1960年代のアメリカのドラマで1、2を争う人気を誇ったドラマが“コンバット”。
“ノルマンディー上陸作戦”の後のヨーロッパ遠征中のアメリカ軍の1部隊の物語。
小隊長と軍曹。
この2人が主人公。
彼らが戦闘を繰り広げた舞台はフランス。
ドラマの中でよく語られていたのは、“コニャック”とかのフランスの酒だった記憶がある。
このドラマにはお馴染みのメンバーがいて、それぞれ個性が割り当てられていたように思う。
目次
歴史を追うドラマではなかった
昨日、改めてYouTubeで作品を一本見たんだけど 、戦争映画とは少し雰囲気が違う気がした。
私が見たのは5番目のエピソードで、敵の真っ只中に残されたサンダース軍曹の部隊がどのようにしてその場所から避難できるかをテーマに語られていた。
お馴染みの無線機を使ったやりとり。
「こちら チェックメイトキング2、チェックメイトキング2応答願います。」
大隊本部を呼び出す時はチェックメイトキング6に呼びかける。
この暗号名は子供の頃、真似して遊んだ記憶も。
通信で指令を受け、また様々な報告も行っていたようだが。
そこは軍事行動なので、命令には逆らえないような空気感。
物語の中で大きなテーマとして語られるのは、戦争に対するそれぞれの兵士たちの胸の内。
戦うのはもちろんなのだが、彼らとてやる気満々で戦うわけではない。
不思議なことだが 仕方なく感、戦わなければ自分が死んでしまうから感が出ていた。
それは、隠れたり、散会したり、援護したり、作戦行動と呼べるものはほぼ全て網羅していた。
そして、戦争映画の特徴として、さっきまで語り合っていた仲間が簡単に死んでしまうこと。
特に、“サンダース軍曹”は自分の部下が死ぬと、大げさな演技ではなかったが、自分自身の落ち度のように捉えている部分が感じられた。
戦争モノのドラマの割には、長く支持されて 5年間放送されたようだ。
人気の大半は、このサンダース軍曹の役割によるところが大きいだろう。
サンダースという名前を知らない人なんか、私の世代では多分いないと思う。
彼らはノルマンディー上陸作戦でやってきた兵隊なのか、それとも別な補給部隊でやってきたのか、その辺は詳しくは語られていなかったが、主にフランスでドイツ軍との戦いを繰り広げていた。
ノルマンディー上陸作戦は、すでに第二次世界大戦の最後の方で行われているので、ヨーロッパ戦線はドイツ軍をことごとく駆逐して進んでいったはずなのだが。
実は、このドラマの中では一進一退を繰り返していたような内容。
当然、進撃もしていくが、撤退も何度も描かれていた。
このドラマの中のユニークなところは、セリフ回し。
日本語吹き替え版をほとんどの人が見ていたと思うが、吹き替えしていたのは英語の部分だけ。
つまりオリジナルの作品は英語、ドイツ語、フランス語が入り混じっていたのだ。
敵兵と会話をするときには通訳が必要になっていた。
その時の吹き替えはオリジナルの音源と吹き替えの音と切り替えながらやっていたと思う。
何度かそんなシーンに出くわして記憶に残っている。
当然、ドイツの兵隊が英語を話してはおかしいわけだし、この当時 放送されていた、タイムトンネルなどでは、話している言葉はどんなところに飛んでいっても、全て英語で統一されていた。
このドラマ“タイムトンネル”は、私的には気にいっていたが、この言葉の辺の問題を厳しく指摘する声は多い。
コンバットは戦争を題材にしたドラマなので、やはりシリアスに描かなければならない点は大きい。
また英語を話すアメリカ兵が、言葉の違うヨーロッパに遠征するのだ。
普通に会話できたのでは、戦闘シーンも成り立たなくなる可能性があったようだ。
テレビドラマ 白黒からカラーに移って終了
このドラマは長く白黒で放送されていた。
5年間の放送のうちほとんどは白黒だったと記憶。
私が小学生の頃、家にあったテレビは白黒だったので、何の不都合もなく普通に見ていた記憶がある。
後に、カラーに撮影状況が切り替わった段階で、制作費の折り合いがうまくつかなくなったようだ。
コンバットはアメリカのABC放送が制作。
番組を作る上でのマネジメントはそこはアメリカ、赤字になってまで作る事はなかったようだ。
したがって、コンバットの最終回はどのような話だったのかあまり記憶に残っていない。
