栄一と喜助は武士として一橋家に召し抱えられることになり、なんと嬉しいことに最初の俸禄をもらえることに。
今で言うところの給料だよね。
そしてその時に、実際の俸禄としては現金のほかに米もいただけることとなった。
江戸時代の習慣としては武士の俸禄は基本的に米何石で表される。
大抵の場合、その米を米問屋で現金化して生活の足しにしていたと思われる。
さらに今日のエピソードの最初の方で語られていたが、一橋家が正式に百姓である栄一と喜助を武士として召し抱えるために岡部藩に申し入れしたとも語られていた。
これでいくつかの約束事を踏まえて晴れて武士としてデビューすることになる。
そして、今日のエピソードとして名前を新たに変えるようにも指導されていたね
栄一は篤太夫
喜助は成一郎
と名前を変えることに。
この辺のデリケートな対応は全て平岡円四郎によるもの。
一橋慶喜の家臣として円四郎の存在は今や誰もが知るところとなっていた。
目次
薩摩藩へスパイとして潜り込む
この偉そうな男は薩摩藩士だが、砲台建設の専門家として大阪で活躍していたが、その実態はいかほどの人物なのかを品定めするように篤太夫に指令が出る。
つまり、一橋家からスパイとして送り込まれる。
実はその指令を出したのは平岡円四郎。
もし有能な人材ならヘッドハンティングして一橋家で召し抱えようと言う魂胆。
そのスパイに抜擢された篤太夫だが、持ち前の人当たりの良さを十分に発揮してその人物像や様々な現場での様子を克明に調査。
円四郎に詳しく報告をする。
この時すでに、一橋家に使える平岡円四郎は広く知られている存在で、有能な人物との評価が付けられていた。
要するに、聡明で、しかも実行力があり一橋家そのものを彼が支えていると。
一橋家に対抗する薩摩藩は決して彼のことを快く思っていなかったのは事実。
大阪湾をめぐる攻防
大阪湾は朝廷がそこにいることもあって、外国からの脅威に備える必要があった。
また朝廷護衛のためには非常に重要な役どころがあるのだが、その役どころをめぐっても薩摩と幕府で駆け引きの応酬があったらしい。
薩摩は、朝廷からこの役をなんとしてももぎ取りたかったようだ。
狙いは朝廷を後ろ盾にして京都大阪から徳川幕府を打倒するための様々な活動を行うこと。
そんな事はさせまじと朝廷に信頼の厚い一橋慶喜を推薦する幕府側。
一橋慶喜はこの時に将軍後見職の任を解かれて、禁裡御守衛総督に就任した。
我々が歴史でよく知っている徳川慶喜は15代将軍程度のことしか知らない。
彼がどんな活動をして最終的に将軍としてトップに立ったのかは詳しく勉強したこともなかった。
15代将軍になる前に様々な幕府側の活動を彼が担っていた。
青天を衝けではその辺の詳しいいきさつが実に丁寧に描かれている。
しかし今回の総督就任は幕府のトップになると言うよりはどちらかと言えば朝廷側について活動することを意味する。
物語の展開が史実通りに進むならば、徳川慶喜は15代将軍として即位した後、あくまでも朝廷の家臣としての立場を崩さないことが布石として貼られているのでは。
つまり、政ごとはすべて天皇のために行われるべきであり、将軍はその天皇を守るための存在。
これがおそらくこの物語で一貫して描かれる徳川慶喜のポリシーだろう。
西郷吉之助との出会い
後の西郷隆盛、今はまだ吉之助。
既に薩摩藩の重臣として登場していた。
彼自身の人生を見てもそれなりに苦労しているので、実行力とか洞察力以前に人として他人と接するにはどうすべきかを熟知していたように見える。
豪快な姿かたちとは裏腹に彼は非常にデリケートでそれでいて思慮深い人間だったようだ。
薩摩藩主と、大久保利通の話し合いの様子も物語の中に出ていたが、大久保はどちらかと言えば悪人として描かれているきらいがある。
彼は禁裡御守衛総督の座を取れなかったことに対して、藩主に国に帰ることを進言していた。
つまり国に帰って兵力を整えていずれ戦を起こすと。
この当時の朝廷は右往左往するばかりで、しっかりしたアイデンティティーなど固まってはいなかった。
明治維新のときには薩摩に錦の旗を渡してしまうのだ。
あの時戊辰戦争が起こるが、
錦の旗をかけたのは薩摩長州軍。
徳川幕府側は賊軍となった。
ちょうど揺れ動く時代で人々の心も定まっていない中でも、西郷隆盛は渋沢栄一を高く評価していたような気がする。
時代の常として聡明でよく仕事ができる人間は非業の死を遂げる場合が多いと。
西郷の言う聡明でよく仕事ができる人とはすなわち平岡円四郎のような人物を指す。
また渋沢栄一にも同じものを感じた可能性が。
新たな指令そして波乱の予告編
平岡円四郎はきたるべき時代には一橋慶喜が日本全体をまとめる役柄に最もふさわしいと考えていたようだ。
しかし、一橋家で活動するためには兵力も何も持たないので、志ある若者を今以上にたくさん集める必要があると考えていた。
同じような考えを一橋慶喜本人も抱いていたようだ。
水戸藩にわざわざ兵力の依頼をしている。
篤大夫にも関東で志ある若者を多数集めてこいとの指示が降った。
武士としてのはじめての大掛かりな仕事になるが、今日の物語はここまで。
来週の予告編が描かれるが、名前ははっきりとは出ていなかったが、今物語に登場している極めて重要なキャラクターが暗殺される可能性が。
私の調べたところでは平岡円四郎が暗殺されると思う。
彼は今日のエピソードのわずか2週間後に命を落とすことになっているのだ。
彼を暗殺したのは他ならぬ水戸藩士。
世の中がどれだけ混迷していたのか如実にわかると言うもの。
水戸藩は行って見れば一橋慶喜の後ろ盾のようなもの。
その慶喜のの1番の家来が円四郎なのに、ひがみやっかみの類でもあったのだろうか。
渋沢栄一の回顧録にも出てくるが、円四郎は驚くほど気の利く人だったとあった。
どうやら物語は来週あたりから大きく動きそうな気配。