くわちゃんの独り言

音楽や映画が大好きな爺さん。長年の経験から知りえたことを発信します。

クレオパトラ 評判の分かれる大スペクタクル映画

 

たまたまテレビで古い映画特集の中に1963年封切りのクレオパトラがあって。

普段ならば、そのまま見過ごしてじっくり見ることなどないはずが、今回はなぜかしっかりと見ることに。

実は、この当時の映画は、大作と呼ばれるものはとにかく上映時間が長い。

この映画もフル上映で行うと5時間を超えるが、私がテレビで見たのは劇場公開したバージョンで4時間の作品。

それでも見ごたえは充分、途中で休憩時間の入るのがなかなかユニーク。

あの当時、ベン・ハーとか同じように休憩時間を入れて上映していた。

撮影にもおよそ3年かかっている。

実はこの映画は20世紀フォックスが作ったのだが、興行的には大失敗とされている。

莫大な赤字となったのである。

さて、実際に映画をじっくり見てみて、どんなものだったのかを私なりに検証してみることに。

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目次

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主役を演じたエリザベステイラー

エリザベステイラーがスキャンダル女優と蔑まれたわけ

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エリザベステイラーとリチャードバートン夫妻

  1934年生まれのエリザベステーラーがこの映画の 撮影を始めたのが1960年。

テイラー26歳。ちょうど脂の乗り切った頃だが、この当時すでに絶世の美女としての評判で様々な映画の主役に抜擢されることが。

このクレオパトラも配役を決めるときに、エリザベステイラーにするかそれともオードリー・ヘプバーンにするかで議論があったそうな。

しかし満場一致でエリザベステイラーに決まったようだ。

やはり、キャラクターから考えてみてもヘプバーンでは清楚なイメージが先に立ってしまうので、どちらかと言えば妖婦のイメージがあるクレオパトラには向かないのかも。

この映画が撮影し始めてから終わるまでに3年かかっている。

普通、映画を作るときには、ある程度脚本であったりキャラクターであったりきちんと筋書きができてから取り掛かるものなのだが、この映画の場合、脚本家は脚本の1部が書き上がるたびに、撮影をする、そしてまた書くを繰り返したようだ。

結論から言えば、とても効率の悪いやり方でエキストラを雇ったりセットを組んだりすることで、無駄が多かったようである。

また主役のエリザベステイラーは撮影にあたっては様々な条件をつけていたようだ。

自分自身の体調管理も実は万全ではなくて、途中何度か入院退院をしている。

特にジフテリアにかかって呼吸困難に陥ったことがあったらしく、その時には気管切開しなければならないほどの重症と聞いた。

撮影時にはその傷跡を隠すためにわざわざ首の周りに仰々しい首飾りをつけて何とか乗り切ったと聞いている。

しかし撮影の最後の方ではその首飾りもなしで、よく見れば傷跡が確認できるらしい。

エリザベステイラーは何度も結婚離婚を繰り返したことでもよく知られている。

生涯で8度の結婚をしているのだが、 5番目のご主人がこの映画で共演したリチャード・バートンである。

この映画の撮影当時はエディーフィッシャーが旦那さん。

同じ出演者同士で知り合ったリチャード・バートンとは不倫の間柄になってしまう。

実は、ここら辺の結婚の状態も調べてみるとズブズブで、相手になるご主人もとにかく女性遍歴が多い。

アメリカ人気質の俳優女優は結婚することにも自由奔放な気がする。

決して不真面目とは思わないが、簡単に離婚や結婚できるところが普通の人とは明らかに違う。

この時、主役のテイラーはすでにアカデミー賞主演女優賞を受賞した押しも押されぬ看板女優。

このような周りから羨望の眼差しで見られる美女が、結婚したり離婚をしたりを繰り返せば、それは噂の1つ2つ、やっかみの1つ2つなど発生して当たり前。

クレオパトラはこのような時代に遭遇して作られた映画。

そして予定を大幅に超える撮影期間なども、この映画に良くない噂を建てられる結果に。

 エリザベステイラーは男性遍歴も凄いのだが、病歴も凄いのである。

生涯にわたって大病を繰り返した。

彼女の周りにはとにかく様々な噂や、その噂を探そうとするパパラッチで賑わっていたようなのだ。 

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莫大な制作費 3年かかった製作期間

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シーザーの前に現れるシーン

映画の制作費は調べてみると44,000,000ドル。
これを今の金額に換算すると、ざっと300億円。

とんでもない金額である。20世紀フォックスがこれだけのお金をかけて回収できたのはおよそ半分。

映画自体の収支で言えば、会社の経営が成り立たないぐらいの大変なダメージを被った。

この時エリザベステイラーが報酬として得たのは、病院代その他も全て映画会社持ちだったので、現在のお金で換算するとおよそ50億円。

今でも、よほどのトップスターでもこれだけのギャランティーは発生しないだろう。

ここまでしても、エリザベステイラーにクレオパトラをやらせてみる必要があったのだ。

テイラーのような女優は取り扱いがとても難しいのかも。

小さな子役の頃から女優として活躍してきた彼女は、ジュディ・ガーランドなどの影に隠れて子役のうちはさほど高い評価を得られていなかったらしいのだ。

 20歳前後になってから大人の役を演ずるようになって人気が出る。

映画を見た限りでは、しっかりと主役を演じていたようだが。

ただ、評論家や世間の目は決して高く評価はしていなかった経緯がある。

映画は鳴り物入りで封切りされたが、アカデミー賞その他では衣装などでいくらかノミネートされたぐらい。

俳優の演技などはほとんど評価されてなかったのだ。

しかしながら会社としては社運をかけた一大スペクタクルだったので、絶対に失敗できなかったと言える。

結果が大変な赤字となったことを受けて、会社は撮影所を売却したり様々な苦労があったと聞くが、この映画の2年後に斬られた“サウンド・オブ・ミュージック”が起死回生の挽回を見せるのである。

この映画がもし成功しなければ、今日の20世紀フォックスはなかったかも。

これだけの、様々な労力と、苦労を重ねて出来上がった映画といえる。

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 史実と付き合わせるとどうなるのかな? 

