まさかとは思いつつ、戦争場面そのものをエールの中で描くとは。
悪名高いインパール作戦での随行となれば、何が起こっても不思議ではなかった。
およそ90,000人の将兵が作戦に参加して生き残れたのは10,000人とちょっと。
ほとんど8割以上の人が犠牲になった。
ドラマの中でも語られていたが、このインパール作戦はこの後中止となった。
今日のエピソードではそんな中、再会した恩師藤堂先生との衝撃的な別れが描かれる。
目次
音楽会を明日に控えて
戦場で隊長や部下たちが腹を割って話をする機会はそうそうあるものではないと。
しかし、さすがに藤堂先生の舞台では、先生らしさがにじみ出ていた気がする。
兵隊たちは皆、厳しい戦場の中でかつてないぐらいのストレスを感じていた。
抱いている思いはそれぞれ別だが、今までの人生を振り返ってみて自分を責めようとする者。
また、死ぬことに対して恐怖を抱くもの。
数多の戦争映画やドラマで描かれた、立派に戦って戦って死ぬなんて事はこのエールの中では登場しない。
藤堂先生の最後の締めの言葉がとても良かった。
みんな、生きて日本に帰ろう!
何にも増して命が大切であること、故郷に残した家族の為にも生き残らなければならない。
その思いは誰にも共通だったのだ。
生きて帰りたいとは思いつつも、生きて帰れる保証はどこにもない。
そんな中藤堂先生が祐一君に託したもの
それは家族への手紙。
受け取れないと拒否する祐一君を説き伏せて無理矢理持たせる。
これは、遺言のようなもの。
だって、自分が死んだときのことを想定して書いた文章だから。
この手紙は祐一君への最後の頼みとなった。
当日突然悲劇に襲われる!
まさにこれから音楽会を始めようとする直前。
その時恐れていたことが起こる。
敵からの突然の襲撃。
目の前で兵隊たちがバタバタと射殺されていくのだ。
この非常事態に藤堂先生はまず祐一君をトラックの下へと押し込んだ。
決して頭を出すな‼️
この時一体何が頭に描かれていたのか。
才能豊かな祐一君を守ろうとしたのか、それとも自分の教え子を守りたかったのか。
戦場では突発的なことにどのように反応するべきかなんてわかるはずもないが。
藤堂先生はまず祐一君の安全を確保しようとした。
そんな中、ついに藤堂先生も腹に銃弾を受けてしまう。
その場ですぐに絶命するわけではないが、腹に銃弾を受けると、致命傷と言わざるを得ない。
祐一君は我を忘れて先生に駆け寄り、先生を安全なところまでズルズル引きずったのだが。
薄れゆく意識の中で藤堂先生は
もう一度会いたかった…。
おそらく家族に会いたいと思ったに違いない。
そう言い残した後、そのまま息を引き取ってしまったのだ。
エールの中でここまで厳しく戦争シーンが描かれるとは思っていなかったので、今日の回は私にとってはカルチャーショックだったかも。
藤堂先生死す
物語の中であらかじめ予想はしていたが、やっぱり藤堂先生は戦死する設定になっていた。
しかも、死ぬ直前に家族宛の手紙を祐一君に託しているのだ。
インパール作戦ではいろいろ調べてみたが、前線ではまともな配給もなしに作戦行動だけは容赦なく要求されたのだ。
結論から言えば、ほとんどの人は餓死などの不本意な死に甘んじるしかなかった。
まだ敵と戦って死んでしまうのなら兵隊としての大義名分も立つだろうが、愚かな作戦であるが故に、まともな補給もなしに無理難題を言いつけられた結果、行軍途中でみんな命を落とした。
ちなみにこの当時の南方戦線は37万人の犠牲者を出したと言われている。
また調べてみると陸の3馬鹿なる3人の将校の名前も発見できた。
個人の責任を追及したところでどうにもならない話なのはよくわかるが、前線で戦った兵隊たちは良い面の皮と言うべきか。
命からがら生き残る祐一君
今日のドラマを見ていて、この写真に映ったシーンの直後に、缶詰を差し出している兵隊が頭を撃ち抜かれて即死する。
このときのリアリティーにちょっとびっくり。
CGを使ったのか、それとも別な着弾方法を使ったのか、映画さながらのシリアスなシーン。
弾丸が飛んできて体に当たる。
そのシーンの驚くほどリアルなこと。
朝ドラの制作スタッフたちの意気込みが感じられた何分間かだったと。
藤堂先生の配属されているこの部隊はどうやら補給のための前線基地らしい。
既にここまで敵の手が迫ってくるとなれば、この先にいる本隊もほとんど生きて帰れることなどなかったはず。
モデルになった古関裕而さんには弾が飛び交う前線への訪問はなかったと聞いているが、エールでは命のやりとりの現場に主人公が取り残される設定。
この厳しい経験は後々トラウマとなって祐一君に付き纏うことに。
今日はそんな過酷な物語が描かれた。