くわちゃんの独り言

音楽や映画が大好きな爺さん。長年の経験から知りえたことを発信します。

玉音放送をつくった男 下村宏氏の功績

 

たまたまテレビを見ていたならば、およそ4年前に作られた終戦時のドラマ。 

玉音放送があった事は誰もが知っていることだが、その裏話をドラマ仕立てで放送していたのだ。

別の知識でうすうすは知ってはいたが、改めて見てみるとそれなりのドラマがあったようだ。

 1人の男が奮闘努力したことにより、多数の賛同者が周りに現れて、その時の昭和天皇の心も玉音放送に傾いたとされていた。

以前、昭和天皇に関しての記事を書いてみたが、その記事の補足と言える。

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目次

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下村宏 鈴木貫太郎内閣で情報局総裁を務める

テレビドラマでの流れ

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ドラマの中では柄本明さん主演

最近ではNHKをぶっ潰すなんて政党ができて、この放送局の周りはずいぶん賑やかになっているけど。

私は個人的にはきちんと受信料を納めて楽しく視聴している身なので、どんなものが放送されているか大体いつもチェックを入れている。

この放送は終戦時にどんな人たちが関わって歴史的な事実を作ったのかについて検証されていた。

このような事実の継承はとても大切なことだと常々思っている。

玉音放送に至るまでの過程が、このドラマで克明に明かされている。

脚本のあるドラマなので多少の脚色はあるかもしれないが、登場人物はすべて実在とのこと。

やはりストーリーの内容は信頼性のあるものにおのずとなっていくだろう。

昭和天皇は御前会議で本来は発言しない決まりであることを破って、総理大臣に求められるまま、自分の気持ちを述べたようだ。

以前のブログでも書かせていただいたが、昭和天皇は自分自身の側近のものをあちこち直接調べにいかせて、直接 実情を知っていたようだ。

つまり、陸軍や海軍の報告をあてにせず、(もちろん報告はきちんと受けていたようだが)自分自身で確かめる努力をされていたようだ。

昭和天皇は外遊経験が多くて、様々な外国の状況を自分の目で確かめておられた。

その時に、戦争の悲惨さや自分自身の立憲君主としての立場をきちんと確立されたとされている。

願うところは、自分自身の身の保全ではない。

国家がきちんと存続するかどうかを真剣に模索していたようなのだ。

そのような中で下山総裁は、早くから天皇自らがマイクの前に立って国民に向けての放送をすることが重要である旨を唱えていたのだ。
 しかし、彼の一存で決められるはずもなく、このような案がありますと言ってはみるものの、簡単に却下されていた経緯がある。

だが、昭和19年の7月以降になると日本の南方戦線はほぼ全て全滅して、アメリカからの空襲は日本全土に及ぶように。

それは爆撃だけではなく、戦闘機による機銃掃射も行われていたのだ 。

爆撃機と違って戦闘機はグアムサイパンなどの洋上から出発しても、航続距離の関係で日本へは到達できない。

つまり、日本近海にすでにアメリカ軍空母がスタンバイしている事実。

もう、アメリカ軍を邪魔する南方での日本軍は存在しないと言う証になる。

近海に空母が控えているようでは、日本の国土はほとんど丸裸の状態で、7月8月と言わず、大体は昭和20年の初めのころから東京へ激しい空襲が行われていたのだ。

特に有名なのは広島長崎に原爆が落とされる前、3月に東京大空襲が行われている。

この時に東京はほぼ丸裸にされた。

ざっと10万人程度は死んだと言われている。

これだけの状況は、昭和天皇といえども側近の報告を聞くまでもなく、周りで攻撃が行われているわけだから絶対に気づいていた。

そして海軍、とりわけ陸軍等の報告が実情とは全くちぐはぐであることもすでに気がついていた。

このような状況下にあって情報局総裁の下山は新聞報道など、極力事実に即した報道をするように改めたとされている。

それまではどんなに被害が大きくても、”わが方の被害は軽微“ そう言って軽く流していたのだ。

明らかに嘘をついていたわけで、国民の1部は気がついていたとされている。

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昭和天皇に進言する玉音放送

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天皇陛下への謁見をされた

ポツダム宣言がなされたときに日本がどう振る舞うべきかを8月9日の未明から10日にかけて御前会議が行われた。

その時に昭和天皇の判断でポツダム宣言を受諾するとの指示が出されたのだ。

陸軍の東條英樹等は最後まで本土決戦を唱えていたようだ。
 しかし、内閣総理大臣まで務めた東條もあちこちの軍事作戦の失敗で、責任を取らざるをえなくなり、総理大臣を辞すことに。

