くわちゃんの独り言

音楽や映画が大好きな爺さん。長年の経験から知りえたことを発信します。

思い出をたどってみる ホルンの魅力

 

もう半世紀以上も前の話だが吹奏楽部の経験がある。

その時、持ち前の好奇心で様々な楽器について調べたのだが、ユニークだなと思った楽器にホルンがあった。

いろいろな楽器がある中で、この金管楽器だけはなぜか丸く愛くるしいビジュアルをしていたから。

しかし中学の時の吹奏楽部の顧問の先生が言っていた言葉。

オーケストラで1番高い給料もらうのはホルン吹きなんだそう。

それだけ難しい楽器で、今は楽器が進化していて簡単に音が出せるが、昔は今なら普通のピストンバルブが付いていなかった。

つまり角笛のような形。アルプスの角笛のようなものがホルンの出発点と言える。

その時教えていただいた有名なホルン奏者が1人おられた。

 NHK交響楽団所属ホルン奏者「千葉薫」さんである。

お名前.com

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自ら工房を持っていてホルンに改造を加えたりしていた

目次

私にとってのホルン吹きはこの方

千葉薫氏

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NHK交響楽団で演奏しているものと思う

中学1年の頃、吹奏楽に入った私はNHKコンサートホールのテレビ番組をよく見ていて、どの楽器がどんな音を出すのかにいつも注目していた記憶がある。

テレビの優れたところは音だけではなく映像で音を感じさせるところ。

特に弦楽器もそうだし、管楽器の中でも木管楽器の中で、ダブルリードと呼ばれる楽器があるのだが(オーボエ、ファゴットなど)なぜあんなにも息を詰めて こめかみに血管を浮き上がらせて音を出すのだろうかと不思議に思ったものである。

あそこまで頑張らなければ音が出ないのか、なんて大変な楽器なんだろうと子供心にそう思っていた。

このテレビで演奏を見る中で、ホルン奏者の千葉薫さんの演奏は彼もまた少し不思議な気がした。

何度か見ているうちに気がついたのだが、毎回見るたびに持っている楽器の種類が明らかに違っている。

しかも、私が見ていて感じたのは他のメンバーたち(ホルンは普通4人編成)よりもシンプルで単純な作りの楽器を持っているように見えたのだ。

後で調べて分かったのだが、千葉薫さんは何種類かあるホルンの内で、自分の気に入ったものを使うらしいとのこと、しかもその音色を自分流にアレンジするために自宅に工場を持っていて、そこでベルなどをグラインダーで平気で削っていたそうな。

普通のホルン吹きは絶対にそんなことはしない。

また千葉薫さんに関しては様々な武勇伝が残されている。

日本のホルン吹きの中では世界中に名前の知れた第一人者なんだけど、ある時、有名な指揮者の カラヤンから、ベルリンフィルで演奏してほしいとのオファーを受けた。

そのオファーを簡単に断ったそうな。

ドイツにいったって、“うまい焼き魚とか刺身が食えないから”などの理由を適当につけてお断りしたらしい。

最も外国人が1人 ベルリンフィルの中に入ったところでいじめられるのは目に見えていたとそのような意見もあった。

カラヤンが世界的なマエストロとは言え、年がら年中ベルリンフィルのタクトを振るわけではない。

そのことを瞬時に考えて答えを出したんだろうと。

ホルンの技術的なことで言えば、彼はピストンに全く触れることなくドレミファを演奏することができたようだ。

もともとホルンはピストン等ない状態で作られた楽器。

他の金管楽器などに比べて全体的なサイズは小さいが、中に収められている管は非常に長いのだ。

その長さをうまく利用すれば唇だけで音程を奏でることが可能だったようだ。

私も楽器の経験者なので見当はつくが、普通はありえない。

ピストンを触らずに音を出したければ倍音で攻めていくほかはない。

ベートーベンの曲などもホルンのそのような特性を考慮してほとんどが倍音だけで音が出せるように作曲されている。

あの交響曲第5番の第一楽章に出てくるホルンのファンファーレを思い出して欲しい。

あの部分は倍音だけで攻めているはずである。

とても歴史の古い楽器

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ベートーベンの時代でもピストンなしが主流

ロマン派の時代になるとホルンはバルブを装着して今のような形に進化していったようだ。

しかし、もともとの歴史はとても古く最初は角笛からの出発だと聞く。

またホルンの大きな特徴の1つとして音色の柔らかさがある。

楽器がこじんまりとしている割には管がとても長いので、いざ息を吹き込んでみると音は思いのほか安定しないし強弱もなかなか思い通りにはならない。

しかし、ある程度コントロールを覚えてくるとその音色の柔らかさは他の金管楽器とは明らかに異なるのだ。

そういったこともあって木管楽器の五重奏などでは普通にホルンが中に入って演奏する。

金管楽器のホルンは木管楽器と合わせた時も、決してでしゃばることなくうまく調和する特徴がある。

今は昔と違って女性も普通に大きな管楽器を演奏する時代。

肺活量を必要とするうんぬんが昔から言われたが、どうやらそれはあまり関係なさそうだ。

いかに効率よく吐き出した息を音に変換させるか、そこにプレイヤーの技術力がある。

また楽器の種類がかなり多いのもホルモンの特徴。

ホルンによく似た楽器にメロフォンがある。

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メロフォンは右手でバルブを操作ホルンは左手で行う

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私の学生の頃はこのメロフォンもホルンと同じように使われていたはず。

