くわちゃんの独り言

音楽や映画が大好きな爺さん。長年の経験から知りえたことを発信します。

絶体絶命ってこういうこと アポロ13号奇跡の生還

 

最近見るテレビ番組の中で過去の様々なことを検証したものを視聴。

アナザーストーリーズで描かれたアポロ13号の事故の検証。

番組でも見たが、もちろん映画でも見ている。

実は、私が他の人とは違うなと感じるのは、私はこの事故の時、リアルタイムでテレビを見ていた1人。

アポロ11号の実況中継でとても感動したのだが、その後のアポロ12号は実はカメラの不具合があったとかで、まともな画像を送ってもらえることもなくがっかりした記憶が。

実はその12号の次の計画で、大いに期待しながらテレビを見たのである。

奇しくもその時私は高校2年になりたて。

 4月の13日で、新学期が始まったばかりと記憶している。

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アポロ13号のロゴマーク

目次

 

突然の事故

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実際の写真とシュミレーションの画像

アポロ13号が地球を出発して2日後の  1970年4月13日 月まであとわずかのところで事故が起こる。

機械船の中で液体燃料を撹拌するためのスイッチを入れたところが、爆発を起こしたのだ。爆発が起こったときは事態は正確には把握できず、宇宙飛行士たちは当初、隕石か何かがぶつかったと考えたようだ。

実際は攪拌スイッチの配線が何らかの原因でむき出しになっており、スイッチを入れた瞬間のショートが引き金になったようだ。

つまり燃料タンク内で火花が飛んで周り全てが爆発消失してしまったのである。

自体は極めて深刻。

  • 事故が起こったときに窓から気体が大幅に漏れていることを目撃
  • 事態から考えると機械船の機能は喪失している 
  • 事故が起こった位置は月へ32万km行ったところ(残り6万km)
  • 月から帰ってくるための方法を直ちに考えなければならなかった
  • 帰還するためには司令船の酸素が不足(10時間分しかない) 
  • 月着陸船を避難場所に使うためには何が必要なのか
  • 失われたのは燃料、酸素だけではなく電力も
  • コンピューターに新たなデータを打ち込む必要が
  • 宇宙船の操縦をすべて人力で行う必要が
  • 地球へ帰還するときの大気圏突入の角度

ざっと挙げただけでこれだけの問題が一気に噴出したのである。

事故の原因を正確に把握できたものは誰もいなかった。

宇宙飛行士たち3人の報告と、ヒューストンの管理センターにモニターされる様々なデータのみが頼り。

データが示す状況は深刻極まりないもの。

事故は機械船が全く機能しなくなったことを示していた。つまり機械船のメインのロケットは使えない(もし、ロケットを噴射したならば爆発した可能性が) 

この重大な事故の時にヒューストンが真っ先に考えたのはどのようにして宇宙飛行士3人を地球に連れ帰ることができるのか。

興奮したスタッフたちは、直ちにUターンさせて地球に帰還させろと。

しかし専門家に問い合わせたならば、それは絶対に無理との事。

機械船のメインのロケットが使えない以上、使えるロケットは月着陸船のみ。

 Uターンするには圧倒的にパワーが足りなかったのだ。

この時、軌道計算を行っていた26歳の女性“ポピーノースカット”。

彼女はコンピューターのプログラマーで大学の数学科を卒業していて、これらの計算にたけていた。

彼女の計算に基づいて、月着陸船のロケットを使ってスタンバイ方式ならば地球へ帰って来れると。

スタンバイ方式は今は宇宙探査ロケットの長期運用をする場合は、必ずと言っていいほど用いられる加速をするためのとても大切な方法。惑星の引力を最大限利用するやり方で、太陽系の中を探索する様々な衛星は必ずと言っていいほどこの方法を採用している。

このスタンバイ方式を採用したのは事故が起こってから1時間も経っていなかったのである。

とりあえず帰ってくるまでの方法を最初に決めたのだ。

地球へ帰還するために

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当時の管制室 採用されたのはスイングバイ方式

アポロ13号のドキュメントは映画にもなった。

映画ではトムハンクスが主演をして、当時注目を浴びた作品となったのだが、テレビの番組の中で語られたのは、様々なスタッフが関わっていて映画ではほんの数人で帰還を助けたような話になっているが 、実際は何万人規模でスタッフが関わったとのこと。

特に重要だったのは、月着陸船を設計製作したグラマン社のスタッフ。

彼らはNasaの職員以上に月着陸船の専門家集団だったのだ。

そしてグラマン社のスタッフがこの帰還作戦に加わることになったきっかけが、なんとテレビの放送だったのだ。

このときのテレビ放送は世界中で誰もが見ることができた。

リアルタイムではなかったが、日本でも1日に何回か放送枠があって私もその一部始終を見ていた記憶がある。重大な事故が起こったとの報告も早い時期に知っていたのだ。

たまたまテレビの放送を見ていたグラマン社の社員が、アポロ13号に何か重大な事故があったと認識。そこからあちこちに手を回してNasaの緊急事態に参加することになったのだ。

