再び千代ちゃんの前に現れたテルヲ。
彼には隠している秘密があって、
それは重篤な病気に侵されていること。
この先長くは生きられないこと。
しかしこの秘密も既にばれていて、それでも彼の思っている事は千代ちゃんの幸せ。
全くベタなことだが、人並みに娘の幸せを願っている。
しかし今までの散々の悪業がたたって、肝心の千代ちゃんはじめ、周りのおもだった人からも理解はされていない。
しかしそんなことにめげることなく、娘の幸せを祈るテルヲの行動はちょっと哀れでもある。
目次
千代に役者をやめさせるべく行動
千代ちゃんが座長の妻としてひたすら苦労をしていることを見かねたテルヲ。
彼女が今まで主役を演じたことがないことを引き合いに出して、わざわざ大山社長にクビにしてくれるようにお願いしに。
どうせこのまま役者をやっても目が出ぇへん
人並みの幸せが来るようにクビにしたってくれへんか
社長の答えは単純明快
お断りでんがな
あんたなんもわかってへん
その先までは語られてはいなかったが、大山社長は女優天海千代の値打ちをきちんと評価していた。
鶴亀家庭劇の舞台にはなくてはならない俳優。
お払い箱にすることなど絶対にありえないことで。
千之助兄貴にさとされて役者人生を応援
大山社長に断られたことで次にお願いに行ったのが千之助兄貴。
とにかく嫌になるほどしごいて、女優をあきらめさせてほしいと。
その答えも単純明快
無理や
今まで散々しごき倒しとる。
それでもまるでめげへん
さらに意欲を増して芝居をやりおる
あないないい役者はおらへんで。
周りにいる役者の魅力を引き出すことができる類稀な能力の持ち主。
お月様のようなほっこりするような素晴らしい役者さん。
その言葉を聞かされて、すっかり考えを改めざるを得なくなったテルヲ。
分りました、これからも千代のこと頼んます
そう言ってぽろぽろと涙をこぼす。
自分の娘のために必死で便宜を図ろうとする無力な父親。
テルヲは自分のやっている事が娘に受け入れられずとも、とにかく何かを応援してあげなければいてもたってもいられなかったのだ。
自分はもう長くは無い。
残された命をなんとしても千代のために使いたい。
その一心で行動している。
迷惑な父親の行動を無視しながらも、親子の情は千代ちゃんからなくなったわけでは無いように見える。
赤の他人だと思ってはみても、どうしても否定できない血のつながりと、なぜか傍若無人な振る舞いをふと許してしまいそうになる千代ちゃんは、自分自身の中の気持ちにも驚いているのでは。
一平君に記念撮影をされる
一平君はテルヲのことをどう思っているのだろうか。
当初は自分の父親と被っていて激しく憎み軽蔑していただろう。
しかし、この間酔いつぶれたときにテルヲと千代ちゃんのやりとりを聞いてしまっている。
そして一平君は自分の父親への認識が長い年月、間違っていたことも痛烈に思い知らされた過去がある。
一見デタラメで はちゃめちゃなテルヲだが、その行動の向こう側には本当はなにか親としての真実があるようなそんなことをうすうすと感じ取っているような。
この物語は、大阪のお笑いみたいな描かれ方で、しかも視聴率も低迷しているのだそう。
けど今日の物語を見る限り(ここ最近ずっとだが)、驚くほどの内容の濃い人間ドラマを描いている。
セリフにならない心情表現。
この効果は脚本家と制作スタッフの腕前とも言うべきもの。
そして、俳優たちが見事にその演技要求に応えているような気がするのだ。
視聴率の上がり下がりに一喜一憂することなく役者さんたちがその本分を全う出来るように希望するばかり。
千代ちゃんの涙
女優杉咲花の真骨頂が今日の演技で納得させられる。
あの1番最後のインタビューを受けるシーン。
テルヲが自分自身でまいた種とは言え、千代ちゃんを守るために借金取りにボコボコにされるシーンで、その様子を察した彼女はまるで表情を変えないまま、
カメラを向いた方の顔、(照明の当たっている方の顔)そちら側の目から一筋二筋の涙をこぼすのだ。
様々な女優の武勇伝の中でこういった演技力は何度か耳にもして目にもしてきたが、今回またさらに1つ加わった気がする。
まるで表情を変えずにカメラを向けられた方の側からの目から、涙ってこぼせるものなのかな?
神がかり的なものさえ感じてしまう。
時代劇の俳優さんの言葉を聞いたことがあるが、時代劇のカツラをかぶると顔とか頭は死ぬほど熱くなるらしいが、こういった俳優さんたちは顔にだけは絶対に汗をかかないんだそうだ。
もし汗をかいてしまえばメイクを直す必要が。
それは莫大な時間のロスになるらしくて、他が汗でズブズブになっても顔だけは絶対に汗をかいてはいけないと言う覚悟のようなものがあると聞いた。
今日の杉咲花はそういった女優魂を見せつけていたかもね。
さて、明日と明後日で今週のエピソードは終わるのだが、結末はちょっと切ないものが。