昨日から登場した松島寛治君。
彼が天海家の居候の形で生活を始めてからわずかな時間が経ったとのこと。
雑用係が彼の仕事なので、買い物その他あちこち使われる。
彼が来たことで心がときめいてどうしてもがんばってしまう千代ちゃん。
もともと世話好きな彼女。
自分がお世話をしなければと思うとどうしてもそれが喜びになってしまう。
しかし、寛治君は少年に違いないのに思いのほか周りに気配りをする大人びたところが。
子供の頃から父親と2人で暮らしていて母親の面影は知らないようだ。
千代ちゃんは自分のことをお母ちゃんと呼ばせたくて仕方がない。
そんな中、天海家に思いがけないお客さんが。
目次
寛治君のいる天海家
一平君がひょうひょうとしているのに対してなぜか明るく飛びまわる千代ちゃん。
彼女は寛治君が可愛くて仕方がない。
チャンスがあれば自分のことをお母ちゃんと呼ばせようと。
一平君と結婚して以来、家庭劇の運営に直接関わっていて大人たちのお世話を始め食事の支度などほとんど休みなく働いている日常。
彼女の人生の中で、多分今が1番忙しいのではとネットでももっぱら評判。
その忙しさの中から女優として舞台に立ち続けている。
周りの劇団員たちの信望も極めて厚い。
そんな中、突然預かることになった寛治君はまだ少年の設定ながら、周りへの気配りで自分自身の立ち位置をいつも気にしているような不思議なところが。
天外孤独となった身の上で、これからどう生きるのかは、周りの人の応援をもらいながらと言うことに。
周りから嫌われてしまったのでは彼としても1番望まないところになる。
時々はヘマをしながらもみんなから愛されるキャラを目指しているようだ。
たまにする失敗もどうやらわざとやっているような雰囲気さえ感じられる。
福富でのエピソード
寛治君はホットケーキが食べたいとのことで福富に行くことに。
もちろん千代ちゃんが連れて行ってくれる。
さてそうしてホットケーキを食べながら周りの人と会話しているときにささやかな事件が。
福富の跡取り息子一福君がお父さんから言われるトランペットの練習が嫌でごねていた。
吹いても音でぇへんし
練習は1つも楽しゅうない
そう言って逃げ出し始めていた。
実はこのときの寛治君のとった行動。
福助君にぜひトランペットを見せてもらってさらに吹いてみたいと。
そして感動する様子でトランペットを手にするのだが思わずうっかり手元が滑って床に落としそうに。
この手の楽器類は床に落としたり、何かにぶつけると一発アウト。
楽器は真鍮製なので凹んでしまうと大抵の場合元に戻すことにはならない。
腕の良い修理屋さんなら何とか元に近い形で修理をしてくれるが、普通修理をせずにそのまま使う場合が圧倒的に多いのでは。
吹奏楽経験者の私の記憶では中学や高校の楽器はまともなものはどちらかと言えば少なくて、必ずどこか凹んでいたり傷があったりしていたと思ったね。
福助君はいつも楽器をピカピカに磨いているので、楽器が傷つくようなことがあればとんでもない一大事。
その隙に一福君は首尾よく逃げ出す。
時代はひたすら軍国主義
今日も劇中歌として当時の軍歌が流れていた。
今日流れていたのは「暁に祈る」。
これは古関裕而と野村俊夫の作品になる。
陸軍から依頼があって軍馬に関係した映画の主題歌として採用された。
とにかく陸軍の希望通りの作詞ができなくて、野村はかつてないほど苦労したと述懐していたね。
この時代は軍国主義が世の中を席巻し始めた頃。
文学や音楽を始めとする芸術、または舞台映画など全てが戦争一色で塗り固められていたような気が。
鶴亀家庭劇でも次の出し物もやはり軍国ものと言うことに。
私たちの祖先はこういった時代を経て戦前戦中戦後と頑張っていたようだ。
小暮さんと高城百合子さんの訪問
ある日の夜天海家を訪ねてくる人があった。
顔を見てびっくり。
京都撮影所時代に千代ちゃんがお世話になっていた演出家の小暮さんと女優の高城百合子さん。
驚くなかれ彼らは結婚していた。
もともと小暮さんは百合子さんの大ファン。
なんとなく流れは想像できるが。
この2人には実はモデルがいる。
なるほど、自分の恋人とソ連へ亡命しようとした有名な女優さん。
彼女の相手は演出家の杉本良吉。
この当時結構有名だったらしい。
ちなみに首尾よくソ連に入ることができたが2人ともスパイ容疑をかけられて有罪。
岡田は長く監禁生活を送らざるを得なかったが杉本は死刑が確定して直ちに銃殺刑に処せられる。
この当時のソ連はスターリンが国を支配していたので、ある意味恐怖政治の時代だっただろう。
そして当時の日本や欧米で国が1番嫌われたのが共産主義者。
2人は共産主義だったと後から発覚する。
政治的なことがどうしても面の話題にはなりにくい時代に自由奔放に生きていたように見えて2人は悲運の運命をたどることに。
ちなみに物語では千代ちゃんのところに訪ねている形をとっているが実際のところは、2代目渋谷天外が杉本をかくまって逃亡資金まで渡したと聞いた。
彼らにとって共産主義こそが現実を乗り越えられる最良の手段だと考えていたようだ。
おちょやんはそういった時代背景も背負いながらエピソードを重ねていく。