いよいよ大阪での本格的な女中修行が始まった。
とにかくやらなければいけないこと、覚えなければならない事はてんこ盛り。
しかし、喜美ちゃんの持ち前の頑張り屋精神はしっかりと機能して、どんどん腕を上げていくことに。
そして、物語の描き方はまさに吉本新喜劇。
しっかりしたストーリーと台本があるにもかかわらず、お笑いのやりとりが随所に散りばめられる。
目次
電話の受け答えはなめられんように大人の声で!
いかにも関西のドラマのやりとり。
15歳の設定だから、当然、まだ子供だよね。
大久保さんのアドバイス。
「おかしな勧誘の電話があってもなめられないように大人の声で!」
「荒木荘でございます」
「🎵荒木荘でございます🎶」
声を作れば、余計 漫才の掛け合いに(笑笑)
朝出かける前に、さださんからご近所さんの簡単な地図が手渡される。
この辺で電話があるのはうちだけだから、呼び出しのための電話がかかってくる可能性が。
「この地図を参考に、応対してあげてね。」
確かに昭和28年から30年にかけてだと電話が設置されているのは店屋さんとか会社とかくらい。
一般のご家庭で電話があったのはよほど裕福な家のみ。
そういえば、昭和48年当時だとたいていの家に電話はついていたような。
この頃から、今のNTTの電話回線が全国ネットで普及し始めた記憶が。
最初の頃はね、ご近所の家に電話をかけて取り次いでもらうことも普通に行われていた。
今、携帯電話が当たり前の時代。
考えられないようなことが当時は普通だったのだ。
信楽のお父さんは 酒飲み貧乏 しょうもない
信楽で従業員2人を抱えたお父さんは、毎日必死で仕事をしている。
2人を雇っている気持ちから、従業員のために少しでも“良いカッコ”をしようと。
仕事が終わった後晩御飯を食べさせ、その後、酒をおごってあげることも。
このお父さんの場合、こういった理由にかこつけて、自分が酒を飲みたいからも、多分にありそう。
どうやら、毎日仕事が終わるたびこんなことをやっているような雰囲気。
酔いつぶれてどうしようもなくなるちょい手前で、友達の大野さんを呼ぶことに。
大野さんは嫌がることもなくお父さんを迎えに来て自宅にまで連れ帰ることに。
実はドラマの中では、こうして大野家に連れ帰られたお父さんは電話を見つけて、内緒で大阪の喜美ちゃんに電話をするのだ。
たまたま電話に出た喜美ちゃん。
なめられないようにと大人の声で対応したはずが。
かかってきた電話は無言で何も話さない。
仕方がないので電話を切る旨を告げて“がちゃん”と。
そのやりとりを信楽の電話口で涙ながらに受話器に耳を押し付けているお父さん。
正直なところ、お父さんは仕事に追われる傍ら、大阪に出稼ぎにいかせてしまった喜美ちゃんのことが可愛くてたまらない。
かわいい娘に苦労をさせている、
自分への罪悪感。
そして、娘への期待感。
その2つの心があるゆえにとても会話なんかできなかった。
ましてや、たっぷり酒を飲んですっかり出来上がっているので。
ポロポロ涙を流して、
「喜美子 頑張りや」
そう口でつぶやくのが精一杯。
お父さんのこんな必死の頑張りは、この後ちょっとした事件のきっかけに。
ここから先はネタバレになるので明日以降の楽しみと言うことで。
同級生たちの思い出
荒木荘には、毎日手紙や葉書等が舞い込む。
その中に喜美ちゃん宛の照ちゃんからの手紙。
写真も同封してあって、自分の高校生活が楽しくて仕方がない旨を報告してある。
もとより、見えっ張りの照ちゃん。
高校へ行ったところで、それほど仲良しの友達ができるはずもなく、パシリの信ちゃんにカメラマンを命じて、様々な記念撮影をしている状況。
仲の良さそうな友達も、実は照ちゃんからお願いして一緒に写ってもらっている。
しかし文章の中で、しつこく“楽しい”を繰り返されると喜美ちゃんにもなんとなくうらやましい気持ちが起こってくるのだ。
本当は、信楽に残ってみんなと同じ高校に行きたかった。
そういったことをふと考えてしまう。
手紙は喜美ちゃんにそんな思いを抱かせる切ない内容。
古い信楽焼は値打ち品?
荒木荘での住人たちの帰宅時間はバラバラ。
その中でも特に遅いのが“ちや子さん ”
新聞記者である彼女は、取材や記事の作成で夜なべすることも。
ドラマの中で分かった事は、どうやら喜美ちゃんはそんな遅い住人のためにだろうか、眠らずに待ち続けている。
そして帰ってきたちや子さんに、
“お茶漬けでも召し上がりますか?”
この頃のアパートって、ここまで面倒を見るのかなと。
そりゃありがたいに違いない。
その時のやり取りで、たまたま目にしたのが照ちゃんからの手紙。
写真を見ると高校生らしい。しかも楽しそう。
そう告げられた喜美ちゃん。
“私も信楽から持ってきた大切なものを持ってます”と。
そこで見せたのがこちらへ来るときに一緒に持ってきた信楽焼のかけら。
ちや子さん曰く。
「古い信楽焼は値打ちのあるものもあるらしい。」
「よかったら私の会社に持ってきてもらって鑑定してもらったら?」
その申し入れに、激しく反応する喜美ちゃん。
たまたま山の上で拾った信楽焼のかけらに値打ちがあるなんて!と。
そこら辺で拾ったものがお金になるなんて、喜美ちゃんにしてみれば濡れ手に粟のことのように思ったようだ。
この無邪気な喜び様も大阪風の物語の描き方。
ちや子さんが“必ず値打ちがあると決まったわけではないよ”とたしなめるものの、すっかり乗り気の喜美ちゃん。
貧乏暮らしゆえか、お金には激しく反応。
ちょっとネタバレになるが、この信楽焼のかけらはどうやら室町時代のものらしいので、若干の値打ちがあるらしいのだ。
古い時代の陶器は、そのほとんどの場合、値打ち品として高い値段で取引されたりもする。
一体、いくらの値段だったんだろうか。
スカーレットは後々信楽焼の女性陶工の話になっていく。
芸術家の話になるので、芸術を自分の目でしっかりと見極められる能力はあらかじめそれなりのものが備わっていないと、物語として成立しなくなるのだ。
喜美ちゃんの審美眼は果たしていかほどのもの?