くわちゃんの独り言

音楽や映画が大好きな爺さん。長年の経験から知りえたことを発信します。

日本にはパイプオルガンが1000台以上もあるらしい😳

 

何日か前に見たテレビの中にパイプオルガンの特集番組があった。

この楽器の存在を私が本格的に目にしたのは中学1年の頃。

その時の渋谷のNHKホールに大きなパイプオルガンが設置されるとのことで取材を兼ねた設置までの過程が1時間ほどの番組で放送されていたのだ。

その時に初めて知ったこの楽器の巨大なことと、音楽的な魅力と、たった1人の人間でこれだけのものを操れると言う驚愕。

13歳の私にとってはかなりの衝撃だったと記憶。

それからずいぶん年月が経ったが、最近情報更新もあまりしていないので自分自身の知識ももう一度リセットする必要があるなと痛感した。

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日本にある何台かある代表的なもの

目次

最新鋭だと楽器そのものが舞台で反転するらしい

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これ同じ楽器 舞台が反転して裏表入れ替わる

日本には大小合わせるとおよそ1000台位のパイプオルガンがあると。

私が初めてこの楽器の存在を知った昭和40年代。

その頃で一体何台ほどあったのだろうか。

子供の頃、よく見かけたのは足踏み式の学校なんかにある小型のオルガン

幼稚園に通ったことがないのでわからないが、幼稚園とか保育園でもお馴染みの楽器のようだ。

しかしパイプオルガンとなると大型のものは全く話が違ってくる。

1台設置するのに楽器の本体価格だけで軽く数億円は計上する。

東京芸術大学音楽部新奏楽堂の、フランスのガルニエ 社製のパイプオルガンは、

購入価格が、26450万円(19997月納入)。

メンテナンス費用は、2001232万円・2002248万円

 

東京芸術劇場のガルニエ社のパイプオルガンの 購入価格は、387百万円(1990年)、メンテナンス費用は、13年間で12千万円(年間約1千万円)

大変な金額で、およそ一般庶民が何とかなるような額ではない。

私の記憶の中ではあの中学1年の時のNHKコンサートホールに設置されたもので確か記憶では

1億円以上だったと思う。

今から半世紀以上も前の話だから、今ならどのくらいで換算すれば良いのだろう。

パイプオルガンはすなわち建物ごと1つの楽器と考えるべき

パイプオルガンは設置されている空間を全て支配するために作られていると思って良いのでは。

もちろん音楽会用として用いられるが、

ベースはキリスト教の教会音楽と断言できる

教会音楽の著名な作曲家と言えば誰が何といってもヨハンセバスチャンバッハ

ミサに使う著名な曲を1つ2つ紹介してみたい。


東京カテドラル パイプオルガン「G線上のアリア、主よ人の望みの喜びよ、アヴェ・マリア」楽譜あり

バッハの雰囲気がよく出ている演奏でもあり、しかもこれは日本のもの。

私たちの耳に一番しっくりくるのでは。

独断と偏見で言わせてもらえば20世紀に入ってからもパイプオルガンの曲はたくさん作られているようだ。

しかし私の中ではパイプオルガン曲はバッハに始まってバッハに終わっていると言える。

それは作曲家の心意気の感じ方だろうか。

バッハは私の目から見ると職業作曲家で間違いないと思う。

教会から雇われた音楽監督として毎週行われるミサを取り仕切った。

その都度 新曲の賛美歌を作曲し、ミサそのものを主導したと言える。

私たちがよく知るパイプオルガンの名曲は、当時は演奏されるチャンスはほとんどなかったのでは。

教会音楽ではないので、いってみればバッハの副業だったのかもしれない。


Kar Richter BACH BWV 565  トッカータとフーガ ニ短調 12 inch Record 1964 年 1 月 22 日 ~ 26 日 コペンハーゲン イエスボー教会

YouTubeで検索すると様々な演奏家のものがアップされているが個人的にはこのカール・リヒターさんの演奏が1番耳に心地よい。

大体、この曲はバッハが20歳前後、

最初の結婚をしたときに一生がんばっていこうと決意したその決意表明のような楽曲だと私は理解している。

若者の、未来に向けての願いと抱いている野望の一端が感じられるではないか。

この曲を世界的に有名にしたのはあのアルベルトシュバイツアー

彼はお医者さんとしてアフリカで事前活動を行ったことで有名だが、もともとは牧師さんでパイプオルガンの名手。

事前活動の資金を稼ぐためにわざわざ自ら演奏してコンサートを開催していた。

 

www.kuwa-chu.com

 私の中でも特にお気に入りで、こだわりの作曲家なので。

楽器の歴史は驚くほど古い

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人力で風を送るしかない

調べてみると歴史は紀元前にさかのぼる。

私たちが記憶に残るのは中世の教会音楽からだろうか。

楽器は見ての通り1台1台が手作り、普通に考えて同じものは世界に1台しかないはず。

楽器は設置を決めてから計画して、完全に演奏可能な状態になるまでおよそ3年必要とされている。

値段もお高いが、メンテナンスなども含めると莫大な手間がかかる。

日本でも世界的に巨匠と呼ばれるオルガン製作者がいるようだ。

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横田宗隆さん

番組を見ていて感じたのはこの方は古い楽器によほど思い入れがあると見えて、現在の技術力をもってしても過去に作られた様々な金属の配合などをわざわざ再現しようと努力している事。

さらにすごいのは楽器に風を送り込む方式として電気を選ばずにわざわざ人力の方法を選んでいること。

つまり彼の作った楽器を演奏するためには小型のものでも演奏家と風を送り込むためのふいご師が必要。

番組の中でも演奏は2人がかりで行うと紹介されていた。

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小型のものは1人で扱えるが大きいものだと最大10人程度は必要

彼の言葉によると風自体も電気的な画一的なものではなくて人間の力できちんと加減して送られたものが優れていると。

なるほどと思う。

そして古いものには間違いなく良いものがあると。

彼が伝統的な作り方にこだわるのはそこに理由がある。

バッハの時代でも、大掛かりなパイプオルガンに近づける人はごく一握りの限られた人のみ。

大抵の場合、教会に備え付けられていた楽器なので、資格のあるものしか演奏できない。

バッハのように音楽監督としてきちんと雇われたもの以外は演奏できなかったはず。

さらに演奏するためにはふいごで風を送るための人員が不可欠。

これらの人たちもその都度雇い入れて演奏する。

楽器を演奏すること自体が大仕事となっているのがよくわかる。

私が見たのはこちらの番組

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クラシックファンにはたまらない番組だったね

わずか30分ほどの番組ながら、私の好奇心を大いに刺激し、また満足させてくれた。

番組の中で紹介されていた荒井由美の1曲。


1976 荒井由実(22)コンサート(FM放送フル楽曲版)

およそ3分ほどの前奏が流れるのでその後、彼女の歌声が聞けます。

1時間を超える演奏なので聞きたい方はどうぞって感じ。

ちなみに編曲をしたのが彼女の旦那さん松任谷正隆さん

番組の中では音楽プロデューサーと紹介されていた。

荒井由美とは職場結婚したようなものだよね。

作曲の時の状況として、賛美歌のような雰囲気があったので教会のような壮大な場所で歌わせてみたかったと。

狙いはズバリ合っていると思う。

間違いなく名曲の中の1曲にカウントされるはず。

パイプオルガンはその印象を求めて様々な作曲家たちがアプローチしている。

これからも表情を変えながらずっと追求され続ける楽器なのでは。