さて、今日含めて残り5回で本能寺の変まで一気に物語は進んでいく。
織田信長と明智光秀の間には微妙なすれ違いが生じ始めていた。
そのきっかけとなった出来事はあの光秀の盟友松永久秀。
麒麟がくるの脚本では登場人物の関わり合いが巧みに組み合わされる。
織田信長が大和の国の守護に筒井順慶を起用したことが松永久秀の謀反につながった。
物語の中では明智光秀が松永久秀と密かに通じる様子も描かれていて、それがなんと織田信長に知られていたことも語られていた。
歴史的ないきさつを考えるとこの辺の時代考証がどこまで正しいのか議論の対象となるだろう。
本能寺の変がどんな原因で起こるのか、この物語を見ている者たち皆が気になるところ。
見るものをどれだけ納得させられるストーリーが描かれるのだろうか?
目次
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松永久秀と明智光秀
この物語では当初からいくつかの伏線が貼られていた。
光秀と久秀は何十年来の知り合いでお互い気心も知れている。
織田信長の仕打ちに反旗を翻した久秀。
大和の国の領主に筒井順慶を起用したことがどうしても我慢ならないとの事。
それが原因で戦場から逃亡することに。
かつて羽柴秀吉が同じ行為をしたとき打ち首を申し付けられたが、周りの仲間たちの取りなしでかろうじて命を長らえた経緯があった。
今回もそれに匹敵するだけの重大事件だったが、久秀の気持ちは全く変わらない。
織田信長が久秀に下した命令も久秀のプライドを著しく傷つけていたようだ。
平蜘蛛の茶釜を含む茶道具の一切を差し出せば命だけは助けてやる。
久秀にとっては絶対にゆずれない領域がここだったようだ。
内々に光秀と会談をする久秀。
この時、反信長として本願寺と共に戦うことを宣言することに。
平蜘蛛の茶釜をめぐる思惑
麒麟がくるで、最もドラマチックに描かれたのがこの部分。
信長には絶対に渡したくないお宝だが、光秀には戦わないことを条件に渡しても良いと。
このいきさつは当然のことながら信長には内緒。
だが、ここには羽柴秀吉の追求の手が追いついていた。
詳しい内容を信長に知られていたのだ。
この時、信長は安土城の建築に勤しんでいた。
さらに茶道具の名品珍品の収集に余念がない。
その中の1つとして松永久秀のコレクションはどうしても欲しいと思っていたようだ。
その辺は歴史的にも記録が残ることで、誰もが信用している話だろう。
しかし今日の麒麟がくるで描かれたストーリーは驚愕の内容。
信長をさておいて久秀と光秀の暗黙の取引があったような描かれ方。
それは久秀が亡き後もしっかりと残って、光秀は信長に秘密を持ってしまうことにもつながる。
この頃設定された年代は1577年。
つまり本能寺の変まで残り5年しかないのだ。
このわずかな時間に光秀は丹波を平定し、信長は安土城を完成し、秀吉は毛利攻めの準備を始める。
久秀 自害して果てる
松永久秀はついに信長の追求の手から逃れられず自分の城内で自害して果てることに。
物語の中では、歴史的に残る記録でもそうだが、自身の様々なコレクションに全て火を放ってその中で爆弾を仕掛けて木っ端微塵に吹き飛んだとされているが。
今回の物語では自ら館に火を放ってすべて燃え尽きたとされていた。
松永久秀は歴史的に見ても評価が分かれる武将だが、よく言われるのは裏切り者で織田信長を3回裏切ったとされているのだが。
しかし、最近の研究で少しずつ評価が変化しつつあるのも事実。
巷で言われるほど自分勝手なことではなかったようだ。
しかし、信長ご執心の平蜘蛛の茶釜は不思議ないきさつの後、光秀の手に渡ることになる。
織田信長の孤独
帰蝶を演じる川口春奈はおそらく今日の出演が最後になるのでは。
織田信長の元を離れるとのストーリーになっていた。
信長を支えることに疲れ果てたと述懐していたね。
そして信長は、自分の思い通りにいかない事柄に1人泣き叫んでいるシーンが描かれていた。
織田信長につき従う武将は、まともに意見を出来るような有能な人材はおそらく明智光秀と羽柴秀吉くらい。
そういった中、信長に盛んに取り入っていたのが秀吉。
麒麟がくるでは信長にウラ情報をこっそりと流すスパイのような役割を担っていた。
おそらく光秀に対する対抗心が多々あったのではなかろうか。
それと同時に光秀の娘玉が細川忠興と結婚する旨も描かれている。
芦田愛菜ちゃん演じる明智玉が後の細川ガラシャになるのだ。
この2人は運命に弄ばれる。
玉は光秀の妻煕子が亡き後、自分の父親のお世話をよく務めていたようだ。
今回は信長の命令によって細川忠興と結婚する事を言い渡される。
これは史実に描かれた通り。
いよいよ物語は佳境へ
この頃の信長はすでに頂点に上り詰めていたと言えるが、いかんせん孤独であったことも事実。
大勢の家来に囲まれてはいたが、信長のお眼鏡にかなった信頼のおける家臣は秀吉と光秀ぐらい。
この時期佐久間信盛等は古くからの重臣でありながら、その働きが悪いとの評価で追放の憂き目にも合っている。
また柴田勝家も織田家の古くからの家来で功績も大きいが、いまひとつ評価が上がっていかない事実があったようだ。
そういった周りの状況をつぶさに観察していたのが羽柴秀吉。
自分のライバルとして明智光秀を徹底的にマークしていたようにも見える。
織田信長とは微妙な亀裂が生まれていて、光秀は信長に心ならずも嘘をついてしまい、そのことに対して信長は嘘をつかれたとしっかり認識していた。
すでに2人の心は信頼できる主君と家来の関係とは微妙に違ってきているように見える。
また、物語に出てくる正親町天皇の存在もこの後大きくものを言ってくるのでは。
信長は、そのストイックで偏執狂的な性格で孤立を深める。
来週以降は本能寺の変に至る意外な理由が類推できそうな雰囲気。
そこには孤独に攻めさいなまれる信長と、自分の理想と現実のギャップに苦労する光秀の胸のウチが描かれていて、脚本家と時代考証の腕の見せ所。
物語は、驚くほど専門的な史実を採用しつつ、ついに最終回まで突っ走っていくことに。