頃、休みになると新宿東口からこの繁華街に出て映画館通いをした記憶があります。

この頃の映画館はロードショー封切りで料金が1000円以上はしていました。

私がこの「生きる」を見たのは記憶に間違いなければ新宿地球座の地下の映画館だったと思います。

ポルノ映画とかをやることも多かったと思いますが、映画館のオーナーの意向なんでしょう。きちんとした芸術作品を深夜のプログラムでやることがあったのです。

確かこの時私は入場料として500円払った記憶があります。

この時、映画館の入場料払うと帰りの電車賃を除いたあまりの金額が50円程度で、そのお金で何を買うか迷ったあげく、タバコのしんせいを買った記憶が。

今ではタバコを吸わなくなって35年以上も経つので、どうせ買うならアイスか何かにしとけばよかったのにと思わないでもない。
 

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最近になってミュージカルでも描かれるように

 映画「生きる」はミュージカルとしても描かれるのです。

主人公は興行の時間帯に合わせて 2人採用していますね。

長い公演をこなすとなると別々な俳優が演じたほうが体力的な負担が少ないからでしょうか。

この「ゴンドラの唄」がある故に映画の知名度が上がった気がしますね。

実は私が高校生の頃、確か日本史の先生だったと思うのですが、ほとんど真面目で冗談など言わない先生が生徒の質問に答えるうちに好きだった映画の話になって、若い頃見た映画で映画の中で歌われた主題歌がとても印象的で今でもよく覚えているのです。

そう言って、生徒たちにはやしたてられ、聞かせて下さいとの要望に応えて、自ら歌って聞かせてくれたのがこの歌でした。

私の記憶の中では歌の上手い下手ではないんです。こんなふうに映画の中の歌を最後のフレーズまでしっかり覚えていて、人前で披露する、そこまでその人を感動させる黒澤明の「生きる」と言う映画がいかほどのものなのか、そこで映画に対する好奇心がふつふつと湧き上がったのですね。

その時からおよそ3年ほど経ってから、私の願いは叶えられたことになります。

いい映画は時代を超えると改めて実感したわけです。

今テレビでやったとしてもほとんど視聴率も取れないでしょうから、採用されることもないでしょうが、もし映画が好きだと思う方ならば1度は見るべき映画だと断言できます。