昨日放送になった3回目の麒麟がくる。
物語はまだ光秀が独身時代で、かなり若い感じ。
登場人物は相変わらずだが、帰蝶役の川口春奈が本格的に物語に参加してくる。
今回の放送の目玉はなんといっても
斉藤道三こと利正と土岐頼芸の恐るべきやりとり。
全くお互いを信用していない者同士の話し合いがいかなるものなのか、さすがに危機迫る演技で見るものに迫ってくる。
目次


守護と守護代
実は3回目の放送の麒麟がくるの1番の見所はこの場面だった。
守護である土岐一族の最高実力者土岐頼芸と守護代である斉藤道三とのやりとり。
それぞれはお互いのことをまるで信用していない。
土岐頼芸は昔、道三によって守護職から失脚させられ、さらにその後の守護職である甥の土岐頼純を毒殺されている。
およそ信頼関係などあるはずもないのだが、お互いの立場上主君と家来の関係なもので、そのことを盾にとって話を進めようとしている。
道三がわざわざ赴いたのには、空席となってしまった守護職に頼芸を立てたいとの事。
道三は実は同じような有力な地方の豪族からは疎まれていた。
つまり斎藤道三は戦では類稀な才能を発揮するが、周りからの信頼は身内も含めてなかなか得られにくい状況にあった。
理由も簡単なことで、道三は自分勝手な性格で、よほどのことがない限りは他人の意見に耳を貸すことなどない。
今までも自分の才覚だけでのし上がってきて、これからもそうするべきと考えるが、ここへきて昨年の織田信秀との戦いで美濃国の中は疲弊し荒れ果ててしまった。
国内の有力な者たちが皆力を合わせなければならないが、道三だけの呼びかけではなかなか人が集まらない。
それ故土岐頼芸を正面に立てて人身の掌握を図ろうと言うもの。
この辺のやりとりが見所充分なドラマ。
ワシも頼純のように毒を盛られてしまったのではかなわんでなぁ
操り人形に毒など盛りはせぬ
このとてつもなくそれぞれを侮辱する会話。
ドラマとは言えここまで相手のことを貶めるセリフ回しもちょっとないだろう。
どれだけ険悪な間柄なのかが想像つく。
この会談の後、土岐頼芸は守護に復活することに。
しかし頼芸をつまり家来である道三の操り人形。
言いなりで動くしかないのだ。
それ故、美濃国ではない尾張の織田信秀に使者を使わせて打倒道三を訴える。
下克上以前に、自分自身の国内が荒れ放題になったとしても気に入らないものには復讐をする そのような非道な行為がまかり通っていた時代。
ドラマのちょうど中頃で描かれた本木雅弘と尾美としのりの丁々発止の演技は、驚くべき見ごたえ。
テレビでやっているドラマとは思えないくらいの迫力。
巷の下馬評では、主役の明智光秀の存在感を食ってしまうほどの演技力と。
個人的に思うのだが、そのぐらいの存在感のあるキャラクターがいっぱいいてこそ物語は盛り上がるというもの。
これからのやりとりにも大いに期待が持てる。
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光秀と帰蝶


帰蝶がわざわざ明智庄にやってきたのは 、戦で負傷した叔父を見舞うため。
と同時に内々ではあるが、自分の夫頼純が父に毒殺されたことをどのように思っているのかそのことをどうしても確かめたかったのだ。
帰蝶は自分自身の立場に心が揺れていたと言える。
しかし物語の中ではその心は夫ではなく自分の父斎藤道三に向いていた。
夫の不守備をどうかお許しください
この言葉に全てが現れている。
そして夫の斉藤家抹殺の織田軍招聘。
このことを斉藤さんに密告したのは帰蝶本人だったと推察される。
後に織田信長に輿入れする時も、織田家のことを探る目的で嫁いだに違いないとされている。
この頃の帰蝶はまだ14 5歳。
年端も以下の少女が、こんなにも重要な役どころを演じるなんて、今ならば到底及びもつかない。
