日曜夜9時のTBSのドラマ「TOKYO MER 走る救急救命室」
このドラマも見始めて2回目の放送が終了。
かなりユニークな作りになっていて、とにかくネットでも噂になること甚だしい。
とにかくストーリーが強烈極まりない。
切迫した状態で救命治療にあたるチームの物語だが、
いくらなんでもやり過ぎだろうって言うぐらいピンチが毎回のように訪れる。
そして、さらに物語を強烈なものにしている理由に悪役がしっかりと登場していること。
とにかく憎たらしいくらいの悪役。
その悪役に対応するかのように主役を演じている鈴木良平。
彼が間逆の能天気さで救命室のチーフに収まっている。
ネットでは、かなりの批判も集まっているのでその辺も含めてちょっと考察。
目次
救命室のメンバーたちのユニークさ
このメンバーは東京都知事の肝いりで作られたと聞いた。
中心人物にすえられたのが鈴木良平演じるドクター喜多見。
日々肉体の鍛錬に余念がない。
彼の他に集まったドクターは麻酔科医と、研修医。
そして厚生労働省の官僚である医官。
他に救命バスの運転手を兼ねた若いドクターが1人と、女性看護師が2人。
組織したのは東京都知事を演じている石田ゆりこ扮する赤塚梓
政治的な駆け引きの中で微妙な力バランスを意識しながら行政の長として頑張る。
そういったキャラクター設定がかなり強烈に描かれるんだよね。
ドラマを見ているとよくわかるけれど、救命室のメンバーとりわけ喜多見医師に全幅の信頼を寄せる。
設定に潜む無理矢理さ加減
救命室には毎週必ず出動依頼が舞い込む。
たいていは事故だったりする場合が多いが、一刻を争うことがほぼ全てで、現場に着いたメンバーたちは消防庁の救護班の指示に従うことなく無理矢理救命活動を開始するのも常。
とにかくいちいち指示に従ってたりはしない。
ここでまた軋轢を生むのだが、このことに鑑みて組織そのものをつぶしてしまおうと言う勢力も同時に描かれる。
危険な医療行為と批判する者も多いが、厳しい状況の中でトリアージ(医療の優先順位を決めること)を行いながら死者ゼロを目指す必死の活動が続く。
毎度感じるのは、そんな事故なんか起きるわけねーだろと思うようなことが平気で起こる。
また医療に関わる専門的な内容も盛りだくさんで、医療ドラマはこの辺で見ている物を納得させる。
悪役が醸し出す絶妙なドラマの仕上がり
とにかく決定的な悪役が存在しているのがこのドラマのユニークなところ。
厚生労働大臣を演じている渡辺真起子とか同じ労働省の役人を演じている鶴見辰吾など、演じていて楽しいに違いない。
とにかく憎たらしさが前面に出てくるのだ。
ドラマの中では人に憎まれてなんぼの悪役。
その務めを存分に果たしている。
この桂文珍の憎たらしいこともこの上なかった。
ストーリーのほとんどすべてが彼の超わがままな行動で成立していたと言っても過言ではない。
ここまでしてストーリーをデフォルメするのには、いかに物語に信憑性を持たせるかにかかっているからだと。
昨日はエレベーター内に閉じ込められる設定だったけれど、今日日なかなかありえないだろう。
エレベーター、しかも大病院に備わった施設ならそんな簡単にトラブルなど起こるはずもなく。
そこをとにかく強引にストーリーとして組み立てていく。
とにかくいろんな面でデフォルメして物語を際立たせようとする。
目指すべきはコロナ禍でがんばっている医療従事者への励まし
脚本家はまだ50歳前でかなり若いと思う。
しかし脚本家としての実績はかなり積んでいてテレビでは知られた存在。
今回のドラマの中でキーパーソンとなるキャラクターが賀来賢人演じる音羽尚
彼は救命室を潰すために厚生労働省から派遣された医官。
あら探しその他をして、何とかして組織を潰そうとするが、救命室の活動には全力で参加。
ドクターとしての腕前もかなりのもので、裏があることを知りつつもチーフの喜多見は彼のことを信頼している。
この彼がこの先のドラマで大きな役割を演じる事は間違いない。
ドラマが終わった後のテロップですべての医療従事者にささぐと出てくる。
要するに医療関係者への励ましのドラマとしての性格。
確かにコロナ禍やオリンピックでかつてない厳しい仕事を強いられている医療関係者。
そしてそれらを総括しているはずの政治家や行政もいまひとつ素人集団でしゃきっとしていない。
そんな現実社会への批評も見え隠れ。
ドラマはすべてデフォルメされているので額面通りに受け取ったのでは拍子抜けするだろう。
しかし、ストーリーが醸し出すスピード感や役者たちのデフォルメされた演技はある意味爽快感が伴って、見終わった後すっきりするのも事実だろう。
久しぶりにわかりやすいドラマが出てきたなと感じる。