くわちゃんの独り言

音楽や映画が大好きな爺さん。長年の経験から知りえたことを発信します。

ゴルゴ13に託したさいとう・たかをの思い

 

昨日の夜たまたま見かけたNHKの番組アナザーストーリーズ

取り上げられていたのは1968年からずっと続いている漫画ゴルゴ13

作家さいとう・たかをの名作中の名作。

個人的に大ファンである私も、全部で198巻出ている単行本を全て所有している。

私が手に入れ始めたのは25歳の頃からだから、およそ40年以上この作品を買い続けてきている。

ビックコミックに連載しているのはもちろん知っているが、単行本として所有したかったもので。

今までも様々なヒーロー物の漫画が発刊されているが、この漫画だけは全く別物。

主人公は世界的なテロリストでスナイパーの殺し屋。

もちろん年齢も国籍も全て不明との設定だが、どうやら日本人ないしは日系人ではないかと推察。

1968年当時で20代中頃の若者とあったので、今はもうすでに80歳近い年齢になっていなければならないが、そこは物語。

今でも40歳前後の設定で描かれ続けている。

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本棚1つを占領してしまうので前後に2列に収納

目次

NHKの番組とさいとう・たかをの現在

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さいとう・たかを御歳83歳

さいとう・たかをは24歳のときに現在のプロダクションを立ち上げている。

彼が漫画で仕事をしようと思い立ったいきさつには当時の第一人者だった漫画家たちの存在が大きかったようだ。

1960年頃、東京にトキワ荘と言うアパートがあった。

ここで有名になって活躍していたのが、有名な手塚治虫、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、その他に藤子不二雄がいた。

他にもたくさん住んでいたと聞いている。

その彼らに特徴的だったのが天才性。

彼らはストーリーの展開から作画に至るまですべてワンマンで完結していた。

さいとう・たかをから見るとそれは天才だからなし得る技であって、自分には到底そんな事は無理だと考えたので、チームを作って大人でも読める作品を作ることに。

そのポリシーで自分のプロダクションを立ち上げたと聞いた。

そして出来上がったのがゴルゴ13。

このキャラクターには実はモデルがいたと発表していたね。

高倉健

彼をモデルにしてキャラクターデザインを考えたと告白していた。

確かに言われてみれば納得できるような雰囲気が。

主人公のゴルゴはさいとう・たかを本人の作画によるもの。

かつて自分の仲間に代わりに書いてくれないかと頼んだところが、あの無表情だけがどうしても表現できないので全て断られたと言ってたね。

絵の上手い下手ではなく 、どんな雰囲気を漂わせるか、そのことが原作者にしかできなかったと。 

今ではすっかり有名になったゴルゴ13のルーティーン

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初期の頃と今現在では筆のタッチが違うよね

ゴルゴ13には独特のルーティーンがある。

何度も紹介されているので知っている人も多いだろうが、彼は握手と言うものをしない

それは効き手を相手に預けてしまうから。

また裏の世界では超有名でありながら簡単に彼とコンタクトを取る事はできない。

ほんの一握りの人たちだけが彼へのコンタクト方法を知っていて、その人たちに依頼をする形で取り次いでもらうしか連絡を取れない。

一匹狼で生き残ってきたゴルゴはさらに独特なポリシーを持っている。

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このセリフは確か子供に質問されたときの答えだったと思ったね

自分自身に課したルールで生きてきている1人のスナイパー。

いかなる主義や政治信条にも左右されることなく自分自身で決めたルールで仕事をする。

一人当たりの殺害に支払われるギャランティーも軍隊を雇うことに匹敵するほど高額。

そして現金で受け取る事はほぼしないようだ。

ほとんどの場合、スイス銀行の秘密口座に入金すると設定されている。

1970年当時でも一件あたりの依頼金額は数千万円だったと記憶。

さらに、自分自身をきちんと管理するために定期的に医療船を仕立てて健康診断を行っている。

そして訓練として無意識のうちにでもきちんと自分を守れるように特別にヨガの修行をしたりもしているようだ。

普通はありえないことだが、彼にとっての仕事はそういった世界で成立。 

さいとうプロは分業制で成り立つ

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自前でビルを所有

 さいとう・たかをは自分たちの制作スタッフをアシスタントとは呼ばないようだ。

完全に分業制で1つの作品を作っていて原案とか主人公の作画は彼が担当しているが、例えば背景であったり、様々な乗り物等は全て担当者が別に決まっていて、その専門職の手によって描かれているようだ。

今ならインターネットで世界中の様子が写真として手に入るが、ゴルゴ13の創刊当時はすべて、旅行をする人などに頼み込んでたくさん写真を撮ってきてもらったと聞いた。

確かにそうしなければ情報として手に入れることができなかった。

漫画家であるさいとう・たかをは脚本も外注に出して分業で作っている。

作画担当を脚本担当に回したこともあったと聞いている。

今回のコロナ騒動で一躍注目を浴びた

病原体レベル4

この作品の脚本家。

綿密に下調べをして豪華客船の中でエボラ出血熱の新しいバージョンが蔓延したとの設定。

今から25年前の作品。

実はこの作品で描かれた世界観は今回の日本のコロナ騒動の出発点と全く同じ。

5月にゴルゴ13の新作発表を見合わせた報道の後、再掲載の形でこの作品を発行したところが、大絶賛された。

驚くほどの先見の明だったと言える。

物語のこれから

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銃器へのこだわりは専門の担当者が受け持つ

さいとう・たかをの演出力は得意分野を持った者たちをいかにまとめあげ作品作りに結びつけるか。

その結果、銃火器に詳しいものもきちんと1人スタッフに入れている。

その彼の様子も番組の中で詳しく語られていたが、わざわざ外国にまで行って、自分で可能な限り銃を発射したらしい 。

確かに実際に使ってみればその使用感など論より証拠でわかると言うもの。

その中で得られた知識も作品の中に遺憾なく発揮されている。

特に狙撃のときには発射する瞬間まで引き金に指をかけないのだそう。

映画の中で引き金に指をかけたままで構えているスナイパーがいると、銃を扱ったことがないと瞬時にわかるらしい。

驚くほどのこだわり。

そして、これからも時代の様々な状況に合わせて銃火器も進化しているとの事だが、最新作ではAI搭載の無人機と戦う物語になったようだ。

ゴルゴ13の腕前は様々なカスタム仕様の銃を使うことによって1キロ先の狙撃にも成功している。

通常の狙撃でも、大体500メートルから800メートル程度ならば100発100中で成功させる。

プロダクションを率いるさいとう・たかをは年齢を考えてみてもあと何年頑張れるかなと思わないでもない。

私が初めてこの作品を知ったのは1969年高校1年の頃だったと記憶。

すでに半世紀以上が経とうとしている。

この物語を受け入れ続けることが私自身の人生でもあるようだ。