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映画の中でもこの衣装を着てなくなられたシーンが撮影された

クレオパトラが絶世の美女と呼ばれて久しいが、実際のところ彼女の美貌を示す壁画とか絵画とかは残ってはいない。

美人か否かは今もって不明 。

ただ、知られているところでは彼女は頭の良さではピカイチだったようだ。

普通に7カ国語を操り、また相手を飽きさせない巧みな話術を駆使し、その声質の、たおやかでしとやかなこと。

クレオパトラと対峙した男性たちは皆、虜になったとされている。

彼女自身も自分自身の女としての武器を必要に応じて使い分けていたようだ。

この当時のエジプトの慣習として、兄弟が男子女子の場合、その姉妹どうして結婚をして国を統括することが行われていたらしい。

実際クレオパトラも自分の弟と結婚をして国家の王として振る舞っていたようだ。

この物語は、この弟と折り合いがうまくいかないことから、当時権勢を誇っていたローマとのやりとりの中で生まれたエピソード。

ローマから来ていたやり手の政治家シーザーを自分自身の権力を保持するために利用したのである。

つまり、結論から言えばシーザーはうまく利用された形になった。

そして息子を1人設けることに。

この息子もシーザーとクレオパトラの願いを受け継いでいたのだが、シーザーが政治的に失脚して暗殺されると、この息子も亡き者にされたのである。

クレオパトラの物語はこれだけでは済まなく、シーザーの後を受け継いだとされるアントニウスとオクタビアヌス。

この2人との関係にも及ぶことに。

 2人のうち、アントニウスはクレオパトラと良い中になって子供も3人も受けるのである。

しかし政治的な勢力争いはアントニウスとオクタビアヌスの間にも発生。

ここで、アントニウスが政治的に 失脚して自殺に追い込まれることで、クレオパトラの物語も最後の時を迎えるのだ。

映画の中では瀕死のアントニウスがクレオパトラのもとに運ばれてその腕の中で息絶えるとなっていたが、史実かどうかは少し疑問が残る。

おそらくそのような記述は残っていないだろうし、後から作った物語らしく、話がうますぎるのである。

ただし、クレオパトラが自殺の時に使ったとされる毒蛇だが どうやらエジプトコブラのようだが、ヘビ毒で必ず死ぬためには、入念な準備がなければ難しいだろう。

調べてみると疑問を持っているコメントは多くて、多分他の毒も合わせてエジプトの王家の象徴として最後に自害するアイテムとして蛇を添えたのではないかとあった。

それも憶測の範囲なので、実際のところはよくわからない。

オクタビアヌスはアントニウスとクレオパトラを遺言に従って同じ墓所に葬ったようだ。

このときのローマもエジプトも政治的な権力を持つものはそれなりの手を打っていたようだ。

自分を支持するものをどれだけ集められるかにかかっていたと言える。

クレオパトラ自身も自分自身の権力基盤を安泰にせんがためにローマ帝国を利用したのだ。

エジプトのプトレマイオス王朝はここに終焉を迎えた。

クレオパトラにはアントニウスとの間に3人の子供がいたのだが、オクタビアヌスの姉に引き取られて育てられた。

この姉というのがアントニウスの最初の妻である。

引き取られたとは書いてはあったがその先のことについてはわからない。

ちなみに映画の中ではクレオパトラとアントニウスの 3人の子供について描いているシーンはなかった。

シーザーとの子供“カエサリオン”のエピソードは間違いなくあったが、オクタビアヌスによってその子は殺されている。

クレオパトラは様々な文献で検証は可能だが、その肖像画がなんとしても見つからないのだ。

唯一肖像とされているのはシーザーがローマ帝国用に作った金貨の中に、横顔のレリーフが刻まれているのみ。

歴史から見てもプトレマイオス王朝の最後の王様になるので、様々な興味の対象とはなっている。

映画を見た限りでは、とても長かったんだけれど、それほど退屈して飽きる内容でもなかった。

とにかく衣装に関しては大変なこだわりである。

そのほとんどはエリザベステイラーが身に付けていたものになるのだが。

また著名な俳優たちも若い頃の姿が見られたと思う。今でも活躍していると思うのだがマーチンランドーが若い将校の役を演じていた。

当時は、ハリウッドが最も輝いていた時代と言える。

この60年代初めに至るまで、ハリウッドは大作と呼ばれる映画がたくさん作られた。

クレオパトラに関して言えば編集の時に1つ2つミスがあって、映画のタイトルとエンドロールに著作権の記述を入れられなかったが故に、いまだにフリー素材として自由に映画を鑑賞できるとされる。

つまり、著作権の請求がなされない。

またアカデミー賞の受賞のための申請も手続きミスでなされたなかったようなのだ。

そのような、いくつかの不手際が映画について回るスキャンダルの1つとして今も語り継がれている。

よほど時間があるならば、衣装をもう一度見る意味でも、美人女優(エリザベステイラー)を見せてもらう意味でもこの映画には価値があるのかもしれない。