再会した朝岡さんと過ごしたわずかな時間はモネの人生に再び前に進む力を与える。
山林などで様々な観測機器を用いてデータを取得しようとしていた朝岡さんたち。
彼らの仕事から、気象予報が未来に対して危険を回避する時間を与える。
大きな災害があるときは、その先に起こるべき事態をあらかじめ想定することが可能。
気象予報の世界ではこのことがリードタイムとして強く認識される。
いったんはあきらめかけていた気象予報士試験に再チャレンジ。
どうやらここでもう一度チャレンジするモチベーションが出来上がったような。
そしてモネが抱えるトラウマは、大震災の時に何もできなかったと思い込むことによって、激しく自分を責め続けていた。
その思いを詳しく解説する朝岡さん。
何もできなかったと思う人は次に必ず何かに役立とうと頑張れる人。
そしてその思いは意外にもみんなに共通する思いだったかも。
目次
4年前の大津波がみんなをつなげていた
中村先生や気象予報士たちがなぜ面識があるのかの説明が。
皆、4年前の大震災の時に災害派遣の活動や仕事でこちらに来ていた。
中村先生は本業の医療関係で活動。
朝岡さんは海岸線の詳しいデータを取得するために(災害用ヘリの情報獲得のため)活動していたらしい。
そしてその時登米の森林組合を始め、残った建物を全て災害派遣に提供してくれたのがサヤカさん。
その時以来の結びつきだとのこと。
そういえばあの時はテレビのニュースで災害の様子を盛んに報道していたけれど、民間の避難所みたいなところがあちこちにできていたんだよね。
私も震災に関わる様々な対応方法を何度か講習会で学んだが、ただ支援を待つばかりでは命を守ることにはならない。
これだけの大きな災害があると、実際に支援活動が本格的に始まるのは最低でも三日間以上経過しないと動けない。
運が悪ければ1週間程度は動けない。
それまでの間は、残っている家族なり地域なりの準備で過ごすしかないのだ。
あの地震以降、各市町村の緊急対応マニュアルはほぼ全て見直されただろう。
とにかく機能しなければ人の命は守れない。
震災後の復興はまだまだこれから
物語では震災から4年後との設定になっていた。
つまり、2015年だよね。
この経過時間ではあの大津波で致命的なダメージを受けたところはほとんど瓦礫の片付けができたか出来ないかくらいだったろう。
また行方不明者も数千人単位で発生していたのでその捜索活動もまだ継続していたと記憶。
地震もさることながら、津波の被害がとにかく半端でなくひどかった。
そして登米からは少し離れるけど、福島原発の問題は今でも議論の対象に。
つまり後片付けもまだまだ始まったばかりぐらいだったろう。
この日の夜の宴会で盛り上がった後、中村先生や朝岡さん、サヤカさんの会話からはそのような思いが所々に。
震災の復興は10年経った今もまだまだこれからの課題。
朝岡氏の指摘
リードタイムについて尋ねるモネ。
嬉々としてその問いに答える朝岡さん。
普通、未来は誰にもわからないが、こと気象に関して言えば未来は予測可能。
この先に何が起こるかを高い確率で予測することができる。
そのことに対して準備をする時間を生み出せる。
その準備のための時間こそが気象予報の語るリードタイム。
よく言われるのは台風などの進路予想。
テレビでも盛んに放送されるし、ネットを操れるものならば、さらに詳しい情報も取得可能。
ちょうどこの2人が会話しているときには台風が2つ発生して両方まとまって接近するとの事。
そのことで何とか、準備のための時間を捻出したい。
実際予報の通り、台風がその日の夜やってくるのだ。
サヤカさんの述懐


台風の夜、山側の部屋のサヤカさんはモネちゃんの部屋で一緒に寝ることに。
大嵐の中、サヤカさんが語ったのは自分自身の生い立ち。
彼女もどうやら台風の大嵐の夜に誕生したらしい。
話を聞くとモネちゃんと同じ9月17日。
幼い頃、新田家に養女としてもらわれた彼女は、その家が代々伊達藩の家臣の家柄で、山に植林をするのがなりわいだったとのこと。
どんなひどい目にあったとしてもそこに木が植わってあれば、その木を糧にして人々は必ず困難を乗り越えられる。
代々家に受け継がれたその家訓を律儀に守ってきたとのこと。
調べてみたらこれは全文ではなくて、この後もあるのだが、こちらだけが有名で取り上げられることが多い。
豊臣と徳川両方に仕えた伊達政宗らしい家訓だと言える。
バランス感覚の大切さを説いているものと。
ミーちゃんの決意
その頃、亀島では成績優秀なミーちゃんが大学進学はしないと言い出していた。
彼女は水産試験場で研究するのが目標だったよね。
県職員の採用試験を受けるとのことで、父耕治とやりとりを。
ミーちゃんなら働かなくてもどこにでも好きな大学に行けるべ。
確かに彼女の成績なら、おそらく希望する大学どこでも合格可能だろう。
しかし、ミーちゃんの決意は固い。
私は働きたい。
父親は少し黙った後問い掛ける。
ミーちゃん 無理してないか?
してない…。
親子のギリギリの心情のぶつかり合いだったろう。
彼女の進路にもなんとなく心配な要素が。
しかし、物語は未来に向かって確実に進行中。
それぞれ自分の道を切り開くために前進するのだ。
必ず誰かの役に立てると信じながら。