様々なジャンルの音楽を聴くが、東洋のものでも魅力的なものがいっぱいある。
とりわけインドの民族音楽とインドネシアの民族音楽。
日本民謡とはまるで違って、その土地その土地の独特の味わいの音が響いてくる。
世界中から観光客が集まることでその人気の高さがうかがえる。
目次
インドの音楽 シタール
インド音楽のシタール奏者と言えば“ラビシャンカール”
最初にこの音楽について第一人者を思い浮かべたら、やはり、彼の名前が最初に出てくる。
インドの古典音楽家なのだが、現代のロックミュージシャン、ジャズミュージシャンに多大な影響を与えた。
特にビートルズのジョージハリスンはびっくりするほど影響を受けたようだ。
この音楽は言葉で語るより、実際の演奏を聞くのが1番。
Ravi Shankar at Monterey Pop (June 1967)
この音楽の持ち味はなんといっても楽器“シタール”だが、そのバックに聞こえてくる太鼓も魅力だと言える。
ラビシャンカールは様々なミュージシャンに影響を与えたが、最大のものはビートルズだと言える。
ジョージハリスンとのコラボが有名だが、基本的にはジョージがシャンカールの弟子みたいな感じだったはず。
ラビシャンカールは92歳まで生きた。
インドの人らしく、ある程度 健康的な生活をしていたことがうかがわれるが、音楽家でこれだけ長生きできた人は数えるほどしかいないはず。
私の記憶ではピアニストのホロビッツが長生きしたと思う。
インドの音楽で使われる太鼓は独特のリズムで打ち鳴らされるが、これらのリズムの伝承は楽譜ではなく口伝えと言われている。
この2つが揃って、初めてインド音楽が完成するといってもいいだろう。
確かにこれらの曲は 極めてヒーリング効果が高いと言える。
シタールの演奏方法は、通常のギターのような楽器とは全く違うようだ。
弾き方は同じように見えるが、弦が19弦貼られている。
そしてそのうちの7弦がギターのように鉄のフレットで音を変化させる。
残りの弦は反響弦なので、音を響かせるだけ。
この音楽の独特の風合いにロックミュージシャンが憧れたのもうなずける。
インドネシア ケチャ
インドネシアのケチャも独特の音楽形態を持つ。
これも言葉で説明するのではなく、実際の音と映像を両方体験するのが1番。
悪魔儀式 / バリ島のケチャ (Baraka -1992-)
どうやら悪魔払いの儀式のように見えるが、様々な映像の中からこちらが1番解像度が高く、状況がよくわかるので採用させてもらった。
見てわかるとおり、音楽そのものも もちろんだが、映像と同時に見てこの雰囲気を味わうのがベストだろう。
これは舞台芸術と言っていいはず。
他の画像でチェックするとどれも数十分から1時間程度は収録されているが、最初必ず、メンバーに対してお祓いの儀式をしている。
お祓いが終わった後、おもむろに演奏が始まるのだが、わかる通りにこれはユニゾンの合唱。
楽器を使っていないのが特徴。
そして、この刻んでいるリズムだが、私が聞いたところでは32ビートだということ。
1部では64ビートも存在するらしい。
1人の人間では到底受け持つ事は不可能なので、複数の人間が組み合わさってリズムが発生するものと思われる。
どの映像を確認しても、指揮者と呼べる存在は見当たらない。
なんとなく始まって終わるのだが、間違いなく始まりと終わりはあって、それはどうやらおのずと決まっているようだ。
世界中に様々な音楽は存在するが、この音楽の特異性だけは別格と考える。
多分に宗教的な意味を持ち合わせているが、しかし訴えてくるものは、リズムを中心とした音楽。
最近でこそ観光客の前で披露することが多くなって、ショーとしてある程度演奏されるようになってはいるようだが、もともとは自分たちの祈りの儀式だったと認識。
この不思議な音楽を初めて知ったのは大学生の頃なので、もう50年近く前のはず。
このケチャは、日本でも演奏を中心に活動する団体がある。
名前を知っているだろうか、芸能山城組
活動はかなり長くにわたって続いているようだ。
ここに登場する人たちはすべて日本人、彼らは日本でバリ島のケチャ音楽を披露している。
これは舞台劇として行われているがバックで朗読される詩は日本語。
日本流にアレンジして取り入れているわけだ。
彼らの特集番組をはるか昔にテレビで見たことがあってそれでとても魅力的に見えて記憶の中に残ったのだ。
ケチャの特徴を上手に捉えているだろう。
東洋の音楽は独特の構成を持っている
音楽の三要素がリズムメロディーハーモニーは、多分 中学校か小学校で習う音楽の初歩と言える。
つまりこれらの3つがバランスよく同時に組み合わされて音楽が成立する考え方。
しかしインドのシタール、インドネシアのケチャはこの理屈は通用しないように思うのだ。
これらの音楽に第一の特徴として挙げられるのはリズム。
ケチャはリズムだけで出来上がっているのではないか。
メロディーもハーモニーもそれらしきものはあるが、表に出てくる事は無い。
特徴的なのはとにかく刻むこと。
その本質はリズム以外の何物でもない。
そしてシタールに言える事はハーモニーと呼べるものはどうやらなさそうだと言うこと。
この音楽はメロディーとリズムで出来上がっている。
そしてこのメロディーリズムは2つとも独立して存在しているのだ。
明らかに全く別の動作が1つの音楽の中に同時進行で現れてポリフォニックな世界を作り出す。
音階の独特な運びはあるが、インドのシタールはそういった音楽で成り立つ。
両方とも日本人には受け入れやすい要素がたくさんあると言える。
感覚に強烈に訴えかけてくるので、全く興味がない人でも思わず耳をすまして聞いてしまうだろう。
そんな独特の響きをこの2つの音楽は持っていると言える。
YouTubeやGoogleを検索していて、たまに観光案内でこの辺の土地柄の情報を得たときに、ふと目にとまった楽器でかつての記憶が呼び覚まされた。
昔と違って今はYouTubeで自在に音楽を鑑賞することができる。
芸術の秋にふさわしい題材とは言えないだろうか。