もう、残すところ明日と明後日の放送しかないので、今更、どんなエピソードがあるのかなぁとか。
やっぱり最後に持ってきたエピソードは泰樹さん。
なつぞらの原点は、ずっと前から泰樹さんと思ってきたけれど、やっぱりその辺が描かれることに。
ナレーションも随分と身につまされる内容だった。
“みんな年取るからね。”
個人的には自分の年齢がどうしても重なっちゃうもので。
目次
泰樹さんの涙
柴田牧場を再び訪ねたなつたちと千遥たち。
牛舎に行って泰樹さんと再び対面。
すっかり年を取った泰樹さん。
ほとんど言葉を交わすこともなく、じっとみんなを見つめて懐かしそうに。
千遥をおずおずと抱きしめ、なつのことも抱きしめる。
そして
「おかえり」と
実はここでの演技で、俳優草刈正雄のこのドラマに賭ける意気込みの真骨頂を見た気が。
ちょっとお恥ずかしい話だが、もらい泣きしてしまったシーン。
セリフをほとんど伴うことなく、年老いたじいさんの演技を仕草のみで気持ちを表現する。
その気持ちを察して同じように涙する千遥となつ。
ここは、多分 今日1番のシーンだった。
草刈正雄のレベルの高い演技で物語がぐっと引き締まる。
人間 誰しも歳をとるもの。
好むと好まざるとにかかわらず、順調に行ってもある程度の年齢になれば気持ちの上でも体力的にも衰えは禁じ得ない。
泰樹さんがまさに今そういった状況。
齢90歳を超える。
この当時の90歳ならば大変な長生きと言える。
今でも90歳以上ご存命な人は少数派。
長く生きれば生きたなりの年輪が刻まれ、たくさんの経験を積み重ねてきたことになる。
ましてや、泰樹さんは開拓者の一世。
その一生は困難との絶え間ない戦いによって刻まれてきた。
ドラマの中で朝日を思い出すシーンで、
「この土地は諦めて捨てよう」
でも朝日を見ると励まされて
「やっぱりここでがんばっていこう」
不思議なものでこういった人生を振り返る事は今の私も同じ心境になる。
私は泰樹さんよりも 30歳近く若いので、まだ若干 体は動くが、それでもいまだに様々なアンテナを張り巡らせて、過去の経験を振り返ることが。
ドラマの中ではほんの数分のシーンだったけど、とても奥深い内容のエピソードだったかなと。
乳搾体験


優ちゃんと千夏ちゃんの搾乳体験は、先生(なつ)の指導もあって無事うまくできた。
この搾乳方法は、私も小さい頃、母親から聞いたことが。
私の母親は農家の出だったが、家で乳牛を飼っており、そこで搾乳を手伝ったことがあるらしい。
当然 手搾りで、コツがあったんだよと。
その方法は、ドラマの中でも説明されていた、親指から、数えるように指を降りながら絞っていく。
番組にケチをつけるつもりはないが、そこから少し付け加えるとそうして握り締めたものをやや下に引っ張るのだそう。
つまり子牛が乳首を吸う様子を手で再現するんだそうだ。
私の記憶ではここまでやって正解だった気がする。
それと、ドラマではあまり語られなかったが、牛の乳首は微妙に暖かい。
まぁ、描こうと思えばキリがないが。
雪月と天陽くんの思い出
雪月で様々なお菓子などを食べながら思い出話に花が咲く。
ここで、とよおばあさんから泰樹さんについてのちょっとしたエピソードが。
そう、何日か前の泰樹さんがわざわざ雪月を訪ねるシーン。
そこでとよおばあさんを捕まえて、大草原の少女ソラで描かれた朝日のシーンにとても感動した話をするのだ。
このときの2人の演技も絶品。
2人とも90歳ぐらいの設定で、それぞれが歳をとったことをしっかりと描ききっていた。
そして、泰樹さんがどうしても説明したかったんだろう。
なつの作ったドラマにどれだけ感動したか。
自分が励まされた朝日について、そのまま詳しく物語を作ってくれたんだよと。
雪月では天陽くんの描いた包装紙も話題に。
ソラの放送のおかげで、雪月の知名度は今や全国レベルで、天陽くんの包装紙もずいぶん好評なんだと。
調べてみてわかったが、天陽くんの家のロケ地には彼が亡くなった時にわざわざ献花台まで設けられていた。
今や観光名所となった十勝の陸別町も、今年の8月にはこのような配慮がなされたようだ。
ドラマの登場人物のためにわざわざ花を添えるところが、日本人らしいとも言える。
そしてモデルとなった神田日勝の美術館も大人気だったと聞く。
確かに、北海道を代表する画家で 私も実物を何度か見たことがあるが、大変な絵描きさんだと認識。
そこが、天陽くんと被っていたんだろうと。
開拓者が残す魂
なつぞらで描かれた世界は、北海道人にとってはある意味“魂の故郷”と言える。
基本的に私たちは(北海道人は)、内地からの移住者の末裔。
私なども出身は父方 母方ともに石川県。
私は開拓者から見ると4代目にあたるが、自分の中にどれだけ開拓者の魂があるのかと自問自答することが。
このドラマでもなつ達が3代目になるようだが、この辺の世代まではまだ開拓者魂がしっかりと受け継がれていた気がする。
自分の中にある開拓者精神を、普段、意識することがないのが事実で、なつぞらを見ることでその古い歴史を再び思い出すことに。
この物語の中で泰樹さんはなつが柴田牧場にやってきた頃を思い出すのだ。
実は今回の最後のエピソードでは粟野咲莉ちゃんは千夏としてのシーンのほかに幼い頃のなつのシーンを撮影していたようだ。
彼女は一人二役なので確かに、泰樹さんさんのメイクでそれが納得できる。
なつぞら がこのシーンで描きたかったのは、泰樹さんの開拓者としての記憶。
この物語が家族をテーマにしていることで新しく家族になったなつたちの思い出は特別な存在だとそう語っている。
家族や仲間に励まされてここまでやって来れた。
泰樹さんの思いはどうやら最終回まで続く。