何度もブログで報告するように私の映画歴は半世紀を軽く超える。
名作注目作などあらゆる作品を見てきたが、私を映画に目覚めさせた作品がいくつかあったような記憶が。
小学校5年生位の時に白黒の小さなテレビで見た、
ジャンヌモロー主演の恋人たち
そして同じようにテレビで見たのが中学2年生だったろうか。
テレンス・スタンプ主演のコレクター。
映画の表現に限りない可能性を感じていっぺんに好きになってしまった作品たち。
今思えば子供が見るような映画ではないよね。
しかし、今回大人になってから見た映画で衝撃を受けた作品。
それは2つ
羊たちの沈黙とハンニバル
この2つも映画館ではなくレンタルでビデオを借りてみたのだが背筋が凍りつくような恐怖を覚えた。
目次
精神科医ハンニバル・レクター
映画はずいぶん前に見ているので、記憶の中でも実はおぼろげな部分が多い。
したがっていつものようにネットで検索してみたところ。
主役を演じているアンソニーホプキンス。
彼はこの作品でジョディ・フォスターとともに主演男優賞主演女優賞両方を受賞しているのだ。
演技の良し悪しの事はともかく、猟奇的な題材を描いた作品にもかかわらず役者たちの演技は作品の中に溶け込んで全く違和感のないものに感じた。
さてこのあまりに有名な
アンソニーホプキンスのハンニバル・レクター博士。
映画の制作サイドでは最初のオファーはショーン・コネリーだったようだ。
しかしこのオファーは見事に断られ2番目の候補だったホプキンスに回ることに。
そしてFBIのクラリス捜査官は最初ミシェル・ファイファーにオファーが。
しかしこちらも辞退されてしまった。
当初からこの作品のクラリス捜査官に志願していたジョディ・フォスターに決定したと聞いている。
これは本当に裏話になるが、ウィキペディアの中にしっかりと記録されているので間違いなさそう。
ちなみにこの作品は、殺人事件の犯人としてバッファロービルが描かれているが、その描き方が差別を象徴するとしてずいぶん非難の対象になったようだ。
しかし、監督のジョナサンデミは次の作品フィラデルフィアで差別の指摘は作品に該当しないとのメッセージを送っている。
この映画を見たときに、レクター博士がかつてないほど凶悪な犯罪者との描かれ方だったが、アンソニー・ホプキンスが瞬きしない目でうっすらと微笑みを浮かべている様子はさすがに狂気を感じた。
役柄を作ることに関して一流の俳優は大変な思い入れを込めてやっているのだとその時に強く感じたもの。
テレビで彼のインタビューを聞いたことがある。
私は役柄上、気の狂った殺人者の演技を求められるが、それはあくまで演技。
私自身は見ての通りごくごく普通の老人ですよ。
このインタビューはなかなか含蓄が深いと思ったね。
FBI捜査官クラリス
FBI捜査官クラリスは実はまだ研修生のレベル。
初めて担当させられた事件がバッファロービルの殺人事件。
実は猟奇的な殺人事件なのでどうしても専門的な精神科医のコメントが必要になり、担当官が収監中のレクター博士に意見を求めても彼はこれを拒否。
そこでうら若い女性クラリスが白羽の矢を立てられて取材をすることに。
ジョディ・フォスターのおどおどしながらも自分の任務を果たすために勇気を振り絞ってレクター博士に会いに行くシーンなど今でもうっすらと記憶に残るので。
ハリウッドの様々な女優の中でも、彼女は1 2を争うほどの演技の上手な女優。
ジョディ・フォスターの持ち味が遺憾なく発揮されていた気がする。
何せこの作品で主演女優賞を受賞しているので。
ちなみに羊たちの沈黙の次の作品ハンニバルではジョディ・フォスターではなく、
ジュリアンムーアが役柄を引き継いだ。
ハンニバルでも演技は秀逸だったと記憶する。
レクター博士もクラリス捜査官も最初の羊たちの沈黙からイメージを全く変えることなくそのまま役柄を踏襲していたので。
特にクラリス捜査官が子供の頃の体験でトラウマを抱えていることなど描き方は巧みだったと思う。
刑務所内の取材も生々しい描かれ方
レクター博士とクラリス捜査官のやりとり。
わずかな時間の中だけど、緊張した様子が伝わってくる。
実際に対面するときにはガラス越しで決して体が触れ合うことをしてはならないとされていた。
指1本でも自由にしてしまえば必ず殺されてしまうと。
そのぐらい凶悪な殺人者がハンニバル・レクター博士。
しかし、犯罪者とは言え、もともと精神科医のレクター博士は犯罪心理学の分析においても超一流の仕事をしてみせる。
彼の指摘の通りに犯人を追い詰め、逮捕につながった。
映画はサスペンスでありホラーであったが、このジャンルの映画がアカデミー賞を総なめにする事はほぼなかったことだろう。
ちなみに映画が封切られた1991年は あのターミネーター2が風来られた年にあたる。
あの超有名な作品の影で、こういった本格的な映画もきちんと作られていたことにハリウッドの底力を感じたもの。
2つの作品が描きたかったもの
2つの映画は実際はもう1本の作品と合わせて三部作となっていた。
作品のテーマはもちろん人間が持つ狂気。
人間はその生い立ちや経験からどういった狂気を持つようになるのか。
このような心の底をあぶり出し描ききることで作品は成立していたと思う。
とにかく凄まじいのはハンニバルの最後のほうにあったこのシーン。
麻酔で朦朧とした男の頭蓋骨を外し、そのまま脳みそをサクサクと切り取って料理をして食べてしまうのだ。
そしてこのシーンの中で、切り取った脳みそを脳みその本人に食べさせてしまう。
これはカニバリズムと言って人肉を食すること。
確かこのシーンがあったせいで作品はR15くらいになっていた気がする 。
また、羊たちの沈黙はテレビでも何クールか作品が計上された。
テレビシリーズは見たことないが、彼が演じるのならレクター博士を表現できるかもと思う。
私の中でもかなり評価の高い俳優。
彼はスター・ウォーズのローグワンを始め、007など様々な作品に顔を出す。
やっぱり1本スジの通った俳優でなければ務まらない役柄だよなと感心する。
いずれテレビでこのシリーズをやっていただけないのかと思う。
これくらいの押しの強い作品であれば間違いなく見ごたえあると思うので。