くわちゃんの独り言

音楽や映画が大好きな爺さん。長年の経験から知りえたことを発信します。

ワーグナーの評判を考えてみる

 

 

リヒャルトワーグナー

 

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有名な肖像画

目次

 

クラシック音楽の世界では知らぬ者がいないほどの超有名人。

ドイツの作曲家ワーグナー。

驚くほどの才能とそして活躍の場が与えられ、数々の業績を残しつつも実は賛否両論の評価があるのも大きな特徴と言える。

ワーグナーの芸術に心酔する人々をワグネリアンと言うのだそう。

彼の芸術は音楽だけに留まらないが、一般的には作曲家として広く知られているのだ。

賛否両論を言われながら彼を愛して止まない人たちがいまだに世界中にいることがワーグナー芸術の大きな魅力と言えるはず。

彼の芸術作品は主として音楽に集約はされるがそれ以外でも多数の業績が残されている。

作曲家だけではない才能

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ワーグナーのサイン

 ワーグナーは音楽家だけではなく、思想家、文筆家としてもとても有名な存在。

ベースとなるものは音楽と言っていいのだが、彼の大きな特徴である楽劇と言われる作品たちはそのほとんどすべてが彼自身の書き下ろしの脚本に基づくのある。

ワーグナーは尊敬する作曲家として第一にベートーベンをあげている。

ワーグナーの言行録の中に、「自分より優れている作曲家はベートーベンだけ」といった件がある位、ベートーベンを尊敬していた。

またワーグナー家はもともとは音楽一家ではなかったのだが著名な音楽家とも親交があり、音楽大好きな家系だったようだ。あの「魔弾の射手」のマックスフォンウェーバーがよくワーグナー家に出入りしていたようだ。

彼はこのウェーバーが歌劇などの劇作に熱心であったことの影響を大きく受け、彼自身も歌劇の作曲からさらに発展した楽劇の作曲を手がけるようになったようだ。

特に中年以降は様々な楽劇を発表し、世の中に一大センセーションを巻き起こしたようだ。

浮き名を流す

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65歳と35歳

ワーグナーはいつも複数の女性と付き合っていたらしい。

生涯に結婚した女性は2人と聞いている。

その2番目の奥さんがコジマである。この時2人は再婚同士なのだが、実はきちんとした離婚届が提出される前に付き合いが始まってさらに子供も設けて、その結果婚姻関係を結んだようだ。

この2人には3人のお子さんが生まれたようだ。

そのうちの長男ジークフリートがワーグナーの後継者となって、歴史的に見ても大きな影響を与える存在となったのである。

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コジマと父親リスト

コジマはあのピアノの魔術師リストの実の娘である。この2人の肖像画が残っている事は後世の研究に大いに役立っていると思う。

この頃の著名な作曲家の中でもリストやワーグナーは親戚関係にあって、その当時のヨーロッパ世界が、こと音楽の領域に関してはそれほど大きくない世界だったのかもしれない。

と同時に、様々な芸術家たちがそれぞれに親交を結んでいたことも調べるとよくわかる事実である。

特にこの時代活躍していた、ゲーテ、メンデルスゾーン、シューマン、ブラームス、彼らは皆それぞれを意識しあっていたようだ。
 

その評価とは

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ワーグナーの長男の妻ヒトラーを熱心に支援していたことで有名

実はワーグナーの評判が2分するのにはどうしてもナチスドイツのヒトラーたちのことを述べなければならない。

ワーグナーはその生涯の中で、ユダヤ人と親交を持っていたのだが 、その過程ではじめの頃はユダヤ人たちと仲良く親密な関係を築きあげていたのだが、1850年頃を境にユダヤを批判する側に回るのである。

ワーグナーはその性格は非常に感情的な部分があり、調べるとかなりの浪費家でもあって、そして非常に弁が立った。リップサービスで様々な大言壮語を発していたようだ。

感情的な部分でユダヤを批判するようになってから、その批判はだんだんエスカレートすることとなって、その部分をワグネリアンであったヒトラーが大きく利用したのがことの真相である。

またナチスドイツはその自分たちのプロパガンダにワーグナーを盛んに利用したのである。

主な集会であったり、イベント等はワーグナーの音楽をことごとく利用しあたかも自分たちの良き理解者であるような印象を与えて人々を操っていった。

実はこのことからワーグナーの音楽そのものがマイナスのイメージを持って回ることに。

つまりワーグナー=ナチスドイツ=危険思想のような構図である。

ワーグナー自身はいっときの感情的なもつれのようなものからユダヤ全体を批判するようになったのだが、あくまでも言葉上のことであったようだ。

なぜならユダヤ人とおぼしき個人の人たちにはほとんど批判を加えることをしなかったばかりか、自分自身の楽団員をはじめ、才能あるユダヤの芸術家たちには積極的に親交を持っていたきらいがある。

およそナチスドイツの犯した様々な非道の数々には無縁のものと言っていいはずである。

しかしながら一旦ついてしまったイメージは、簡単に払拭できるものではなく、今でもイスラエルではワーグナーの音楽を公演する事はほぼないと言える。

ドイツ国内においても、ナチスドイツと無関係な旨をあらかじめ申し立ててから演奏するのが常と聞く。

個人の性格とは言え、ワーグナーの性格上のあえて言えば欠点から出たサビのようなもの。

ここまで大事になるとは本人を始め誰も想像できなかったはずである。

まとめ

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映画地獄の黙示録の冒頭シーン

 ワーグナーの音楽が私の中で1番大きく鳴り響くのは、この映画「地獄の黙示録」での最初のシーンである。

これはアメリカ軍が現地の村を空爆するシーンで、ヘリコプターのスピーカーから大音量の「ワルキューレの騎行」をかけて、作戦行動するシーン。

この部分が衝撃的だった気がするのである。

この映画は監督フランシスフォードコッポラの野心作である。

コッポラはこの映画の制作にあたってほぼ全財産を投じて、その時には破産状態にまで追い込まれたようだ。

ここで選んだ音楽は、ある意味「侵略」をイメージする。

戦闘シーンと相まって、映像は強烈なイメージで画面から伝わってきた。

ワーグナーの音楽は、私の場合、どうしてもこの映画と被ってしまう。

ワーグナー音楽の特徴

ワーグナーの特徴は、1つには雄大さ、豪快さが挙げられるだろう。

彼が目指していたのは総合芸術である。そして思想家でもある彼はユダヤに対する迫害や、キリスト教世界でのドイツフランスその他の役割を模索し続けていたと言える。

彼の芸術は、熱心な信奉者がいる位、魅力的なことには違いないが、いかんせん規模がとても大きいので、全曲を通しで演奏するとなるとそう簡単にはいかない。

莫大な時間がかかるのと、その準備も半端ないので、たいていは1部分を切り取って演奏されることが多い。

ワーグナーは当時パトロンとされていた人から支援を受けてバイロイト祝祭音楽劇場を創建している。

これはワーグナー自身が設計をし、自分自身の目標とする芸術を上演するための専用の施設と言える。

ワーグナーの亡き後は妻のコジマが受け継いだが、その後は息子や孫達の代に移り、今もワーグナー1族の親族が主催している。

リヒャルトワーグナーは自分自身のオリジナルのアイデンティティーを確立しようとし、様々な軋轢の中で生涯にわたって自分自身の芸術を追求していた。

様々な、賛否両論がある中で彼の芸術はなんといっても一流の評価を得ており、その評価は今後長きにわたって続くものと思われる。

ワーグナーと再婚したコジマの 2人の関係は映画にもなっている。

いずれチャンスがあれば映画も見てみたいものだ。