今日放送された「おかえりモネ」
これほど切ない物語があるだろうか。
人の心を語る上で、こんなにも切なく悲しくてそして愛おしさを思い知らされる
3.11の津波の後遺症がこれほどのものとは、物語を通して初めて納得。
おそらく、似たような思いを抱いている人たちは今だってたくさんいるんだろうと思わざるを得ない。
大切な人を失うことがどれだけコタえるのか、俳優たちの名演もあるが、ストーリーの展開もこの脚本家ならではの掘り下げ方。
15分の中で驚くほど感情移入させられた。
目次
亮と新次
多分初めて亮君は父親に本音を話したと思う。
父親をどうしてももとに戻したくて、そのために今まで頑張ってきた。
父親を立ち直らせたい!
その言葉をうなずきながら真剣に聞く新次。
しかし既に答えは決まっていたかのように、受け入れる事はしなかった。
俺はもう船には乗らねぇ😓
俺が漁師でいられるのは美波とセットでなければダメなんだ。
この言葉には実感がこもっていたよね。
前へ進むためには、元通りになることでは無理なんだよ。
美波がいないんだから元通りになりっこない。
父親の固い決意の前に抗うことができなくなった亮君。
それは、息子のためにも前へ進まなければならない父親としてのけじめ。
切羽詰まったやりとりは周りにいる者達も心を揺さぶられた。
みーちゃんとモネ そして亜哉子さん
新次と亮君の全力のやりとりをすぐそばで見つめているみーちゃん。
彼女は亮君の呼びかけに応える形で一歩前に進んで、恋人と父親のやりとりを見届ける。
亮君が何を思って漁師をやっているのかはうすうすわかっていた彼女。
初めて彼が本音を語って父親と話し合う事は彼女にとってもどうしても知っておかなければならない事柄。
2人のやりとりは父親が息子の申し入れを断ることで決着する。
その様子を、すぐそばで見ていたのはみーちゃんだけど、その後にはモネと亜哉子さんが控えていた。
本当は2階にいて席を外しましょうかと提案していたね。
それを亮君がここにいて見届けてくださいとわざわざ申し入れをした。
わかった。ここにいる。
みーちゃんははっきりと意思表示をして同席することに。
耕治と達己さん
耕治は最初から席をはずしていた。
親子の話し合いに同席してしまえば、きっと途中から自分も意見を言い出しかねないと。
これは相手の立場を尊重すると同時に、自分自身への戒めでもあったと思う。
そして、達己さんは耕治とともに、隣の部屋で新次親子のやりとりをしっかりと聞くことになる。
この2人は実は意見の食い違いで、今まともに目を合わせられない関係に。
しかし、新次のこととなると、人ごととは片付けられない思い入れがあった。
及川家の親子2人の話し合いが済んで、どうやら死亡届の記入も終わったような雰囲気。
モネがやってきて、新次が立ち会ってほしい旨を伝える。
耕治が立ち上がると同時に、今までへ参加を拒否していた達己さんも一緒に立ち上がる。
どれ、見届けてやるかな😓
同じ漁師同士、そして同じ震災被害者。
達己さんは永浦家の中で誰よりも新次に感情移入していた。
新次がぽろぽろと涙を流すシーンでは、思わず感極まって一緒に涙を流していたよね。
新次のことがあまりに気の毒だと、とても正視できないと思う心がそこにある。
漁師仲間は言ってみれば戦友のようなもの。
苦しむ姿は我が事のように感じてしまう。
すべては愛する人のために
新次が死亡届にハンコを押す段階で、最後の心情を吐露していた。
コレ押したら今までのこと全部なかったことにできねぇかな?
耕治が目に涙をいっぱい溜めて、しかし優しさを込めてこう告げる。
できるわけねーだろ!
周りの人の顔をよく見てみろ!
みんなおめぇとおんなじ顔だ。
おめぇも幸せになっていいんだぞ😭
耕治がありったけの優しさを込めて発した言葉だろう。
新次は亡き妻とのことを思い出して、その気持ちをみんなの前で告げることになる。
しかし、残酷な運命は全てを破壊し尽くしたのかもしれない。
新次の言葉にその場に居合わせた者全員が涙を流す。
前へ進むことがどれほどの苦痛を伴うのか。
地震で被害を受けることがどういうことなのか。
おかえりモネでは、永浦家と及川家。
両方の家族を物語に登場させることで、震災から立ち直ることがそれぞれの家庭にとってどういうことなのかをここで描き切ろうとしている。
物理的な被害なら取り戻す事は可能。
しかし、もし失われたものが命だったらどうなるんだろう?
おかえりモネが最も描きたかったテーマはここにあるはず。
もうこの物語の撮影はとっくの昔に終わっているので、物語は後は放送されるばかりとなった。
若い主人公たちの物語のストーリーをまといながら、実際は、人生の岐路に立った人たちの悲哀が登場人物を通して描かれることになる。