様々な政治的な駆け引きの中で、下山は巧みに立ち回って天皇自身による言葉で玉音放送することを実現させたのだ。

下山を大きく評価していたのは終戦直前に総理大臣だった鈴木勘太郎。

彼は4月7日に内閣総理大臣になった後終戦直後の8月17日に総理大臣を辞している。

終戦後は誰もが知る通り東京裁判が開かれ、戦争責任を問われた何名かは死刑となった。

有名なところでは東條英樹。

彼は自分の責任を感じて自殺を図ったが死にきれずに、GHQの手によって助けられる。

しかし結局のところは死刑となったのだ。

彼自身が尋問を受けたことに対しての答えがある。

戦争は裕仁天皇の意思であったか?」の尋問に対し

「ご意思に反したかも知れぬが、わが内閣及び軍統帥部の進言により、渋々同意なさったのが本当であろう。そのご意思は開戦の詔勅の『止ムヲ得サル事朕カ志シナラス』のお言葉で明白である。これは陛下の特別な思し召しで、わが内閣の責任に於いて入れた言葉である。陛下は最期の一瞬まで、和平を望んでおられた。この戦争の責任は、私一人にあるのであって、天皇陛下はじめ、他の者に一切の責任はない。今私が言うた責任と言うのは、国内に対する敗戦の責任を言うのであって、対外的に、なんら間違った事はしていない。戦争は相手がある事であり、相手国の行為も審理の対象としなければならない。この裁判は、勝った者の、負けた者への報復と言うほかはない」

ここで語られている内容は100%信用できる。

これから死ななければならない人間が嘘をつく必要などあるはずもなく。

連合軍と称して様々な裁判や刑罰が執行されたが、負けた側とすれば受け入れるしかなかっただろうから。 

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玉音放送を録音したのは終戦の前日

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これは玉音放送時の写真ではない 後の別な放送での録音の状況

玉音放送は原稿を作り、それを昭和天皇に読んでいただくシステムだったが、その文章をめぐっては御前会議に出席した重臣たちによって最後まで手直しなどが加えられた。

ポツダム宣言を受諾すると言っておきながら、文章の中には敵国の表現があったり、また非人道的な武器を使うなど敵味方を明らかにはっきりさせるような文字も見て取れる。

やはり、負けた側の言い分としての意味合いが込められていたようだ。

以前書いたブログの中で紹介したが、玉音放送の現代語の訳である。

前回のものとは別なものがあったのでそれを紹介してみたい。

「終戦の詔書」(現代語訳)

私は、世界の情勢と日本の現状を深く考え、緊急の方法でこの事態を収拾しようとし、忠実なるあなた方臣民に告げる。

私は政府に対し、「アメリカ、イギリス、中国、ソ連の4カ国に、共同宣言(ポツダム宣言)を受け入れる旨を伝えよ」と指示した。

そもそも日本臣民が平穏に暮らし、世界が栄え、その喜びを共有することは、歴代天皇の遺した教えで、私も常にその考えを持ち続けてきた。アメリカとイギリスに宣戦布告した理由も、日本の自立と東アジアの安定平和を願うからであり、他国の主権を排して、領土を侵すようなことは、もとより私の意志ではない。だが、戦争はすでに4年も続き、我が陸海軍の将兵は勇敢に戦い、多くの役人たちも職務に励み、一億臣民も努力し、それぞれが最善を尽くしたが、戦局は必ずしも好転せず、世界情勢もまた日本に不利である。それだけでなく、敵は新たに残虐な爆弾を使用して、罪のない人々を殺傷し、その惨害が及ぶ範囲は測り知れない。なおも戦争を続ければ、我が民族の滅亡を招くだけでなく、ひいては人類の文明をも破壊してしまうだろう。そのようなことになれば、私はどうして我が子のような臣民を守り、歴代天皇の霊に謝罪できようか。これが、共同宣言に応じるよう政府に指示した理由だ。