光秀と帰蝶はいとこ同志として幼い頃から一緒に過ごすことが多かったようだ。
お互い相手のことを信用するばかりでなく、他の人には話せないような内容のことも打ち明けられるようなそんな関係だったようだ。
光秀は帰蝶よりも10歳以上は年上だったと推定される。
信長が帰蝶の1歳年上。
光秀が信長よりも推定だが10歳程度年上とされているので。
麒麟がくるの中では、光秀の年齢はちょうど20代位と推定される。
この後織田信長の家臣となるまでにはまだ少し紆余曲折がある。
そして肝心の織田信長もこの頃はまだ
尾張の大うつけとして勇名を馳せていた。
今回のドラマの中では、帰蝶と光秀が親戚関係にある設定として描かれるので、この後も物語の進行具合もそのことを大きく反映していくのだろう。
史実ではいかんせん光秀も帰蝶も記録があまりに少ない。
研究は未だに現在進行形の状態で、これからも新しい事実が発見されるたびに歴史的なものが塗り替えられる可能性は大きい。
今伝わっている明智光秀像は裏切り者としての印象がとても強いが、それらは全て後世の脚色によるもので、実際のところはよくわからないというのが本音だろう。
様々なテレビの番組で特集が組まれているが最近でも新たな文献が発見されるので、その都度過去の歴史観は乗り換えられる。
明智の里でのひととき
帰蝶にとって明智庄は居心地の良い場所として描かれていた。
特に光秀の母と帰蝶の関係も、とても好ましいものに描かれていたし、2人の間柄が幼い頃のことも想像させてほのぼのとしたものを感じたのだ。
斉藤一族は、土岐一族と密接な関係を持っているが、と同時に明智家とも親交が深い。
しばらくの間は、こういった関係をもとに物語が描かれるものと。
特に今回歴史には出てこないキャラクターの
お駒とか菊丸とかの関係も物語の中では大切な役どころとして描かれている。
鉄砲の持つ意味
土岐頼芸は斎藤道三ばかりでなく、その息子高政をも取り込もうと画策する。
高政の母親はもともと頼芸の愛妾だったものを家来である斎藤道三に譲り渡したもの。
頼芸はあたかも自分が高政の父親であるかのように振る舞って、斉藤家の中にさざ波を立てようとするのだ。
実はこのことを邪推した道三はことの外長男である高政に冷たい仕打ちをすることが多かった。
後にそういった父と子の確執が斉藤家滅亡の引き金になってしまう。
斎藤道三は後々この息子高政によって滅ぼされてしまうのだ。
まさに下克上そのものと言っていい。
そして息子高政は織田信長に討たれることになる。
ドラマの中で描かれていた鉄砲の扱い。
鉄砲の威力を早くから認めていた光秀にとっては、高政のそばにいることこそが美濃国のためになると心に決めるのだ。
織田軍の鉄砲隊は有名なのは3段撃ちと言って、次々と連続して弾丸を発射できるように工夫したもの。
この方法で武田軍を長篠の戦いで撃ち果たしている。
この当時の最新鋭の戦法だったのだ。
おそらく今回のドラマの中でも光秀に関係した戦術として描かれる可能性がとても高い。
この頃の火縄銃は連続して弾丸を発射することが特に煩わしかったので、そこを解消するための方法がどうしても必要だった。
来週の話の中ではいよいよ三河の今川義元が登場する。
街道1の弓取りと呼ばれた勇猛果敢な武将。
この当時の日本の中で、3大武将といえば、今川家、武田家、後は上杉家か毛利家になるだろうか。
室町から続く有力な守護職なので、軍のみならず政治的にもとても優れた武将だったようだ。
まだ3回放送が終わったばかりの麒麟がくる
物語が膨らんでいくのはこれから。
まだ、光秀像もはっきりとは定まっていないので、これからどのように味付けされていくのか。
それにしても脇を固める様々な俳優の役どころがとても強烈な印象を発揮しているので、肝心の主人公のキャラクターがこれからどのように描かれるか大いに期待される。