今週のエピソードもいよいよ今日明日で決着が。
大阪のラジオドラマの制作スタッフ脚本家の長澤さんも千代ちゃんをたずねる。
女優竹井千代の値打ちが改めて感じさせる今日の物語。
千代ちゃんにとって最後の芝居はあまりに辛い思い出。
先週のエピソードになるが、不倫した夫にすべてを譲り渡して自分が身を引く決断を。
しかし女優としては、その憎い夫と最後の公演を頑張って勤めあげた。
おそらくは拷問に近いような舞台出演だったと推察。
今回の新たなオファーもその時のつらく苦しい思い出がよみがえってきたらと思うととても前へ踏み出すことができない。
芝居の楽しさ手ごたえを当郎さんとのやり取りで新たに確認はできたんだけどね。
目次
上田栗子さんと千代ちゃん
上田家での様子。
当郎さんが帰った後、家族の団欒のひととき。
ラジオドラマをお断りした千代ちゃんを周りの人は心配する。
本当は芝居をした方が彼女の力が発揮されるのではと思うことしきり。
しかし、本人には人には言えない様々な思い入れが。
栗子さんは何も聞かずにその気持ちを察していたね。
特に自分の娘夫婦がなくなったときに、自分も後を追おうと考えたけれど、春子ちゃんの存在がそのことを思い留まらせた。
芝居をしていようがいまいがあんたはあんたや。
そこにおってくれてるだけでええ。
何よりも千代ちゃんに寄り添った言葉だったかも。
本当は、お互い胸の内に秘めた部分があるけれど、相手を思いやることが1番大切だと2人ともしっかりとわかっている。
春子ちゃんの素朴な疑問
春子ちゃんは学校の宿題で作文を書かされるようだ。
どうやら、わざわざ家にやってきた花車当郎のことを書こうと思っているみたい。
それに、なんと自分のおばちゃんはかつて女優で活躍していた過去がある。
作文にするにはもってこいの題材だけど。
しかし素朴な疑問が1つ。
千代おばちゃんはもう芝居せえへんの?
そうや…。
なんで❓
実はこの質問をされると素早く返答することにはならない。
それはかつての鶴亀新喜劇を対談しなければならなかったドロドロの離婚劇を話さなければならなかったから。
小手先でごまかそうとしてもとっさには言い訳を思いつくことにもならなかった。
沈黙が少しあって、栗子さんが助け舟を。
千代ちゃんは1番最後の舞台の時に、過去の様々なことが思い出されて満足な芝居をすることができなかった。
それは今でもしっかりと心に残るトラウマ。
芝居をやらないと心に決めた最大の理由がここに。
当郎さん 長澤さんのこだわり
当郎さんも長澤さんも軍事慰問で従軍経験がある。
実はこれ、寛治君もだったけど、自分たちの思い通りの芝居ができたわけではない。
戦意高揚のための軍事物の出し物ばかりではやがて退屈してくるし、また実情を考え合わせれば疑問も湧いてきて、やる気そのものがなくなってしまう。
そんな経験を持った人たちなら、再び芝居をするときには、決して妥協などすることなく自分のやりたい芝居、伝えたい芝居をやるべきだと痛烈に感じている。
彼ら2人の希望は最高の女優竹井千代を発見して、彼女にかける期待が頂点に達している。
彼女のお断りを受けながらもどうしても諦めきれない。
何とかして説得してもう一度芝居に帰ってきてもらえないかと希望する。
しかし、最後にはどうしても千代ちゃん本人のやる気がすべてを決めるのだが。
その術はどうやら厳しそう。
それでもお断りしなければならなかった千代ちゃん
長澤さんは当郎さんからこの間のいきさつを詳しく聞いていた。
なんといっても家の外で彼らのやりとりをしっかりと聞いていたのだから、論より証拠で疑う余地などあるはずもない。
しかし、彼の最大の推薦理由は道頓堀での直接取材。
彼は道頓堀でかつての新喜劇の仲間たちや、岡福での聞き込みを綿密に行っていた。
そこで得た情報がどうしても忘れられない。
かつての仲間たちは口を揃えて皆言っていた。
竹井千代を信じている。
再び道頓堀に戻って芝居をしてくれる。
さらに何回か前の放送で、この程度のことで命を自ら絶つのなら彼女はもう十回ぐらい死んでいると。
それを聞けば、半端でない根性の持ち主なこともよくわかる。
それだけの人が、ここまでかたくなにラジオドラマ出演を断るのはやっぱりトラウマがあるからゆえ。
この話し合いの中でも丁寧にお断りしていた。
今日のドラマはそこまでで終了。
なんとしても芝居には復帰したくないんだね。
彼女の口からは
自信がない発言も出ていた。
あれだけの苦労をした後なので、それなりの覚悟を持って臨みたいのだが同じようなことをもし味わわされるのならそのことを受け止められるかどうかわからないと。
もうドラマの流れとかオチとかは誰もがわかるので、今回のエピソードは明日答えが出ることになる。
おそらく何かのきっかけでラジオドラマ出演をオーケーするはず。
こうして彼女の、女優としての何回目かのお披露目が用意された。