何気なくテレビを見ていたら懐かしい映画シリーズでフラガールを上映。
確かにこの映画はかなり古い映画で、とは言っても21世紀に入ってからの映画だけれど。
舞台は1965年頃の福島常磐炭鉱。
私も記憶があるが、この頃の石炭産業は1962年にエネルギー政策が大幅に変わって石炭にとって変わった石油に駆逐され始めていた。
この石油の自由化が石炭産業を大幅に圧迫することに。
常磐炭鉱では既に大幅なリストラと将来に向けての閉山は規定路線となっていたが、そこを起死回生の新たな取り組みで未来を切り開こうとした人たちの奮闘物語。
それが、今に通じるハワイアンランドの創設。
要するにリゾートセンターだよね。
目玉は地元の女の子たちを集めて作ったハワイアンガール。
要するにフラガールたち。
わざわざ踊りを教える学校まで創設してこの事業に取り組んだ甲斐があったと言うもの。
今では様々な紆余曲折を経て会社は東京に合併吸収されるとの噂もあるが、その創設当時のエピソードがこちらの作品になる。
目次
準主役とも言うべき存在蒼井優


女優蒼井優を調べてみると1985年生まれで現在35歳。
フラガールの封切りが2006年だったので彼女が20歳くらいの時の撮影だったろうか。
すっぴんで出演している様子はほとんど高校生でも通りそうなくらい初々しく写っている。
この彼女が、ほぼ準主役で映画を見ている感じでは、彼女が主役なのではと思うくらいの存在感を感じる。
友達に誘われてダンスを勉強することになったのだが、親に内緒で始めたことが後でしっかりばれてしまう。
ちなみにお母さん役が富司純子、ちょっと歳の離れた感じの兄貴の役が豊川悦司。
ここはお父さんが事故で亡くなっていてお母さんとお兄さんで家計を支えているような設定。
ある時、練習に行ってみたところがレッスン場で見かけた1人ハイレベルな踊りを踊っている先生松雪泰子。
この時メンバーとして参加していたのはわずか4人。
出発当初は、誰も見向きもしない場末のダンスクラブのような雰囲気だったんだね。
しかし、このときの会社の方針はいよいよ厳しくリストラのメンバーが次々と発表されていく状況。
若くて年頃の女の子たちは働き口を見つけて右往左往するのだが、まず地元で働ける職場と言えばフラガールの募集。
ここに何人かのメンバーが集まってとりあえず形にはなりそうな雰囲気。
こうしてしっかりモデルがいる話なので、映画自体もかなり気合が入って作られているような印象を受けた。
とにかく俳優たちは全力投球。
特にソロのダンスを披露した蒼井優は厳しいレッスンで足の裏に傷を負ったと聞いている。
それは彼女を指導したこのときの指導者早川和子さんのコメントによるもの。
足の裏の皮がすりむけてかなりひどいことになっていても、泣き言1つ言わずに黙々と練習をしていたとのこと。
今でも彼女はストイック女優で有名なので、聞いてみれば納得することしきり。
驚くほど個性的なメンバーたちで映画は作られた


改めて見直してみるとあちこちで見かけた俳優がいっぱい出ているではないか。
その俳優たちが皆のびのびと自分の役割を演じている。
演じていてもきっと楽しかったに違いないと勝手に想像するのだが、
私のイチオシは岸部一徳。
彼が役者として世の中に広く認知され始めた頃の作品だと言える。
最近ではテレビのドクターXで有名だが、フタを開けてみれば彼は時代劇から何から何でもこなすオールマイティーな役者なのだ。
おそらく180度転身して俳優業にいそしんだと思う。
結果は大成功と言っていいだろう。
フラガールの中での彼の演技は特に福島弁でセリフをまくしたてるところが天下一品だった。
相手役の松雪泰子をして方言がひどくて何言ってるんだかわからん。
要はセリフの内容なんかどうでもいいのだ。
思いを伝えるためにとにかくフルパワーで発声する。


こちらの彼は朝ドラでよく見かけていたのですぐにわかったが、確か清原伽耶の歳の離れた旦那さんの役をやっていたと思う。
やはり関西方面の役者なんだよなと。
他にもこれはと思うような俳優たちが所々に出てくるのでみんなまだ若いんだよなと勝手に想像。
確かに今から15年前なので驚くほど若く見えてもそれは致し方ない。
俳優たちの渾身の演技が光った


この当時フラダンスをやるなんて、およそまともに理解されるようなことではない。
しかも若い娘たちが演じるのだ。
ストリップか何かのヌードショーを想像していた輩もかなり多かったようだ。
実際は全く違うものなので、彼女たちが新に道を切り開いたメンバーだと言える。
多少肌の露出はあるが、今のテレビで見るならごく当たり前の状況で、要するにヨーロッパの舞踊なので女性がこんなふうに踊っても何の違和感もない。
しかし、偏見を乗り越えて頑張って踊りをマスターしようとする彼女たちには驚くほどの試練がいくつも待ち受けていたようだ。
何よりも本家の炭鉱業務が落盤事故があったりして死者が出ると、にこやかに笑って踊るマインドも大きく傷つくことに。
そこを乗り越えてこの映画は描かれる。
映画は実話がモデル モデルとなった人たちがいたことをご存知か


この方が松雪泰子のモデル。
わざわざ福島まで呼ばれて美容学校を設立してまでこの踊りの伝授に生涯を捧げたと言える。
実際の映画の撮影で踊りを訓練していたのは彼女。
かなり苦労したのでは。
特に松雪泰子は主役とは言え、彼女といえども素人だったはず。
それをプロの先生として演技させなければいけない。
最初にも述べたが蒼井優のソロパートを教えるのも教えられるほうも大変だったに違いない。


彼女は1965年から10年間ダンサーとしてのトップの地位にいたようだ。
そして、結婚と同時に引退したと聞いている。
現在も彼女を含めた交流会は盛んに行われていて、今でも当時のことを思い出しつつ様々な人々が集うようだ。
フラガールは言って見れば実話なので、作品の上映が終わった後も当時の関係者にとってはクラス会のような集まりが今でも続いているのでは。
さらに、おそらくこの作品がきっかけになった可能性がある2人のエピソード。
蒼井優と南海シスターズの山里亮太の結婚
静ちゃんがずいぶん前に映画で共演していたから、紹介できたんだろうなと勝手に想像する。
ネットでもそういった類のニュースは多いよね。
いろんな映画があっていろいろ人を励ます内容の作品もあるが、この映画はその中でもピカイチかもしれない。
今回見直してみて改めてそう感じたのでブログとしてアップすることに。