くわちゃんの独り言

音楽や映画が大好きな爺さん。長年の経験から知りえたことを発信します。

ピアニストの系譜 アルゲリッチ私こそが、音楽!

 

有名なピアニストだとテレビでもそれなりに特集番組が組まれる。

年寄りの暇な暮らしなのでテレビもYouTubeもお馴染み。

この間、何度目かの再放送だろうと思うけどマルタアルゲリッチの自伝番組が放送されていた。

私は何人かのピアニストを始めとするお気に入りの演奏家がいる。

マルタアルゲリッチはその中の代表と言えるだろう。

1941年生まれで、今年は80歳の年にあたる。

映画が撮影された時はちょうど70歳になろうとする時。

今から10年前。

すでに、ピアニストとしては世界中でもベスト3ないしはベスト5に入る大変な使い手

以前もこのブログで紹介したことがあるが、今回は映画に特化して彼女に注目したい。

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アルゼンチン生まれ 6カ国語を普通にこなす

目次

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アルゲリッチ私こそが、音楽!

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映画の中のひとこま ピクニックの様子娘たちとともに

アルゲリッチのことを調べてみてアルゼンチン生まれだったことがとても意外。

もともとスペイン語圏で育ったはずだが今は映画の中ではフランス語を普通に話していた

ピアニストとして身分が不安定だった頃は自分の語学の才能を生かして通訳とかで食べていこうかと考えたこともある位、語学に堪能で6カ国語を普通に話すと言われている。

スペイン語、フランス語、ポルトガル語、英語、イタリア語、ドイツ語。

調べた限りではこのほかにも多少はこなせるような雰囲気。

映画の中で詳しく語られていたのは彼女の音楽形態、コンサートの様子など。

そして、この映画を監修したのは三女のステファニー。

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父親はピアニスト 彼女は映像関係の仕事を主になりわいとしている

