いよいよやってきた戦地慰問の命令。
行き先も何も告げられずに、5日後に出発するとのことで、なるべく東京を離れないようにとの指示。
そして、軍服その他を一式預けられる。
実は、戦況が著しく悪い中、なんとしても戦う兵士たちの士気を鼓舞する必要があったのだ。
昭和18年から20年にかけてだと、もう後戻りのできない泥沼の状況だった。
モデルとなった古関裕而さんもビルマ戦線への慰問にかり出されている。
目次
戦地慰問を依頼されたのだが…
祐一君にとっては音楽が全て。
そして音楽を自分の一生のなりわいとして頑張っていこうと若い頃から決意。
しかし、彼が作曲家として世の中に広く知れ渡るようになったのは軍歌をたくさん作るようになってから。
出す曲はことごとく大ヒットし、軍事歌謡の第一人者の称号も得た。
彼の心の中にわけ行ってみると、かなり無理をしていることがドラマの作りからも見てとれる。
自分は西洋音楽を自分の基礎として作曲しているが、図らずもその敵性音楽を軍歌に応用したら大成功をしたのだと。
彼はこの中で自分の作曲方法を敵性音楽と位置づけていた。
自分自身も命をかけて戦わなければならない!その悲しい決意がさらりと表現されていた。
その彼に対して必死で慰問を押し止めようとする鉄男君。
戦況は相当悪い!
生きて帰って来れない可能性も!
しかし、もはや一直線に突き進もうとする祐一君を押しとどめるだけの力は発揮できず。
陸軍とのやり取りでもうすでに現地へ派遣される事は100%決まったようなもの。
福島の母危篤の連絡
重苦しいやりとりの中、突然福島から届いた電報。
それは弟の浩二君からのもので、
母危篤!の連絡。
自分の事情を考えると里帰りしている暇はなくて、思わず陸軍にまで駆け込んで福島の様子を調べてもらうことに。
そうすると、周りが思うほどに重篤な状況では無いとのことで、戦地慰問は予定通り行うことが改めて確認される。
NHKの公式サイトでは来週の様子も何枚か写真がアップされているので、その写真を使わせていただいた。
確かモデルとなった古関さんの場合、戦地慰問の最中にお母さんが亡くなっていたと思った。
お母さんは、お父さんの亡くなった後8年後に亡くなったのだ。
年齢を考えてみても、そろそろ親がみまかる頃。
戦争中はいろんな意味で大変な時代だったと推察する。
夫婦の会話
自分も精一杯務めを果たすのだと一直線に突き進もうとする祐一君。
たとえどんなに心配していたとしても、夫を信じ、支えようとする音ちゃん。
夫婦のこのときの会話は姉の吟ちゃんと夫智彦さんのやりとりを思い出す。
みんなお国のためにと自分自身の全力を尽くすことを誓った時代。
それは戦争に踊らされた狂気と表されるかもしれない。
だが、もし自分がその状況に置かれたなら一体どんな反応をするのだろうか。
人ごととして考える人たちはこういった過酷な運命を受け入れた事はなかったわけだし、また自分の身に起こることとして受け取ることもないだろう。
この当時、必死で戦った人たちのことを今生きている私たちはどう受け止めれば良いのか。
とにかく、命がけの戦いだった事は間違いない。
結果として民間と軍属合わせて310万人ほどが犠牲になった。
この事実だけは未来永劫変わらない。
まとめ
さて、エールが描くストーリーの中で今が最も重い部分になるかもしれない。
ここをパスしてこの物語は成立しないこともあるので、ドラマは丁寧にそれでいてシリアスに作られていると感じる。
セリフ自体は決して多くは無いよね。
むしろ、俳優たちの独り言とか目の配り方とかその他の表情で思いを伝えるようなそんな演出が見てとれる。
特に主人公の祐一君。
彼は戦争の片棒を担いだわけだ。
自分では平和にみんな明るく楽しく暮らせることを祈っておきながら、実際は時代の流れに逆らうことにはならなかった。
どうすればみんなの願いを聞き入れられるのか、自分を捨てて邁進したと言える。
戦争が終わった後は、間違いなく悔恨の日々が待ち構えている。
ここから立ち直るエールの物語はきっと秀逸な仕上がりになるに違いない。