さて、大山社長の画策で舞台合戦をすることになった鶴亀家庭劇と須賀廼家万太郎一座。
実は朝ドラおちょやんとして、1週間で全ての物語を作り上げて5日間で放送するのだから、かなり端折らないとストーリーが成り立たない。
今日が最終日。
圧倒的優位を誇る万太郎一座に家庭劇が果たして勝てるのかどうか。
フタを開けてみた結果は意外なものだった。
ほとんど5分と5分。
しかし、おちょやんの物語の締めくくりとして大阪の喜劇らしくほっこりしたオチが用意されていた。
目次
「丘の一本杉」の出来栄え
家庭劇のメンバー全員が絶賛した台本で舞台が始まった。
15分のドラマの中15分のドラマの中で5分以上の時間を費やす位しっかりと描かれていた
丘の一本杉
歳をとってより頑固になった父親と父親に反目する息子が鍛冶屋の中で様々な物語を生み出す。
女優たちもしっかりと配置されていて、母親や妹や、それぞれのメンバーがうまい具合に配置。
父親の傍若無人ぶりについに我慢しきれずに家を飛び出してしまう息子。
息子に出ていかれると途端に寂しくなって息子を探そうとする父親。
父親の役を千之助、息子を一平君。
喜劇の持ち味を遺憾なく発揮しつつ、見ているものをほっこりさせる
短い時間の中で物語の面白さを伝えようとするおちょやんスタッフらの熱意。
わずかなやりとりがきちんとギャグとして成立してなければ、面白さをテレビの視聴者に訴える事はなかなかかなわない。
これが舞台で演じられたときにどうなるんだろうと思って見ていたので、この描き方は正解だったと言えるだろう。
また観客の笑いも要所要所に入っていて皆にウケている様子がよくわかった。
結果発表
道頓堀で2つの劇団が舞台合戦をやったその結果だが、総観客数の多い方が勝ちと言うことで。
結果は、意外なものだったと言えるだろう。
37,278と37,263。
ほんのわずかだが万太郎一座が勝利した。
そのさはわずかに15票。
30,000人を遥かに超える観客の中で15人ほどの差だと、それは言って見れば誤差みたいなもの。
その時のほんのわずかな運で勝ち負けが決まるだろうな。
数字の上での結果はしっかりと出ているが、評価としては五分五分と言って良い。
それが証拠に、家庭劇のメンバーは誰1人として悔しい思いを抱く者はいなかった。
大山社長は思いのほかご満悦だったようだ。
家庭劇がここまで頑張るとは全く思っていなかった。
万太郎一座の当て馬でしかないと思っていたが、結果を見ると大健闘どころか5分の戦いを見せつけたのだ。
今回の結果を踏まえてさらなる精進を誓いあう鶴亀家庭劇のメンバーたち。
今までとは比較にならないほどの結束力で力を合わせられるように。
千之助兄貴が今回の出し物で今まで抱いていたわだかまりを一掃することができたのは何よりの収穫だったかも。
メンバーみんながこれだけ進化することの元になった働きは、千代ちゃんによるところが大きい。
彼女の世話好きで陰日向のない性格はここへきてさらなる進歩を遂げたような気がする。
これだけ大勢のメンバーが在籍すれば、中には反目し合うものだって出て不思議は無いのだが。
どうやら家庭劇ではそれは無用のようだ。
万太郎と千之助
結果がハッキリした後2人で落ち合うことになった万太郎と千之助。
料理屋で酒を酌み交わすことになった2人だが、アイも変わらず洒落合戦。
しかし千之助の言った一言が味わい深い。
万太郎兄貴の嬉しそうな顔を久しぶりに見たわ
初めて万太郎のことを兄貴と呼んでいたね。
万太郎も千之助に返す。
これでお前をお払い箱にした甲斐があったと言うもの。
このエピソードにはオチがあって、勝ったとは言え、万太郎にしてみればおよそ周りに吹聴できるような勝利宣言などできるはずもなく。
そのことを重く受けた結果。
チャップリンの件は自ら辞退したと聞いている。
世界に出て行く前に道頓堀でやらなあかんことができた。
それは自分の一座と家庭劇でさらなる喜劇の切磋琢磨を継続すること。
つまり、今までのような自分たちだけの喜劇界とは言えなくなっている。
家庭劇をライバルと認めた瞬間でもあった。
今日の放送でのオチはお互いが相手の帽子の中に生卵を仕込んで悪さをすること。
千之助は借りを返していたつもりになっていたが、万太郎も同じことを考えていた。
2人ともあっけにとられていると、店の女将が容赦なく2人のお尻を箒で百叩き。
腹ばいになってお尻を叩かれている間、なんとも嬉しそうな2人の様子。
今週の物語はここまでで、来週へ続くことになる。
兄弟喧嘩と呼ばれた万太郎と千之助の一騎討ちだったが、これからも舞台上で見ごたえのある喧嘩を続けるに違いないと。
道頓堀の物語として申し分のないオチが用意されていたね。