彼女の子供の頃の思い出がエピソードとして詳しく語られていた。

母親のアルゲリッチは毎日ピアノに向かって厳しい訓練を積んでいたのだそう。

その時の娘の記憶は母親の足先を見ていたと言う。

子供なので床に腹ばいになって母親の足がペダルを踏むの飽きもせずに眺めていたようだ。

そして、母親が演奏会に行く時は自分は母親には会えなくなることを意味していたと。

演奏会が終わった後、母親はファンの前に必ず姿を現してサインなどににこやかに応じていたようだ。

娘心に母親のそういった振る舞いが嫌でたまらなかったとも述懐していたね。

ファンに母親をとられたような気がして、ファンに食ってかかったこともあると語っていた。

確かに子供の目線だとそういうことになるが、マルタアルゲリッチがピアニストとしての自分の演じるべき役どころをよく心得ていたことがなんとなく理解できる。

アルゲリッチは気難しい演奏家で有名だが、彼女は誰よりも自分自身のファンを大切にしている。

もし、心に響くものがあれば長くファンとして交流を続けるような。

日本でもはるか昔にやってきた時、大分県でとても印象に残る体験をしたらしくて、そのことが本で今でも年に1度は大分県を訪れることに。

映画の中で彼女がピアノを弾くシーンが幾度と無く流れたが、私の目にはほとんど神業のように映ったね。

ピアニストとしては彼女は決して大きな手の持ち主ではないんだそうだ。

ピアノとなればあの魔術師と呼ばれたリストのことを必ず引き合いに出さねばなるまい。

リストは取材を受けたときにあなたのその超絶のテクニックはどのようにして保たれているのですかと聞かれたんだそうな。

鉄の訓練とビロードの指

これがリストの答え。

リストは自分自身のピアノの技術を確立するために絶対に妥協しない訓練を自分に課していた。

と同時に思い立って誰もができることではない。

彼には自分の希望を叶えるだけの才能が備わっていたと言える。

映画の中で娘が語っていた母親アルゲリッチはピアノの練習をするときには一切妥協せずに行っていたような描かれ方。

確かに納得できる。

3度の結婚離婚 3人の娘の母親

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3度結婚して離婚 それぞれの夫との間に娘を3人

娘が3人いてそれぞれのインタビューも映画の中で紹介されていた。

私がずいぶん前にこの映画を見て印象に残ったのは長女リダ・チェンの話。

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父親に母親のようなピアニストになりたいと訴えた

この時、父親のロバート・チェンはとても残酷なことだが母親には絶対に勝てないからやめたほうがいいと忠告している。

 プロの音楽家として様々な演奏家などにも接してきたであろう父親は娘がどんなふうに死に物狂いで頑張っても母親を追い越す事は絶対に無理だと直感で悟っていたようだ。

プロで活動する以上、自分が1番との認識を持たねばとてもモチベーションを維持することなどできない。

芸術家なのだ。絶対に妥協などしないはず。

このときの忠告で長女はビオラ奏者として身を立てることになる。

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母親の伴奏で演奏することも多い

ちなみに2番目の娘はあの有名な指揮者シャルルデュトワとの間にできた子供。

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結婚期間は短かったけれど今は同じ音楽家として協力し合う間柄

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2女アニー・デュトワ お父さんに似てると思う

映画を見ていて感心するのは、アルゲリッチの娘たち3人と孫も引き連れて皆で一緒にピクニックに行っているシーンが描かれていたこと。

父親の違う娘たちが、それぞれ交流があって相手のことを尊重しているんだなってことがなんとなく伝わってきたもので。

特に母親は自由奔放でよく知られていた。

そういった母親のもとで育った娘たちは皆それぞれ自分のライフスタイルはきちんと確立しているように見える。

何よりもアルゲリッチ本人が別れた夫たちと今でもきちんと交流していること。

離婚してしまえば普通はもう交流することなどありえないのだが。

特に最初の夫ロバートチェンとは、長女が生まれる前に離婚をしているのだ。

夫婦生活をする上でちょっとでも違和感を感じたならば即離婚にしてきたような。

どんなものにも束縛されたくは無い彼女のポリシーがうっすらと感じられる。

とにかく若い時から美人で類まれなる才能のピアニストとしてもてはやされた。

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若き日のマルタアルゲリッチ タバコを持つ手も様になっている

こうしてみると3人の娘たちのうち、3番目のステファニーは母親に瓜二つだなと感じるね。

今は孫もいるおばあちゃん

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三女ステファニーが妊娠したときの様子

 三女ステファニーの出産シーンに立ち会っている様子が描かれていた。

この映像は出産直前に撮影されたもののようだ。

おなかの中の子供に耳をあてて話しかけているおばあちゃん。

ちょっと微笑ましくもあり、(孫バカ)と言うべきだろうか。

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2番目の夫シャルルデュトワと娘アニー

この結婚も4年ほどで終わっていると思った 。

聞いたところでは原因は夫の浮気とのこと。

ピアニストと指揮者だからね、すれ違いの生活だったろう。

音楽を通じて広がる人脈

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大分県は毎年訪れると聞いた

大分県とのつながりはよく知られているようだ。

またマルタ・アルゲリッチは文化勲章も受けている。

旭日中綬章 がそれ。

日本びいきのことが何となく納得できる。

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機内での食事風景 日本の弁当を器用に箸を使って食べる

さて、すでに晩年のアルゲリッチがこの先どんな活動をするのだろうか。

ピアニストとしては泣く子も黙る実力者だと個人的には思っている。

とにかく想像を絶する訓練を長く続けてきたのだろう。

最初の夫が、ピアニストとしての彼女は全く別格なのだと娘に説いて聞かせたように、今の彼女の演奏ぶりは他の追随を許さない。

最後に私のお気に入りの演奏を1つピックアップしておきたい。


www.youtube.com

オリジナルはピアノではあるまい。

しかしバッハの解釈としてはグレン・グールドに勝るとも劣らない。

メリハリの利いた力強い感触は私が1番納得した部分。

こういった演奏を自由に選び取って聴ける良い時代になったとつくづく実感する。