今日のエピソードを見ていてかつての記憶が蘇る。
ここ何日か言っている通り
木材の扱いで1番のポイントはどれだけうまく乾燥させるか。
私の時代の知識だと乾燥方法は天然と人工の2つあるが、両方併用するのが良いとされた。
今は人工乾燥だけでいけちゃうのだろうか。
専門用語で言えば含水率を下げるってことになるよね。
伐採直後の木材はモノにもよるけれども含水率は軽く100%越え。
乾燥すれば半分以下の重さになる。
それだけ水分を含んでいるので、その水分を含んだ状態ではおよそ加工は不可。
今日の物語の中では12%以下まで乾燥したいと。
私が在籍していた会社ではピアノ用の部品だと6%台に。
ドラマの中で使われていた家具などの製品で8%台が理想とされた。
12%だと、私は経験者の立場としては不可を出すね。
後から材料が割れたり狂ったりのリスクが含水率が10%を超えて跳ね上がるんだよな。
後は作り手と使い手の受け止め方次第だろうね。
目次
木材乾燥は至上命令
簡単に乾燥させるといっても手順は思いのほか大変なものが。
天然乾燥は時間はかかっても、中の水分量をほぼ均一に下げることができる。
ただし、どんなに頑張っても20%切る位までにしかならないだろう。
加工に適した含水率まで落とし込むためには人工乾燥は必要不可欠。
温度と送風だけで死に物狂いになってみたところで木材からの水分は簡単には抜けてくれない。
木材内でもどこに水分が多く存在するかで、方法は微妙に変える必要が。
ある程度熱と送風で水分が抜けるが、それは木材の外側にある部分が多く抜けるので、中まで等しく抜こうと思うと途中休んだり、また逆に水分を与えてみたりといろいろ手を尽くさなければならない。
ちなみにこの辺のデリケートな乾燥技術は大抵企業秘密。
今日の物語を見ていてそんなことをふと感じたね。
私のいた会社はヤマハにピアノの材料をおろしていたので乾燥技術は当時でも日本のトップレベルだったと自負している。
担当者に何度か直接話を聞いたことがあるが、周りで見る以上にデリケートな気配りが必要だ。
さて、楢の新しい机はどんなふうに出来上がるんだろうか。
完成 新机
出来上がった製品を見せて伐採担当の熊谷さんが一言。
重くねぇか?
確かに。
全部木で作ればかなりの重量になるね。
そこで思い直して天板のみを楢の幅剥ぎ材に。
他は軽いアルミか何かにすると費用も安く抑えられて、理想のものが。
木工作業の様子も紹介されていた。
幅剥ぎの時に木場(コバ)にサネ加工を施していた。
最終的に木材を横方向に貼り合わせるんだけど、接着剤をつけるだけなんだが、これがたまげるほどズルズルと動いて合わせるのが大変なんだよね。
動く割にはかなりの圧力を必要とするので、あらかじめミゾを掘ってサネを埋め込めば狂う事は無い。
ちなみに金具を使っていたけれどあれは日本語ではハタガネ。
ホームセンターなどではクランプと言う名で売られている。
接着剤は木工用ならば大抵役目をなすけれど、なるべく水に濡らさないように使うのがコツと言えばコツ。
しょっちゅう水でズブズブに濡れると、後からバラバラになるよ。
水に濡れても剥がれない接着剤は構造用のものがあるけれど、普通は使わないはず。
木材産業の強敵は大企業
大手の木材の納入メーカーは大量にしかも早く納品することが可能。
ただし、種明かしがあって彼らは下請けの工場に無理強いしている。
私のいた会社も大手の木材卸売業者に階段の段板を収めたことがあった。
とにかく、納入業者泣かせだったね。
営業担当がやってきて大量生産の説明をするんだけど、話を聞いていてよくわかったのはこの人間はまったくの素人だなと。
話の内容がとにかく意味不明だったのを記憶している。
そして言ってくるのはとにかく納期を守ってくれ
その一点張り。
かつての嫌な思い出もちょっと蘇ったね。
思いがけない誕生日プレゼント
学校で聞いた話では小学校全部の机を更新したいとのことで4200台を半年で収めてくれないかと。
公共事業だから納期は絶対。
ここでモネちゃん達はあっさり行き詰まってしまう。
到底間に合うようなことにはならないのだが、やはりネックは乾燥でしょう。
大きな人工乾燥室があったよね。
あの施設にはどのくらいの能力があるのかな。
どのくらいの容量があって、乾燥するためにどれだけの日数がかかると計算すれば、材料の準備期間がわかると言うもの。
歯が立たないことがわかったに違いない。
おかえりモネの今週のエピソードが始まった時に、楢材の有効利用をとテーマが与えられた。
まだ丸太の状態のものを製品化するには軽く一年はかかるよと私はこのブログで書いてきたが、その通りのことが起こり始めている。
さて仕事が終わってからいつものように菅波先生との勉強会。
今日はなんと思いがけないことに、
菅波先生の知識をフル活用するとモネちゃんの誕生日があっさりわかってしまったのだ。
意外な形で持ち出したのは中学校の理科の参考書。
絵本と専門書の間を取り持つ中間的な役割を果たす。
そして菅波先生は、多分今までではじめての経験だろう女性に対するプレゼント。
感動的なシーンだったよね。
お互いのことが気になりかけていて、知らず知らずのうちに好きになっている。
ありがちなパターンだけど、純真な男女の仲ってこういったことなのかなと。
ヒント
今日は水が蒸発する時、沸騰するときの違いについて説明していた。
水分を乾燥させるために必要なのは熱量と風量。
日常の何気ない作業の中からそのことにヒントを得たモネちゃん。
木材の一番の泣き所とされる弱点を、何か画期的なアイディアで乗り切れる可能性が生まれたかも。
明日今週のエピソードに決着がつく。