右手でピストンで操作するのでトランペットやユーフォニウムなどと変わらない感覚で演奏ができた。

両方とも形がよく似ていて素人目には似たように見えるが、楽器としては全く別物である。息を吹き込んだ感触がまるで違う。

ホルンの方が圧倒的に難しさを感じた記憶が。

しかしながら音色の点で、ホルンにアドバンテージがあったようだ。

またホルンの中にも何種類か楽器の種類があって、通常はF管なのだが、 1台の楽器でバルブの切り替えによってこの調子を変えられるものがある。

F管とB♭管に切り替えられるものが一般的に多く使われているようだ。これをダブルフォンと呼んでいる。トリプルのものもあるようだ。

したがってホルンはバルブ(ピストン)を操作するのだが、親指で切り替えを行っているようだ。

ホルンを始めとする金管楽器の演奏ではマウスピースにいかに圧力をかけずにきれいな音を出すかが求められる。

無理をして音を出そうとすると強くマウスピースに唇を押し付けて、後々トラブルの元となる。

ホルンの特徴としてもう一つ挙げるとすれば、楽器の歌口(ベル)が観客の方を向いていないこと。

音は間接的に観客に届くような設定。

このような特徴も音色の柔らかさに寄与しているはず。

様々な金管楽器はそれぞれに難しさややりやすさがあるが、どの楽器もおしなべて音は出しやすいと言える。

音色が綺麗かどうかは別問題として、少し練習すれば誰でも音が出る。

上手になるかどうかだと、随分と個人差が出る。

ホルンの場合、上達するためにはそれなりのセンスが必要なのかもしれない。

私の高校生の頃でも裕福な家の子たちは親に自前の楽器を買ってもらって演奏をしていた。

ホルンを買ってもらっていた子もいるが、彼は吹奏楽の個人コンクールで優勝するほどの腕前だったと記憶している。

演奏すること、楽器を吹くことが大好きな人でないと務まらない。

気になるのは値段とか、初心者向きのとか?

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ヤマハのものと有名メーカーアレキサンダーのもの

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金管楽器の中ではホルンは決してお高い買い物ではないが、かといって安物ではどうかというところか。

ヤマハのある程度推奨できるモデルだと、大体20万円から50万円程度はするようだ 

普通、吹奏楽部がある学校で、買うモデルと言ったらどのくらいの値段のものを買うのだろうか。

決してお高いものを買うとは思わないのだが、最高級品を買うことにはならないだろう。

ちなみにホルンの最高級品と言えば私の知る限りではアレキサンダー社製。

こちらは一般的にカタログで出ているモデルでもおよそ100万円ほど。

グレードの高いものだと、140万円ぐらいはする。

チューバなどに比べれば楽器が小さいだけに安いのかもしれないが、個人で所有するにはアマチュアでは勇気がいるだろう。

これらのメーカーの差はどんなところにあるのだろう。

音色なのだろうか、それとも演奏しやすさだろうか。

楽器の値打ちと言えばそれ位しかないと思うので、この点でアレキサンダー社製のものは優れているのかもしれない。

普通ホルンは、オーケストラのフル演奏で4人程度が配置される。

吹奏楽でもほぼ同じと言える。

ただし、オーケストラが100人規模の大所帯なのに対し、吹奏楽の場合ではせいぜい40から50人程度の編成と言える。

まとめ

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古楽器の演奏を愛でる人も多い

ホルンの音色の魅力と言えば、やはり遠くまで響くような伸びやかな印象だろうか。

技術的な部分も含めて何曲かピックアップしたい。


02デニスブレイン ホルンソナタ

古い演奏だが、どうやらベートーベンのホルンソナタとのこと。

曲名は存じ上げないが、ホルンの特徴がよくわかると言える。

 NHK交響楽団ホルンの首席奏者古川さんのホルンの紹介映像


新感覚派ホルン吹き 福川伸陽さんの挑戦

彼が使っている楽器はどうやらアレキサンダー。

この楽器も調べ始めると音楽好きな私にはきりがなくなってしまうところがあって。

しかし新しい感覚の挑戦もどうやら始まっているようだ。

著名な映画音楽の中でもホルンは大活躍している。

普通、気をつけて聞くことなど無いのだが改めて注目してみるのも新鮮な感覚で勝手に自己満足。