月曜から土曜までと日曜では朝のルーティーンが若干違う。
基本的にはテレビを見ながらいろんなことをして過ごすのだが、平日は主に朝ドラを見る。
日曜日は再放送の太平記が朝6時からやるのでそれを見ることに。
実は太平記は今の大河ドラマ麒麟がくると同じ脚本家。
池端俊策さん。
この方の重厚で丁寧な人物描写がとても気にいっている。
今晩6時からやる麒麟がくるはまたブログで感想ををアップするが、最近ずっと見ている太平記も見るたびに面白いと思うので少し調べてみることに。
目次
足利尊氏が主人公として描かれる
実は我々が昔から知っていた足利尊氏の肖像画。
これが最近の研究で本人でないことが発覚
尊氏の肖像画はこちらがどうやら本物
時代は鎌倉幕府の末期から室町幕府成立に至るまでの時代を描いた物語だった。
さて足利尊氏は1305年から1358年まで存命となっている。
この時代50歳を超えるまで生きられたのはそれなりに長生きだったと言えるかもしれない。
大河ドラマでは真田広之が世の中に対して自分なりの思いを込めながら尊氏を演じていた。
この物語ではとにかく登場人物がとても多い。
室町時代は鎌倉幕府の代わりに成立した歴史があるが、実際のところは一筋縄ではいかなかったのだ。
また時代はおよそ150年間継続はしたが、最も権威を保てていたのは3代将軍義満の頃。
太平記で描かれた尊氏は室町幕府の初代将軍にはなっているがまだ世の中全てを平定できていたわけではなかった。
日本史のタブーって言われる時代背景
足利家の系譜は見ての通りそれほどの難しさは無い。
しかしこの太平記における足利家は驚くほど複雑な物語の作りになっている。
この物語に天皇家の様々な争い事が加わってくる。
有名なのはたくさんの武士たちから支持されていた後醍醐天皇。
彼が自らの政権を発足させようとしたところから物語はより混乱度を深める。
鎌倉幕府の最後の方で登場してくる後醍醐天皇は幕府に楯突いたことでも有名だった。
そのせいで暗殺計画が起こり、捉えられて隠岐へ島流しにされてしまうのだ。
太平記でもその辺のいきさつが詳しく描かれている。
当時の鎌倉幕府は源氏が頭領として据えられているわけではなかった。
政治の実権は北条氏が握り、幕府自体が形骸化していた。
そして北条氏の政治運営も混迷を極めた。
そのことへの反発であちこち反乱が起こったのも事実。
それは同じ武士同士の争いだったが、北条に逆らう者たちは後醍醐天皇のお墨付きを得て勢いを増した。
その鎌倉幕府を滅ぼすことに中心的な役割を果たしたのが足利尊氏、新田義貞、楠正成。
他にもたくさんいるが彼らが歴史的に特に有名だろう。
彼らは皆同じ仲間として当初は活動していたが、やがてそれぞれは仲違いをして足利尊氏のみが生き残ることに。
武家の立場としては天皇のお墨付きがなんとしても欲しいところ。
そして後醍醐天皇は武士たちの求めに応じて様々なお墨付きを乱発した経緯がある。
そのことが当時の日本の政治に大きな混乱を招いたのは間違いないだろう。
俳優たちの演技
当時著名な俳優たちがこぞって出演していたことでも知られる。
名優たちが勢ぞろいなのだ。
演技も申し分なかったと言えるだろう。
NHKのサービス精神もより強く感じた。
それは物語に登場する女優に当時の最も有名なアイドルや女優を配置したこと。
実は、この3人に対して、物語に合わせて架空の人物を登場させていたわけではなかった。
3人とも歴史的実在なのだ。
そのことがすごいと言えるが、何よりも当時の世の中がここまで多数の登場人物が暗躍できるほど混迷の度を深めていた。
そのことに驚きを感じる。
この中では、沢口靖子と宮沢りえが足利尊氏の子供を設ける役どころ。
それぞれ男の子を設けるのだが、将来的にはこの子供たちも仲違いをして戦をすることに。
足利尊氏本人も弟と仲違いをして戦をしている。
この時代からすでに家族といえども自分の味方になっているとは限らなかった。
様々な登場人物が入り乱れて自分自身のアイデンティティーを確立しようと必死にやっていた時代。
太平記とはそうした物語だと解釈できる。
テレビのドラマもたまたま何気なく見た位ではおよそ理解に苦しむ。
とにかく人間関係が驚くほど複雑。
また脚本家が優秀なせいもあってその複雑な登場人物の胸の内を克明に描いている。
この物語はある程度予習をして物語の流れを頭に入れておかなければいきなり見たところで到底理解できるとは言えない。
今放送している麒麟がくるでも登場人物の描き方は驚くほど丁寧。
池端俊策氏がどれほどの情熱を傾けて脚本を書いているかわかると言うもの。
麒麟がくるは本能寺の変に至るまでの明智光秀の胸の内が克明に描かれるに違いない。
では、太平記ではどうなるのだろうか。
この物語の中では、足利尊氏と弟の直義はやがて仲違いするようになってしまうのだが、どうやら最後は弟が毒を煽って死ぬような設定になっている。
歴史的にも毒殺か病死かで意見が分かれるところなので、太平記では毒殺をとっていた。
今からおよそ700年ほど前の話だが、この時からすでに日本は戦国時代に至るまで混迷を繰り返す。
そしてこの時代は天皇家そのものが南北に分かれて争った時代でもあった。
歴史のタブーと言われる所以はこの辺にもありそう。
足利尊氏の時代に南北朝の混乱の時代が始まり、終わったのは3代将軍足利義満の頃。
ちなみに今の天皇家は北朝の子孫とされる。
この辺の話も調べれば驚くほど入り組んでいるので、歴史をきちんと知りたい人はちゃんとした資料を読まなければいい加減な理解しかできないことに。
さて太平記はそうした時代背景で物語が作られている。
この流れで行くと、多分最後まで欠かさず見ることになりそう。