おかえりモネはなんとなくほんわかした物語なんだろう?とたかをくくって見ていたと思う。
しかし今日のエピソードを見ていてその思いは全く見当はずれだったことを思い知らされた。
演じている役者たちの演技の凄いこと。
と同時に物語で形作られたエピソードがあまりにも身につまされて。
ミーちゃんとじいちゃんは種牡蠣の原盤の扱いで言い争いに。
やりとりの内容ではそれぞれ心に噛み合わない何かがあることを予感させる。
たかだか高校生の自由研究
この言葉に激しく反応するミーちゃん。
言葉の端に自分が見下されたと感じてしまい、激こうしてしまう。
そんな妹の様子を見ていて何とかして助けたいと思うモネちゃん。
そして父耕治は気仙沼で昔なじみの新次と再会。
この2人にも埋めようのない溝があったことが今日明らかに。
さらに、永浦家は大震災の後を受けて厳しい経営状態が続いていた。
家族みんな家を守るために死に物狂いになっていたがその歯車が、実はそううまくは噛み合わなかったのだ。
目次
龍巳おじいちゃんの判断
稚貝用の原盤を海中に投入してから雨が降り始めた。
実はあまり強い雨だと海中の塩分濃度が薄くなってしまって牡蠣の養殖には、とりわけ原盤の管理上都合が悪い。
雨はそれほどのものではないと感じて、もう少し原盤を海中に留めて何とか稚貝をたくさん採取したいと考えるミーちゃん。
しかしおじいちゃんはそうは思わなかった。
目先の2時間3時間にこだわるよりもこの雨は強くなるかもしれないのですぐに原盤を引き上げて対応しなければと、孫の意見にまったく取り合わない。
ここで最初のぶつかり合いが。
これは私の研究。
私の好きにさせてもらう。
勝手にしろ!
この様子を外から見ていたのがモネちゃん。
感情を激しくぶつけ合う2人に手出しができない。


まさかおじいちゃんが怪我をするとは。
実は降りしきる雨は強くなるばかりで、そのまま稚貝の原盤を海中に捨ておけばせっかくの研究が台無しになってしまう。
日が暮れて暗くなってしかも雨の中を船を出して作業をしたところが、ついうっかりで足をくじいてしまったのだ。
事態が思わぬことになって、耕治と亜哉子さんは娘の未知ちゃんを激しく責める。
このやりとりがさらなる波紋を呼んでしまう。
孫をそんなに叱らなくてもいいよとおじいちゃん
たかだか高校生の自由研究。
この言葉はミーちゃんのプライドを粉々に打ち砕いた。
耕治と新次
たまたま街でばったり出会った耕治と新次。
どうやら過去にお互い気まずいいきさつがあったような。
それは大震災に起因する。
震災で何もかも失ってしまったのは誰もが同じだったが、新次も同じように失ってしまった。
話から察するに、震災の前にある程度の設備投資をしたのでは。
そして多額の借金を返済するための計画も立てて今まさに事業を起こそうという時に全て失ってしまったのだ。
あの地震のときには、家のローンなどを組んではみたもののそれらの資産が全て津波で台無しにされて、しかも生活も立ち行かなくなって二重のローンに苦しむ話があちこちで聞かされ
た 。
おそらく物語の様子からすると同じことが新次にも起こったことが推察される。
お金の工面で耕治が全力で動き回ったんだろう。
しかし、事態が改善する事はなかったようだ。
その時から2人の間には拭い切れない嫌な思い出として残ってしまう。
この2人の演技を見ていて浅野忠信の漁師役の違和感のないこと。
彼が演じている様々な役柄を見させてもらっているが、役者としては超一流だなと痛感させられる。
受けて立つ内野聖陽も役者としては凄腕だろう。
2人のやりとりからお互い気まずい過去があること、そして今でもぎくしゃくしたままなこと。
彼らのわだかまりがリセットされる日が来るのだろうかと思ってしまったね。
未知の思い
ミーちゃんにとって、自由研究の形をとっていても今やっている稚貝の養殖はこれから必要不可欠になってくるとの思いが強い 。
長期的に見れば、すべて自前で養殖業を成立させることが経営の安定にどれだけ貢献するかは大人たちもよくわかっている。
しかし、この時父親やおじいちゃんの口から語られたのは、現実問題としてギリギリで経営している永浦家の養殖業。
稚貝を育てるとなれば、気仙沼には少ない浅瀬を何とか見つけ出さねばならないこと。
さらには海中に立てる支柱用の設備とか、かなりの準備が必要になる。
そしてそれは必ず成功する前提で行えることでもなさそう。
失敗したときの負債は一体誰が被るのかと。
大人の算数では当然そうなるんだね。
ミーちゃんは父親にも激しく詰め寄る
亮ちんの家が大変な時だって結局助けてあげなかった❗️
返済とかお金とかが全てなんでしょ!
さすがにこの時お母さんが一言
いいかげんにしなさい(怒)
永浦家は皆家の状況が厳しいことをよく知っている。
すべてはあの地震のせい。
それぞれが必死に頑張ろうとするが歯車がうまく噛み合うためには、もっと冷静な対応をしなければならない。
口では簡単に言えることだが、実際は追い詰められたもの同士の会話。
感情が激こうするのもうなずけると言うもの。
家族 それぞれの思い
激しい緊張感の中家族がぎくしゃくする様子にリセットボタンを押したのはモネちゃん。
あのけたたましい音の出る手作りの笛を吹いてみんなの注意を引くと、登米で教えてもらった料理を作るからみんなで手伝ってと。
そしてあの はっと汁をこさえる。
この場面での一番の見所は料理の輪の中に入ってきたミーちゃんが家族にごめんなさいと謝るところ。
そしてその様子をみんなが受け入れて、涙ぐむお母さんが映されるところ。
ひとしきりの事件が終わった後1人部屋で天窓を見ているモネちゃんが涙を流す。
物語は叙情的に淡々と描かれたけど、15分では語り切れないほどの複雑なニュアンスを巧みに表現。
明日と明後日のエピソードでこの回は終了する。