先週の9日から始まった5月場所大相撲。
昨年に引き続きコロナ禍の中、両国国技館にて開催されている。
最初の三日間のみ無観客での開催。
4日目以降から5000人までを上限として観客を入場させているようだ。
今回のコロナ騒動で、世の中何もかもが閉鎖的な印象を受けつつも、頑張って興行する大相撲は、ほとんど家で過ごす私にとって欠かすことのできない楽しみと言える。
しかし、内容に目を向けてみると、単純に楽しめるとだけ言いきれるものではない。
まず、横綱白鵬が長期の戦線離脱。
そして随分日にちが経ったが横綱鶴竜は引退。
懸念材料が多い中、唯一おめでたい希望の持てる出来事は照の富士の大関昇進だろうか。
そんなことを踏まえて今場所を検証してみたい。
目次
モンゴル人横綱に思う
横綱は力士たちの頂点に位置する関取。
今の白鵬は実績などあらゆる点で、今までの横綱をはるかに凌駕している。
これだけの実績を残しながらこれだけ批判の集まる横綱も珍しい。
モンゴル人横綱だから仕方ないと言えばそれまでだが、彼の場合、やはり言葉遣い、振る舞い、そういったものから来るものが多いのでは。
先場所の3日目だっただろうか、古傷の膝をさらに痛めて相撲どころではなくなった。
聞けば手術をして何とか復帰しようと。
誰もが感じている通り、彼の場合も鶴竜同様もう横綱をはれる状態にはない。
満身創痍の体ではとても相撲を務め上げることにはならないだろう。
今はネット社会なので様々な情報を簡単に手に入れられるが、彼は日本での親方株の取得がまだできていないと聞いている。
それでは引退してその後の活動が順風満帆といかないのは明らか。
どうしても現役にこだわらなければならない切実な思いがありそう。
仲間内からここまで仲良くしていただけないのは(私にはそう映る)、横綱本人の性格に問題があるのでは。
ひとえに横綱といえども、先輩や親方から様々な教えを乞う必要が。
そのことがうまくできていないなと感じてしまう。
予定では7月はオリンピックが開催されるが、その時に土俵入りをするのが白鵬の夢だと聞いた。
どんなふうになるんだろうね。
新大関を迎えた4人の大関陣
大関は4人揃っていて相撲協会としても今はまさに看板力士。
しかしこの4人で安心して相撲を見ていられるのは照の富士1人。
他の3人の大関もそれなりに星勘定の辻褄は合っているが、毎日ハラハラドキドキでは、見ているほうもいささかの疲労を感じてしまう。
とりわけ朝乃山の不調が大きい。
朝乃山を見ていて感じるのは、立ち会いからの圧力のなさ。
彼は右四つの力士なので左上手をとってなんぼ。
そこにまで、まるでたどり着けていないのだ。
相撲解説の北の富士や舞の海も口を揃えて言っているが、どうしてあんなにも追い込まれてしまうんだ?
つまり前へ進む圧力がまるで発揮されていない。
押し込まれるので必ず受ける相撲をとってしまう。
左右にいなされた後は、アップアップで勝ったり負けたり。
他の貴景勝や正代も本調子と言い切るには少し弱い。
彼らも1つ歯車が狂えば勝ち越しも危うい状況になるのでは。
大関から関脇小結に至るまでは力士たちの実力が拮抗していることも要因に挙げられるかも。
今場所1番の注目力士は照の富士
照の富士の強さはどうやら本物だなと感じることしきり。
彼は知っての通り序二段まで落ちて辛酸をなめつくした力士。
普通大関経験者なら、十両陥落で力士廃業が普通。
本人も何度も引退を考えたと言っていたね。
その都度、彼を押し止まらせたのは親方。
伊勢ケ浜親方はかつての横綱旭富士。
私など長年の相撲ファンにとってはお馴染みの力士と言える。
親方が常に励まして支えてくれたと聞いている。
それにしても今の相撲振りからは想像もつかないような苦労をしたのだが、ここ最近大関に復帰するまでの彼の相撲ぶりを見ていると、力強さの他に用意周到さ、さらにしたたかさなど役力士としての様々な強さが兼ね備えられたと感じる。
両膝に爆弾を抱えているので、自分の弱点を知り抜いている。
彼は、だから決して後ずさりするような相撲を取らないように心がけているのだ。
そのことが今場所も遺憾なく発揮されている。
まとめ
相撲とは関係ないがこの両国場所では毎日必ず決まったたまり席に行儀よく相撲を観戦する若い女性が1人おられる。
ネットではたまり席の妖精と呼ばれていて知らない人はいない。
聞けばとある有力な部屋のかなり力のあるタニマチのお嬢さんだそうで、一般人とのことで身分は明らかにはされていないが、毎日決まったこの席に座れることなど普通の人では絶対不可能。
今場所は東の花道の、ちょうど土俵からすぐのところに鎮座されている。
相撲とは関係ないだろうと思いつつも、最近の高画質のテレビでは、お客さんに誰が来ているかなど一目瞭然なのだ。
相撲を見ていても、そういったことが楽しみの1つになりつつある。
テレビでの相撲観戦の新しいやり方かもしれない。