物語は本格的に登米での山にまつわるエピソードが始まる。
無事お盆休みから戻ってきたモネちゃん。
早速お土産で抱えてきた気仙沼の牡蠣をみんなに振る舞うことに。
みんなで話が弾む中、それぞれの業界の切ないふところ事情が見え隠れ。
2014年現在、木材は需要が激減してほとんど値段がつかないような厳しい状態にさらされていた。
林野事業の一環だけど、すでに80年代初頭に事業が破綻している報告が農林水産省から発表されたのを思い出す。
それに比べると気仙沼の牡蠣は、きちんと処理された殻付きの生牡蠣で一個¥300ほどらしい。
なるほどと思うことしきり。
木材業界出身の私にとって、2021年現在ウッドショックと呼ばれて木材が全く供給できていない緊急事態に陥っていることが皮肉だなと痛烈に感じる。
事業を理解せずにきちんと手当てができなかった結果、もともと基盤の弱い木材業者は全て淘汰されてしまった。
そんなエピソードが今週の大きなテーマになりそう。
目次
中村医師と菅波医師
帰ってくる早々この2人の先生のやりとりが描かれていて、モネちゃんの持ち帰った生牡蠣を食べるために2人とも登米に残ることに。
本来ならすれ違いで、顔を合わせる事はごく稀なんだけど。
ちなみに中村先生は海鮮系もお酒もばっちりいける口。
対する菅波先生は過去に3度生牡蠣に当たってそれ以降は食べない習慣。
2人は見た感じも正反対の持ち味。
そんな中、中村先生が真面目な顔で今度こちらの診療所では訪問医療を始めたいと提案。
山の中の診療所となればやってくる患者さんは大抵お年寄り。
病院まで出向いてくること自体が大変なことになり始める人もちらほら。
田舎の診療所だから提案できることで、都会ではなかなか厳しいかも。
もっとも、今は訪問看護のシステムがあるので介護保険を使えば様々なサービスが受けられるのも事実。
しかし田舎ならではの持ち味で訪問診療も視野に入れ始めている。
その問いかけに、即答する菅波先生。
僕はできません!
助ける医療にこだわりたいので!
2人の持ち味がよく出たんだけど、この先どんな風に進む話なのかね。
木材の値段と牡蠣の値段
いかに間伐材とは言え、1本1600円程度で丸太を売るとなると儲けもクソもないよね。
およそ50年かけて育てあげているので、その間の経費たるや計算するのも恐ろしい。
何よりもここで問題視されていたのは、買い手がつかなくて余ってしまう木材が結構あったりする。
普通、極上品と呼ばれる木材は銘木と言って別な値段設定になる。
銘木市が全国で開かれるはずなので、そこへ行けば入札をして値段をつけることになるが、かなり良い値段がするので売りさばく自信がない人は決して手を出さないね。
それ以外は大抵一山いくらになっちゃう。
さらに今回参事がぼやいていたのは、木材の流通経路できちんとした値段がついていないので、その値打ちをわかる人がほぼいないこと。
たっぷり酒を飲みながら水も空気もタダじゃねぇの発言に。
ちなみに、モネちゃんの持ち帰った生牡蠣は出荷のときの値段が一個300円とのこと。
これで3年物の牡蠣なので、かろうじて採算が取れる程度。
それに比べると木材はまったくの赤字だろうね。
木材が値切られる理由
木材の値段について職員たちのぼやきが聞こえてくる。
針葉樹はまだ1本1600円くらいで買ってもらえる場合もあるけれど、広葉樹はまるで買い手がつかない。
楢のそこそこ良い丸太があるんだけれど、誰も買ってくれないから結局はチップにするしかない。
ちなみにチップにするというのは製紙工場の原料になること。
普通木材として売る場合は、物にもよるけれど最低の値段が10円とした場合、チップにすると1円と聞いたことが。
まぁ売れないよりはマシだけど。
北海道の場合、楢の極上品は私の知っている知識だと日本の木材業者は値段が高くて買えないと聞いている。
では誰が買っていくのか?
外国の、とりわけドイツとかイタリアのバイヤーが入っていて彼らが買っていくのだそう。
そんな高い値段でよく買えますね!と聞いたところが、私の国ではきちんと値打ちのわかる人がいてその人たちがかなりお高い製品でもきちんと買ってくれますとのこと。
ちなみに日本の木材に関わる産業はこういった本当に良いものの目利きをする人たちがあまりにいない。
それは政治も行政も、そこら辺に力を入れてこなかったから。
仕事をしていた我々木材業者たちも自分たちの自慢話はしても、木材の知識の啓蒙運動には全く目を向けなかった。
その成れの果てが2021年現在のウッドショックと呼ばれる原料不足。
もうこうなれば簡単に元には戻せないね。
組手什注文からヒント
飛び込みで小学校から舞い込んだ注文が組手什を使った本棚。
お盆の里帰りの時に盆棚を作ったやつだよね。
このプラモデルのパーツみたいな部品は木工作業に不慣れな人でも何とかなってしまうところが優れもの。
この作業の最中に学校机がいよいよガタが来て更新時期に入っていることを発見するモネちゃん。
そこではたと思いついたことが。
彼女はサヤカさんから広葉樹を用いた製品開発の仕事を言いつけられていた。
楢の丸太を使って学校机を作れば一石二鳥で販路を大きく広げられる。
目のつけどころは素晴らしいと言える。
ただしこの先クリアしなければならない条件がいくつかあるよね。
それは明日以降のエピソードでしっかり語られるけど、もともと長くこの仕事をやってきた私には手に取るようによくわからる。
材料になる楢はまだ丸太の状態なんだよね。
ちなみにあまりネタバラシはしたくないけど、木材の製品管理で一番大変な事は何かを話しておいてもいいかなと思う。
それはね、乾燥
木材は乾かすのに鬼のように手間がかかるんですよ。
それも、高級なものになればなるほど年単位の時間が必要になる。
その間はお金が入ってこないので。
今日のネタバラシはそこまでにしておきましょう。