 Nasaでは帰還のための様々な作戦計画が練られていたが、月着陸船に関わる情報がどうしても説明書の中からしか得られないもどかしさがあって、計画の成功を阻んでいたのだ。

グラマン社がヒューストンの管制センターに持ち込んだのは月着陸船に関わるさまざまな実験データ。

いったいどのくらいの使用に耐えうるのかそのことを直ちにはじき出す必要があったのだ。

得られた結果は全体で4分まで、そして 1回分の噴射は 20秒以内。

つまりフルパワーで合計16回噴射可能と。

月着陸船のロケットは今までにない新しい技術が採用されている。

このロケットは噴射の強弱を自由に操れるのだ。

通常ロケットは1回噴射が始まると燃え尽きるまで連続噴射するしかないのだが。

そのことを根底から覆す新技術だったのだ。

しかし、これだけの優れた技術とは言え、コンピューターを使うことにはならなかった。

噴射は実はアナログで人間が行ったのだ。

今は、スタートボタンを押せばあらかじめプログラムに決められた通りの様々な噴射を始めとするプロセスが自動で行われるが。

この時はそうはいかなかったのだ。

このときの月着陸船の操縦は映画の中でも描かれていたが実は2人で行っていた。

縦横高さの3Dコントロールは1人では難しいのだ。

窓の外に見える目印の星を頼りに、1人は左右の方向。もう1人は上下の方向をコントロールしたのだ。

今考えれば離れ業だが、アポロ13号のプロジェクトには失敗の文字がつきまといながらも最後には成功する強運がついて回っていた。

帰還する前にはさらなる問題として月着陸船のエアフィルターの問題があった。

もともと2人用の宇宙船であるがゆえに、3人乗ってしまえば空気が限界を超えて汚れてしまうのだ。

そのことも実はNasaのスタッフが宇宙船にある道具を使って対応方法を編み出したのだ。

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月着陸船内に取り付けられたエアフィルター 苦肉の策

宇宙船にあるものでこしらえたとは思えない。しかしこれで命の危険は去った。 

残る問題は残された電力がどうしても地球帰還までもたないことが判明。

そのための方法は、何度もシュミレーションを繰り返してプログラムを作り上げた。

映画の中でも描かれていた乗組員ケン。

彼が献身的な役割を果たして、電力の残りの量を確保したのだ。

狭い宇宙船の中でおよそ3日半(87時間)、宇宙飛行士3人は命辛々生き延びた。

最後の難関は地球帰還したときの大気圏への突入角度。

わずかな誤差しか許されないと聞いた。

角度にしてわずか2.5 。

それよりも深ければ大気圏内で燃え尽きてしまうし、浅ければ大気圏に弾かれて宇宙の中に弾き飛ばされる。

この角度の中に宇宙船を導くことができたのは飛行士たちの優れた操縦能力によるところが大きい。

彼らは自らの能力で危機を乗り切ったと言える。 

まとめ

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無事に帰還 生命線となった月着陸船

生命線となった月着陸船アクエリアス。この宇宙船がなければ月着陸を目指す計画の中で致命的な人身事故が起こったはずである。

事故がどのように起こっているのかを判断できたのは、地球へ帰還したときに機械船を切り離した時。その時初めて外壁パネルが吹き飛んだ様子が確認できたのだ。

その後事故調査委員会が原因の全てを明らかにはできたが、事故の起こっていた最中ではその事は誰も理解せずに、必死の対応だけが求められていたのだ。

巷で言われるのはアポロ13号は「失敗した成功」と呼ばれる。

この時、13という不吉な数字を科学者たちは皆 タカを括って軽く見ていたようだ。

それはアポロ13号を発射したときの時間をわざわざ13時13分に設定したことにも。

これはやり過ぎと言われても文句は言えないだろう。

旧ソ連ではロケットの打ち上げ時には宇宙飛行士たちの成功のためのルーティーンが決まっていると言われている。

それは映画を見たり、あらかじめ決められた食べ物をきちんと食べること。

要するにげん担ぎなのだが、そのことをロシアとなった今でもきちんと踏襲するあたりが、微笑ましいとも言える。

とにもかくにもアポロ13号は様々な困難を乗り越えて地球へ帰還できた。

帰ってこれる可能性はほとんど数%だったと言われている。

「失敗した成功」と言われる所以である。

【BROOK'S かんたん ぬか美人】