今週からの物語は昭和21年から23年にかけて。
戦後まもなくだと、日本はGHQの言いなり。
およそ主権国家とは程遠い存在だったようだ。
戦地から戻ってくる人たち、また全国で行われた爆撃で生き別れになってしまった人たちなど、国全体としてもほぼ無法状態だったのかも。
安子ちゃんはるいちゃんと雉真家に残って暮らしてはいるものの、その居心地は日を追うごとにに辛く厳しいものに。
義母美都里さんは息子を失った悲しみから、いよいよ壊れ始める。
息子を失ったのは安子ちゃんのせいだと言い始める。
そんなことを決して良しとはしない夫千吉さんだが、安子ちゃんの将来のことを考えて再婚を進めるようになる。
雉真家を出るように促すのだ。
そして、るいちゃんは雉真家の養女として育てるから、安子ちゃんに単身で出て行くように提案。
そんな申し入れをかたくなに拒否する安子ちゃん。
日常がどうしようもなく厳しくなる中、助けるために手を差し伸べてくれたのは勇君。
目次
壊れゆく義母美都里
義母美都里さんは稔君の戦死報告が届いた半月後位から、少しずつ精神に変調をきたし始める。
息子を溺愛していたから無理もないと言えばそれまでだが、
稔君が戦死した理由を安子ちゃんのせいと決めつける。
こうなると、理屈は通用しなくなる。
人間は何か嫌なことがあると、必ずと言っていいほど自分以外に理由を求める生き物。
息子がこんな運命を辿らなければいけなくなった理由を、安子ちゃんだけを悪者にすることで自分に納得させようとしていた。
もちろん、そんな事はただの言いがかりにしか過ぎないが、雉真家の奥さんがこんな状態では、他の家族たちも苦労をせざるをえなくなってしまう。
何かにつけて安子ちゃんを目の敵にする彼女は、ついに夫をそそのかして安子ちゃんを追い出しにかかるのだ。
目の前から葬り去ることで、自分の気持ちに踏ん切りをつけようと。
初孫のるいちゃんをあれだけ可愛がっていたにもかかわらず、彼女にとっての1番は長男の稔君。
それは絶対に揺るがないことだったようだ。
義父千吉の提案
雉真繊維の社長でもある父親は、未亡人となってしまった義理の娘安子ちゃんを不憫に思っていた。
まだ、20歳そこそこの娘盛りの嫁をこのまま家に縛り付けておくのはどうかと考え始めたとしても無理からぬこと。
長男の嫁だが、すでに息子の戦死の知らせも届いたことで次の段階に進む必要があると思われた。
そこで、妻美都里の申し入れもあって、安子ちゃんに再婚話を持ちかけることに。
もちろん、物語の中で誰か良い相手がいるからと言う設定ではない。
この先、良い相手を見つけるのでその相手と再婚することを促すような口ぶり。
親心としてはまだ若い嫁をこのまま縛り付けておくのはあまりに不憫と考えたに違いない。
そして再婚するためには娘るいちゃんの存在はきっと足かせになると考えても不思議は無い。
雉真家でるいちゃんを引き取るので、身軽な状態で再婚に向けて気持ちの整理をしてくれと。
思いがけない提案で、追い詰められた形の安子ちゃん。
しかし答えはきっぱり。
お断りします😔
私は稔さんの妻で“るい”の母親。
雉真家が私の居場所。
この返答にはいささかの迷いもない。
しかし苦労することが目に見えていたんだよな。
るいちゃん
周りの事情も知らないまますくすくと育つるいちゃん。
ある時ふと気がついたら娘が立っていることに気がつく安子ちゃん。
思わず娘を抱きしめる姿は、周りの状況が厳しいだけに切ないものが。
こんなことを長く続けていては、安子ちゃんの気持ちもやがては折れてしまうことにもなりかねない。
この時代、日本全国でこういった事は起こっていた可能性が。
出兵前に駆け込みで結婚した男女がかなり多かったと聞いている。
そして終戦前後に生まれた子供たちもたくさんいた。
その時、夫がいない状態で生まれた子供も大勢いたのは事実。
うまく夫が帰ってくればいいけれど、帰ってこない場合は…。
そんな例もたくさんあったとあちこちで記述を見かける。
戦死報告が届いた場合だってかなりあっただろう。
日本全体で310万人が亡くなっているのだ。
エピソードとしては十分に考えられることだったと思う。
勇君の計らい
終戦後早い時期に日本に戻ることができた勇君。
彼は安子ちゃん親子が厳しい運命にさらされていることを日々感じていた。
彼自身も、長男がいなくなったことで、雉真繊維の跡取りとして振る舞わなければいけなくなった。
戦争によって、誰もがその運命を狂わされたと言えるだろう。
勇くんは、ある時思い立って安子ちゃんに彼なりの提案をすることに。
雉真を出て、親子2人で暮らすように。
思い切った行動に出たと思うが、今日のエピソードはここまで。
安子ちゃんも雉真にはいられないと感じていたはず。
先週の予告編から類推すると、おそらく岡山を離れるのではと思う。
その詳しいエピソードは明日以降語られる。