いよいよ大政奉還まであと5年弱となった。
青天を衝けの物語も大きく先へ進むことに。
栄一と千代にも待望の長男が生まれることに。
しかし生まれたばかりの長男市太郎は麻疹でなくなってしまうのだ。
この当時、様々な疫病が流行っていたようだ。
流行病とされた麻疹ももちろんそうだし、コレラなども蔓延した時期があって大勢の人が亡くなった。
血洗島の栄一の家でも主な家族みんなが麻疹にかかって、千代も死ぬ目に遭っている。
しかし、時代はそんなこととは裏腹に容赦なく混迷の度合いを深める。
目次
一橋慶喜将軍後見役に就任
安政の大獄が終わった後は薩摩藩などが勢いを吹き返し、江戸幕府に様々な働きかけをするように。
その結果尊皇攘夷の急先鋒とされた水戸藩の様々な武士たちが再び幕政に戻ってくる。
その中で注目すべきは引退を申し付けられていた一橋慶喜。
実はこの人事は裏の理由があって、とにかく尊王攘夷をなんとか成し遂げるために画策された。
一橋慶喜はそのような裏の事情をしっかりと踏まえつつ自分の仕事をしっかりとこなすようになる。
彼は尊皇攘夷の御神輿の上には簡単には登ってはいかなかった。
持ち上げられる言葉にそのまま従って行動を起こせば、日本が混乱するだけではなく、諸外国の思う壺となって、存亡の危機に貧することも考えられた。
一橋慶喜はどちらかと言えば朝廷よりの将軍と言えるだろう。
彼だからこそ大政奉還が成し遂げられたとも言える。
1868年に行われた大政奉還は江戸城無血開城で幕を閉じたのだ。
もちろん江戸城以外では戦乱の嵐が起こっていた事は言うまでもない。
しかし幕府の主だったメンバーは傷つくことなくそのまま明治維新を生きながらえることができた。
尊王攘夷の合言葉
この当時、日本にやってくる諸外国の狙いは植民地政策。
あわよくば日本も植民地として占領したい意思がありあり。
その見え透いた腹は江戸幕府のおもだったものならば誰もが知るところだったが、世の中全般にはあまり広まってはいなかった。
外国が攻めてくることで、当時の合言葉はとにかく攘夷。
外国を討ち払って日本を守らなければと言う思い。
主に朝廷がその思いを強く抱いていた。
しかし、日本に押し寄せてくる外国の軍事的優位は日本がどんなにあがいてみたところで到底かなうはずもなく。
そのことをヒシヒシと感じていた幕府は、何とか穏便に済まそうと考えていたのはやむを得ないと言える。
しかしこの時の江戸幕府はすでに死に体。
まとまりに欠け、さらには様々な懸案事項を実践していくだけの力もなかった。
朝廷としてみればなんとしても尊王の旗印の下、攘夷を決行して欲しかったのだが。
しかし彼らが求めているのは、世の中を平安に導くためのものではない。
自分たちのメンツのために気に入らないものを排除せよとのテロリズムを要求。
そんなことをしても返り討ちに合うのが関の山なので、決して応じようとはしない幕府。
この時、朝廷に対応する幕府の窓口は一橋慶喜が将軍後見職として任に当たっていたようだ。
今日の物語の中でもその様子が詳しく語られていた。
やはり、なにがしかの行動を起こした場合のその先に起こることをきちんと予測できなければ、みだりに行動すべきではない。
この頃の世情としては天誅組の暗躍が挙げられる。
幕府に力がなかったが故に、世の中は混乱の度合いを深めていた。
志のあるものや、何か行動しなければと思った者たちはそれぞれ勝手なことをしていたのも事実。
きちんと指導するものがいないと世の中は乱れに乱れる。
横濱襲撃計画の裏側
惇忠の計画で、血洗島の農民たちで横浜で攘夷を起こそうと。
要するにおもだった外国人の暗殺と、後は家屋の焼き討ち。
こんなことを起こせばただでは済まないのだが。
しかし、そこまで行動しなければ納得できなかったようだ。
ちなみにその計画の実行者のメンバーの中に栄一や喜作も加わっていた事は言うまでもない。
彼らは世の中を憂うあまり、ついに武器をかき集め行動の準備に取り掛かる。
栄一 父親に勘当を申し入れ
いざ行動を起こす段になって、父親に勘当を申し入れる栄一。
理由を聞かれても決して話そうとはしない。
計画が計画なだけにもし事前に漏れることがあれば、その責任は家族全般に及ぶことにもなる。
この時すでにふたりめの子供が生まれていた栄一。
およそそんな命がけの行動を起こすにはあまりにも不用心と言うべきだろう。
何かあったら母親と子供は路頭に迷うしかないのだ。
父親として無責任と言わざるを得ないのだが、そこは物語。
実際に渋沢栄一はそのような計画に関わっていたと記述が残っている。
彼は大勢の志ある若者たちが命を落とした明治維新の中で数少ない生き残りの1人。
本来ならば命を失っていても何らおかしくない存在だったのだが。
しかし、運命は彼に死を命じなかった。
今日は父親に勘当を許されること、そして千代が理解を示してくれて送り出してくれたこと。
そこまでで終了する。
いよいよ明治維新が近い。
物語の本スジからは若干外れるが、渋沢栄一は無類の女好き。
実は彼の裏歴史の中で女性遍歴にはかなりの定評がある。
大河ドラマでは描きにくいだろうが、ユーモアを交えて多少なりとも取り上げてもらえたら物語にぐっと面白さが増すのでは。