私は、アジアの解放のため日本に協力した友好諸国に対し、遺憾の意を表明せざるをえない。日本臣民も、戦死したり、職場で殉職したり、不幸な運命で命を落とした人、またその遺族のことを考えると、悲しみで身も心も引き裂かれる思いだ。また、戦争で傷を負い、戦禍を被り、家や仕事を失った者の生活も、とても心を痛めている。これから日本はとてつもない苦難を受けるだろう。臣民みなの気持ちも、私はよくわかっている。けれども私は、時の運命に導かれるまま、耐え難いことにも耐え、我慢ならないことも我慢して、未来のために平和を実現するため、道を開いていきたい。

私はここに国体を護ることができ、忠実な臣民の真心に信じ、常に臣民とともにある。もし、感情のままに争いごとや問題を起こしたり、仲間同士が互いを陥れたり、時局を混乱させたりして、道を誤り、世界の信用を失うようなことになれば、それは私が最も戒めたいことだ。国を挙げて家族のように一致団結し、この国を子孫に受け継ぎ、神国(日本)の不滅を固く信じ、国の再生と繁栄の責任は重く、その道のりは遠いことを心に留め、持てる総ての力を将来の建設に傾け、道義心を大切にし、志を固く守り、国の真価を発揮し、世界の流れから遅れないよう努力しなければならない。あなた方臣民は、これが私の意志だとよく理解して行動してほしい。


 

 こちらの内容の方が意味がよく通じるかもしれない。

日本人として何度も読み返して理解しておきたい文章と言える。

この放送がなされた当日は、わざわざ朝の新聞配達を午後にして、放送で真っ先に情報が流れるように画策したのだ。

しかも、ラジオ放送で朝7時に予告の放送までしている。

番組の中で丁寧に包装されていたが君が代が流れたり、1連の式典の様相を呈していた。

天皇自らが語る言葉である。

いきなり話し始めるのでは、やはり格式に傷がつくと思ったのかもしれない。

ドラマの中でも丁寧に扱われていたと思う。

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陸軍の 1部は最後まで反発

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畑中少佐を演じた高橋一生 狂気の目つきが役者としてすばらしい

 8月14日から15日の早朝にかけて、陸軍の1部の将校が反乱を起こしたのだ。

何が何でも本土決戦を実行すべく、天皇に直訴して、玉音放送を撤回する。

そのようなことを計画したようだ。

この時には情報局総裁の下山も監禁されている。

しかしながら、この作戦は上層部には受け入れられず、畑中少佐を始め何人かは自殺して果てた。 

未来への願いを込めて

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切腹自殺した阿南陸軍大臣と東京裁判で死刑になった東條英樹

大勢の日本国民が亡くなった太平洋戦争だったが、およそ310万人とも320万人とも言われる日本人がなくなっている。

第二次世界大戦全体で言うならば数千万人がなくなっている。

今にして思えばとんでもない愚かな行為だったのかもしれない。

しかし、人間の心の在り方とはまさにこうした狂気がそのまま突き進んでしまう危うさをはらんでいるのではないか。

自分も他者をも犠牲にして目的を達成させる狂気。

それだけの目的意識こそが人間の人間たる所以なのかもしれない。

しかし様々な歴史の事実を見るにつけ、あまりにも高すぎる授業料ではないか。

もうこれ以上の授業料(人命)を払うわけにはいかないだろう。

今世界中で国を代表する指導者と思われる人たち。

どうかこの過去の過ちから学ぶ気持ちをもう一度持ってもらうわけにはいかないのだろうか。