真珠湾攻撃の翌年、まだ太平洋戦争が始まって間もない頃だけど、市民生活は耐乏を強いられていた。
春から夏にかけてはミッドウェイ海戦があり、そこで日本軍は惨敗するのだが、物語の最初のラジオ放送では間逆の内容が放送されていたね。
そして、いくつかのエピソード重ねながら秋にはついに学徒出陣が発表されることになる。
18歳以上のものは基本的に徴兵される可能性が極めて高かったが、理工系の学生を中心に免除されされていたこともついに撤回されるのだ。
橘家では放蕩息子算太にも召集令状が。
さらには職人たちにも少しずつ召集がかかるように。
そして、商売順調な雉真家でも稔君は学徒出陣が迫ってくる。
物語はついに本格的に戦争エピソードに突入。
目次
橘家
戦争が始まった直後から、国民皆兵制度はしっかり機能したと言える。
この場合の戦争は太平洋戦争を意味するが、実はその遥か前から中国では陸軍を中心に拡大路線がとられていた。
この当時最も力を持っていた軍人は東條英機だろう。
太平洋戦争の頃は彼が総理大臣を含めた様々な権限を一手に担っていた。
結果が出る出ないで言えば、作戦はそのほとんどが失敗に終わってはいたが、彼の実務能力はかなりたけていて、日本全体をぐいぐい牽引していたことが歴史にも残る。
橘家は算太の出兵の後、職人たちも次々に召集令状が舞い込んで、男手は年寄りばかりとなってしまった。


この頃になると、店は閉めざるを得ない。
材料が調達できないばかりか、注文もなくなってしまったと思われる。
この時代の人たちは、商売も立ち行かなくなって、現金収入がなくなるってことだよね。
お母さんと安子ちゃんが物々交換で品物を手に入れる様子も描かれていた。
およそ恋愛なんてご時世じゃなくなってたんだな。
雉真家
こちら繊維メーカーの雉真家は軍からの注文が引く手あまたで、日々忙しい状況。
この時代軍需製品を作ったところだけは、工場も納入業者も大繁盛だった。
今で言うところの公共事業で、値段も適正だったかどうかは定かでは無い。
とにかく言い値で買ってもらえたのも事実だろう。
儲からないわけがないのだ。
しかも、雉真繊維は銀行との太いパイプが築かれつつある。
稔君と銀行のお嬢さんとの結婚話は、今は棚上げ状態だが、結婚を前提に様々な資金融資の話が行われているようだ。
本人の預かり知らぬところで大切なことが勝手に決められるのでは、息子としてもたまったものじゃないだろう。
勇と稔


勇君は東京の大学に進んではみたものの、野球部員と言うことで、野球そのものが敵性スポーツの認定を受けていた。
東京6大学野球に相当する。
せいぜい練習試合が行われるだけだったと思われる。
この当時、甲子園は解体されて軍需物資に鉄製品などが供出されたと聞いた。
物語の中で語られていたが、個人所有のレコードも差し出していたようだ。
さて、今日の物語の中心となる部分。
それは偶然兄の結婚話を知った勇君が岡山から大阪まで出向いて稔君に問いただすシーン。
安子のことはどうなっとるんじゃ(怒)
兄さんだから諦めたんじゃ(涙声)
この言葉の意味はすごく重い。
大好きな安子ちゃんだが、恋敵はこともあろうに自分の兄。
そして、自分は兄のことを心から尊敬し、信頼している。
兄のためになくなく安子ちゃんを諦めた過去がある。
そもそも、勇君が岡山を離れた最大の理由は安子ちゃんへの失恋だろう💔。
物語の中では勇君が稔君を一方的に殴るシーンも描かれていた。
かなりの迫真の演技で、私の目には本当に右フックが当たっているように見えたなぁ。
殴られても全く抵抗できない兄。
どうしようもない(涙)
絞り出すように語った言葉は、稔君が限界を超えて追い詰められていることを如実に語っていたように思う。
物語の流れからいって、稔君と安子ちゃんの恋が彼らの力だけで成就するとは到底思えないな。
誰かの助けがなければとてもじゃないが…。
学徒出陣
物語は昭和17年も終わろうとしていた頃、道端で千人針をするように呼び止められる。
その時流れていたラジオ放送では、学徒出陣が決まったことが放送されていた。
この段階ではまだ、学生たちの召集令状は免除されていたが、時の総理大臣東條英機は、兵力不足を理由に様々な法改正を実施して、翌年からは20歳以上の学生が兵役に参加できるように決定した。
もちろん理工系とか、学校の先生になる系とかは免除されるが。
稔君は経済学部なので、100%召集される。
1964年の東京オリンピックの頃、様々な作家たちがその様子をリポートしていたが、その中におよそ20年前の学徒出陣のときの様子を重ねた文章があったと思う。
東京オリンピックは平和の祭典で、誰からも賞賛されたが、この時兵役に徴収された学生たちの悲哀をどれだけの人が感じ取れたのだろうかと。
この会場には時の総理大臣東條英機が貴賓席に座って挨拶をしながら万歳三唱を唱えていたんだよね。
今日の、カムカムエヴリバディは戦争一色の描かれ方だったけれど、時代背景を考えればこれが事実だったろうと思う。
日本が苦難の時代に入っていたことがよく伝わってくる。