今日カナダグランプリのすべての結果が。
実は、ネットのニュースでは昼過ぎにはもう結果が発表されていた。
今晩の放送は録画で行うようだ。
この2年くらいで、新たな時代に突入したフィギアスケート。
その驚愕の結果をまとめてみたい。
目次
羽生結弦の別次元の強さ
実は、番組放送の最後から2番目に羽生結弦の演技だったので、会場の盛り上がりもほとんど最高潮。
フリー演技だけで212点。
トータルでも320点を超えるので、彼自身のパーソナルベストを超えてきている。
カナダ大会は、グランプリシリーズの初戦と聞いている。
最初からとんでもない完成度の演技を構成してきたのだが、このプログラムは実は2年かけて同じものをやっているようだ。
普通、フィギアスケートの選手は毎年新しいプログラムを作って、曲から、振り付けから、一切変えてくるのが普通だが、今回の羽生は昨年から“オリジン”を使っている。
同じプログラムだが、若干のマイナーチェンジをするので全くのコピーと言う事でもなさそう。
しかし、その羽生が全くミスらしいミスもなく思い通りの演技をすれば他の選手たちがついていけるはずもなく。
2位に大差をつけてのぶっちぎりの優勝。
ほとんどは自分自身との戦いだったと言える。
羽生結弦が尊敬するスケーターがあの“皇帝プルシェンコ”
そして“プルシェンコ”はダンサーの“ニジンスキー”を尊敬していたと聞く。
この“ニジンスキー”は“ストラヴィンスキー”の時代のダンサー兼振付師である。
クラシック音楽の歴史とも重なって、なかなか興味深いエピソード。
しかし、さすが男子。驚くべき高いレベルの演技を見させてもらった。
羽生結弦はこのまま次のオリンピックまで突っ走っていけるのかなと。
フタを開けてみたら彼自身が1番年上で、24歳。
彼自身に1番起こる可能性のあるトラブルは怪我だと言える。
もうすでに練習量で選手のアイデンティティーを立てるようなレベルではない。
彼の強さの1番の元になるのは集中力。
そのことのみが、彼自身をこれからも成長させ続けるのに違いないのだ。
注目の女子の結果は
女子のフリーの演技を見て、どの選手も驚くほど挑戦的なプログラムで演技していたことが印象的。
皆それぞれにジャンプでの1部転倒を含んでいて、必ずしも100%の演技ではなかったのだが、もともとが前人未到のプログラム。
特に4回転を中心に構成を組んできたトルソワ。
彼女の演技構成は男子と全く変わらないと言える。
4回転ジャンプを4回組み込んできたのだが、初回だけは残念ながら転倒したが、その後の3種類をことごとく成功させてきたのだ。
集中力もさることながら、失敗してもまるで物怖じすることなく挑戦できる精神的な強さは、他の選手にはちょっと見られない特徴かも。
彼女自身“ジャンプをすることが大好きだ”と言っている。
にこやかにインタビューで微笑む15歳の少女の瞳の光の奥には、他のものを威嚇するような獰猛な輝きさえ感じる。
実はこのトルソワは女子のフィギアスケートの点数では過去最高の得点を計上しているのだ。
この直後に滑った紀平梨花。
私は彼女を褒めたいと思う。
前走者が世界最高記録を出した後で、その直後の者がどれだけ集中力を保てるだろうか。
しかし、紀平の集中力も半端ない。
自分自身の演技をきっちりと行っていた。
トリプルアクセルを2度計上したのだが、1本目は実は不本意な出来だったのだ。
回転軸がずれてふらついたために、コンビネーションにすることができなかった。
しかし、その後すぐにまた同じトリプルアクセルをコンビネーションジャンプにしてリカバリーするあたりが、演技に対する集中力が半端でないことを証明している。


この2人の演技は本当に称賛に値すると思う。
オリンピックに出場すれば2人とも間違いなく金メダルレベルの成績だったと言える。
とにかく驚くべきグレードの演技。
採点基準がジャンプに偏る傾向があるので、4回転ジャンプを多発したトルソワに分があったと言える。
そして、今回やはり強さを感じたのは韓国の15歳ユヨン。
冒頭のトリプルアクセルを失敗したにも関わらず、他のジャンプや表現力などで、高得点をマーク。
見事に3位入賞を果たしているのだ。
私が注目していた本田真凛とメドベージェワ。
彼女たちもフリーの演技では本来の滑りを取り戻し、納得のいく演技をしていたと言える。
演技が終わった後の2人の表情にそれが表れていたようだ。
2人はジャンプでなく表現力でアピールするスケーター。
女性的な美しさとか、可愛らしさとか、を考えたときにはこの2人がピカイチと個人的に思っている。


女子選手たちは明らかに新時代に突入してきている。
技術的な部分でそれは顕著に現れていて、ロシアの15歳の選手がそのことを特に印象づけたと言える。
4回転ジャンプを4回組み込むプログラムなど男子と何ら変わらない。
トルソワ選手は後半やや疲れが見える頃にも、4回転ジャンプを1つ組み込んで点数アップを狙っていた。
そのような技の配分が出来るのも、もともとの実力がなければ到底叶わぬ事。
年々レベルが上がってくることを感じていたが、ここへきてそれは一気に花開いたと言える。
今年の後半から来年にかけて、おそらくさらなる高レベルな試合が展開されるに違いないのだ。
新時代へ突入したフィギアスケート
トルソワの演技が 終わった後で、紀平は、
“自分の最高の演技をもってしても彼女を越えられないかも”と思ったらしい。
それは行って見ればトリプルアクセル対4回転ジャンプ。
それぞれカウントされる点数は、他の3回転ジャンプの5割増から倍に相当する。
特に4回転ジャンプは加点が加わると15点ぐらいカウントするので、通常の3回転の倍ぐらいになるだろうか。
それを3回4回、1回の演技で行うのである。
そこだけで簡単に20点ぐらい差がついてしまう。
今回の競技を見ていてもトルソワ選手の自由演技は166点を超えていた。
本田真凛が自分なりに納得できるフリー演技で120点ほど。
この2人の点数差を見れば、技術力の差は歴然なのだ。
ちなみに紀平の自由演技での得点が148点
それぞれ皆高得点とは言える。
元世界チャンピオンのメドベージェワも自分自身の演技をしっかりすることができて140点を超えてきていた。
3回転ジャンプで演技を構成すると、この辺が最高得点と言えるだろう。
160点を超えるような点数は4回転ジャンプが複数組み込まれなければ不可能なのだ。
ちなみに、男子の最高レベル羽生結弦クラスだと、自由演技だけで210点くらい計上する。
今回の男子の競技は羽生結弦のぶっちぎりだったが、もう1人の日本人選手田中刑事も自分の力を十分に発揮できたと言えるだろう。
3位入賞を果たしている。
これからのこの競技は、まず第一に自分自身の本来の演技をきちんと再現できること。
自分自身の技術革新を怠ることなく追求し続けること。
そう遠くない将来、女子は4回転、男子は5回転の時代に突入するのかも。
いつも思うのだが高度な技をこなすために、怪我などせぬよう十分な自己管理をしてほしいもの。
普通にテレビ観戦するファンの1人としてとにかく怪我をしないことを第一に希望するのだ。