おちょやんはもう来週と再来週を残すのみ。
私にとってやや苦手な大阪のドラマだったので、あまり期待することなく見始めたのが正直なところ。
しかし、今回の1週間で自分のモチベーションの低さは、恥をさらすことになったと白状するしかない。
ここ数週間ずっと継続していた物語は、所々で謎となる部分がいくつかあったのだが。
それはなんとなく描いていたことではなく数週間後に訪れる驚きの種明かしがいくつも隠されていた。
物語を作った制作スタッフがどれだけの思い入れを持ってこの作品に取り組んでいたのか。
そしてたかだか朝ドラと思っていたが、なんという奥の深さ。
そういったことを思い知らされた1週間。
目次
物語は昭和26年が設定
先週までの流れで道頓堀の鶴亀新喜劇での忙しい毎日は一平君と灯子ちゃんの不倫騒動で幕を閉じることに。
一平君は灯子ちゃんと不倫をした挙句に子供まで作ってしまっていた。
それぞれに切ない事情があって、簡単には結論の出せることではなかったけれど、色々と思案を重ねた挙句、千代ちゃんの下した結論。
それは自ら離婚を申し出て道頓堀を去っていくこと。
確かに、傷つく人が一番少ない方法を選んだかもしれないが、当の本人千代ちゃんはかつてないほどズタズタに傷ついてしまった。
残された一平君と灯子ちゃんは新たな家族として出発することにはなったが、しかし誰かを犠牲にすることで成り立つ幸せなんて本来ありえない。
千代ちゃんを見捨ててしまった思いは彼らの中にもトラウマとして残ったに違いない。
しかし、この場合千代ちゃんがどれだけ傷ついたのかを推し量る事は難しかったようだ。
一旦は行方不明になった千代ちゃん
実は芝居をやめてしまおうと決意した千代ちゃんは一旦行方不明になってしまう。
失意の彼女を救ったのはなんと、この物語の最初のほうに登場していた後妻の栗子さん。
道頓堀の山門で、濡れネズミのようになっていた一人ぼっちの千代ちゃんの前にひょっこり現れる。
実は種明かしがあって、栗子さんは何十年も前に千代ちゃんを奉公に追い出した後、自分の子供を持つことになった。
子供を持ってみて、千代ちゃんにしたひどいことを思わない日はなかったと言う。
千代ちゃんが女優として活躍し始めた時からずっと見守ってきたらしい。
最後の舞台の時もしっかりと見ていたようだ。
そして、ただならぬ気配を感じて助けなければと思った。
千代ちゃんには姪の春子ちゃんがなついていた。
この子は栗子さんの孫。
実はこの春子ちゃんが千代ちゃんに再び生きる力を与えたようなもの。
この辺の物語設定はおちょやん独自のもの。
史実とは明らかに違っているだろう。
しかし、見ていて感じるのはこの辺の物語設定の巧みなこと、そして絶妙な配役。
毎田暖乃ちゃんは初代の千代ちゃんとして絶賛された経緯がある。
その彼女をもう一度子役として起用するあたり、ファンの心を捉えて余りあるものが。
私にしてみれば千代ちゃんが2人いるような感じがするけれど、年齢こそ違えども2人とも女優としては紛れもなく凄腕。
周りから絶賛されるのも大いに納得。
再び巡ってきた女優のオファー
大阪のNHK放送局では新しいラジオドラマの配役を探していた。
そこでオファーのあったのが当代有名だった女優さん。
天海祐希はこのポスターでしか登場していない。
これだけの著名な俳優を写真だけでしか使わないなんてなんて贅沢な
有名女優を写真でしか使わないなんて、大阪流のギャグは容赦ないね。
さて花車当郎さんと脚本家の長澤さんの説得にも首を縦に振らなかった千代ちゃん。
彼女はわざわざ足を運んでくれた2人にも丁寧なお断りを入れて決して仕事を引き受ける事はなかったのだ。
その彼女の凍りついた心を溶かしたのが春子ちゃん。
彼女との屈託のないやりとりが、千代ちゃんを再び女優業に向かわせることに。
この辺の描き方もとにかく巧み。
演じている女優たちの胸の内が手に取るようにわかるように丁寧に描いている。
そして今週のおちょやんのもっとすばらしいところは、今まで何週間も時間をかけて布石を置いてきたことに結論が出る。
それは事あるごとに千代ちゃん宛に送られてくる花籠。
京都の撮影所時代からだから相当前から付箋は離れていたんだよね。
この花籠の送り主の正体が今週明らかにされた。
意外すぎる種明かしだったよね。
千代ちゃんを邪魔者扱いする人たちばかりのような描かれ方だったけど、実は全然違っていたことがここで判明する。
栗子さんと千代ちゃんのほのぼのするやりとりは今週のピークだったかも。
それにしても演じていた宮澤エマは女優としての腕前もかなりのもの。
2人とも涙で顔がくしゃくしゃになっていたけど、おそらくはアドリブなんかが混ざっていたはず。
台本通りでないものがなんとなく感じられたから。
新しい家族
こうして、千代ちゃんは新しい家族と再出発することとなった。
あれだけ拒み続けていた女優にも再び復帰することが決定。
来週の予告編がチラリと流れていたが、竹井千代の持ち味がいたるところに出ていたような。
確かラジオドラマは生放送で、緊張の連続なんだけれど、ある時台本を2ページ飛ばしてしまうアクシデントがあったらしいのだが。
この致命的なミスを千代ちゃんと当郎さんの鍛え抜かれた機転が切り抜ける。
彼らは役者や漫才師として数々の修羅場を潜ってきていた。
そういった一端が少し紹介されていた。
さて、泣いても笑ってもあと2週間、回数にして10回ほど。
この物語にはどんなオチが用意されているのかね?