もう半世紀以上も前の話なので、それぞれのエピソードの時系列も、断片的にしか思いだせないし、調べてみても物語は1話完結の形なので、どれがどれやら検証しにくい事はある。
しかし昨日1本見て、感じたのは人の心の奥底を描くやり方がとても巧みなこと。
セリフなしで、戸惑う気持ちだったり、やりたくないことをやらされる気持ちだったり、不満があるけれども逆らえない気持ちだったり、そういったものが俳優たちの演技力にもよるのだろうが上手に表現されていた。
そして、全編通して感じるのは音楽がとにかく多いなということ。
あの印象的な音楽は誰しもが思い出すところだが、ドラマの通常の流れの中でもそこはかとなくバックミュージックが流れるのだ。
テレビドラマってこんなにも苦労して作るのかと思わせる部分。
音楽の効果音も爆発のシーンとか、着弾のシーンとかで巧みに使われていたのだ。
アメリカの映画 テレビ両方に共通する特徴かもしれない。
日本語吹き替えの水曜夜8時放送
この一覧表を見ても、誰が誰だか概ね見当つくところがキャラクターをくっきりと描き切れていた証拠。
サンダース軍曹と小隊長は誰もが知っているが。
特に部下の兵士たちの中に、リトルジョンとかカービィとかケリーとか今でも名前を思い出せるキャラクターがいることが、よくできた物語だなと改めて感動する。
実は、今思い出してみると、私は夜8時のコンバットは我が家の方針で見せてもらえることができなかったのだ。
子供は夜8時には寝ると言う厳しいしつけだったので、悔しい気持ちをしぶしぶ押さえ込みながら寝ていた記憶がある。
当然親たちも、この番組は人気で楽しみだったから普通に見ていたはず。
ごくまれに、見せてもらえることもあった。
私の場合、ほとんどが再放送で見ていると思う。
記憶の中にかなり鮮明に残っているので、全く見れなかったことでもなさそう。
ちなみに、私が小学校5年生頃の話である。
コンバットの面白さは、戦闘シーンの銃撃ではなさそう。
銃撃に至るまでの兵士たちの心の在り方とか、銃撃が終わった後の後始末のシーンでよりシリアスにストーリーが進んだ気がする。
本来目玉となるシーンは銃撃戦のはずなんだが、そこをメインにしてしまえば、撮影も当然大変になるし、なおかつ人が打たれて死ぬシーンが連続しても、物語としてはあまり勧められたものではない。
戦争ドラマではあるが 、戦争を推奨することではない。
むしろその逆だろう。
歴史の中の1ページをドラマとして描く。
そのようなコンセプトで作られたはずだから。
映画版の史上最大の作戦と同時期放送
“史上最大の作戦”はノルマンディー上陸作戦を描いた戦争スペクタクルである。
このドラマはテーマ音楽も有名だったような気がするし、とにかく当時のハリウッドの主な有名な俳優たちは、皆、なにがしかの役を与えられて 壮大なスケールで描かれていた。
名前を挙げればキリがないほどだが、主役となるべき俳優はやはりジョンウェインになるんだろうか。
この映画は歴史に基づいて作られているので、アイゼンハワーその他、著名人がたくさん出てくる。
コンバットが小さな部隊の小競り合いのような戦闘を描いていたのに対して、こちらの映画は、ノルマンディー上陸作戦そのものを描いていた。
ノルマンディー上陸作戦で作戦行動に参加した連合軍は総勢300万人。
この作戦成功で、ドイツ軍は敗退を余儀なくされる。
ドイツ軍の侵攻で、フランスのパリが陥落し、そしてドイツはソ連に対しても侵攻を開始していた。
ドイツ軍はソ連侵攻を失敗して敗北したようなもの。
またドイツ軍に陥落したパリも連合軍によって奪還され、ヨーロッパ戦線はイタリアドイツが敗戦することになって終焉となる。
歴史で語られてきていることなので、史実として誰もが知っているところだが。
個別の小さな戦闘までは記録が残っていないこともあって、当時の兵隊たちの証言でもなければ思い出すことも叶わない。
太平洋戦争とは別な意味での戦争だったので、第二次世界大戦のヨーロッパ戦線と位置づける戦いだったようだ。
とにかく、びっくりするほどの死傷者が出ている。
歴史的にはそのような戦いだった。
ただし、人類とは業の深いもので、これらの愚行はこの戦争の後も何度も繰り返されている。
そうした時代のテレビドラマではあったが、今考えてみても、やはりドラマを見る人たちのことを強く意識した番組作りだった事は間違いない。
大勢の人に支持されて長期間の放送だったことがそのことを表していると言える。