石橋山の戦いで決定的な敗北を喫した源頼朝軍。
そこから盛り返し、上総の国からいよいよ鎌倉入りを果たす。
物語は、軍勢を整えつつある源氏の勢力の、様々な登場人物たちの胸の内が語られることになる。
様々な味方の軍勢が合流してくるが、彼らがどれほどの熱意を持って頼朝軍に参加してきたのだろうか?
当初、数十名しかいなかったはずの兵隊が、今や膨れ上がって3万人越えの大軍勢。
しかし、にわか仕込みで集まった兵隊たちが命令直下でまとまるとも思いにくい。
北条義時をはじめ、様々な側近が骨を折った結果、軍勢は頼朝を大将にしたまとまりを整えることになる。
新しいエピソードもさることながら、平家方の勢力は逆転する立場にうろたえ、緊急な対応策も求められることに。
さて、今回のエピソードで登場人物たちの様々なキャラクターが明らかに。
目次
源判官九郎義経 物語で描かれる性格
私たちの世代では源義経は気の毒な存在として伝わっている。
兄頼朝のために骨を追って源氏を勝利に導いたにもかかわらず、その兄に疎まれて逆に粛清されてしまう。
判官九郎義経の物語は様々なエピソードとともに伝わるが、その中で一貫して語られるのは
判官ビイキ。
しかし、最近の歴史研究では源義経は勝つためには手段を選ばず、破天荒な作戦もあえて敢行する無謀なところも。
軍略家としては、かなりの凄腕だったことが見てとれる。
今日のエピソードで描かれた義経はまさに卑怯者そのもの。
自分に都合の悪いことも巧みな話術と戦略で自分のほうに運を引き寄せる。
義経は平気打倒を掲げる頼朝に合流するべく、彼もまた弁慶らとともに鎌倉を目指すことになっていた。
登場する役者たちの薬作りも気合が入っていると言うもの。
断片的な記憶しかないが義経には他にも関わりのある武将たちがたくさんいると思った。
それらの人たちもやがては描かれるようになるはず。
頼朝と坂東武者
石橋山合戦の大敗からわずか1〜2ヶ月で軍勢を立て直した頼朝軍。
寄せ集めの軍勢であることには間違いなかった。
それぞれの武将たちは皆思惑を抱えて加わっているのだ。
打倒平家は合言葉だが、皆そろばんを弾いていて、どれほどの利益が自分に回ってくるのかそのことを第一に考えていたのはやむを得ないことだろう。
源頼朝は清和天皇の流れ、血筋の良さは誰も口答えのできぬものだった。
逆の言い方をすると頼朝の本当の値打ちは血統しかないと言う歴史家も多い。
血統の良さの裏付けのためにはさらに天皇家とつながることも盛んに画策された。
それは、平清盛なども同じことを考えて自分の娘を天皇に入内させている。
同様の事は武家政権では過去から徳川の時代に至るまで盛んに行われていたと思う。
日本で血統の間違いのないところは天皇しかいない。
実質的な領土とかお金以外だと名誉と言うことになるが、その代表が皇室とつながること。
北条義時のさまざまな苦労
お神輿の上に乗った源頼朝。
そして、周りの武将たち。
さらには北条政子を代表とする女性たち。
彼らにはそれぞれ思惑があって困ったことがあれば皆義時に持ち込むことになる。
その裏方の努力を必死で頑張る北条義時。
物語の巧みな描き方で、誰が主人公なのかがうっすらとに寄ってくるような脚本。
この物語の主人公は北条義時。
源頼朝はその主君であるに過ぎない。
そして物語でなんとも傑作なのは源頼朝の女ったらしぶり。
物語の中で先週から登場するようになった亀の方
ちなみにこの頃頼朝は34〜35歳だったはず。
この時代の平均寿命を考えると、ほぼ晩年だと言えるだろう。
お盛んなことこの上ない。
英雄色を好むじゃないが、頼朝はその典型かもしれない。
平家方勢力
平家の軍勢は源氏の勢力を下回ることになる。
つまりそれだけ鎌倉方の結集は素早かったと言える。
平家についていた様々な武将が寝返って源氏のほうについた事実も隠し切れない。
梶原景時は後に源頼朝の懐刀になる存在。
大庭氏とは袂を分かったと語っていた。
ちなみに、頼朝はやがて合流する自分の弟義経を粛清することになるが、その時の手配をしたのがこの梶原景時と聞いた。
彼は様々な兵士たちの仕事ぶりを逐一頼朝に報告していたようだ。
今日のエピソードではまだそこまで語られてはいなかったが、歴史的に見れば彼はこの後、源頼朝の配下に加わる。
伊藤八重に関わるエピソード


新垣結衣分する八重は頼朝の最初の妻。
しかし、今回の1連の物語では彼女の身の上に危険が迫っているような。
政略結婚で武功の報償として妻として与えられた八重は、父親によって粛清命令が出てしまった。
彼女はどうやら夫によって殺されるような身上。
実際のところは来週この物語の続きを見るしかない。
それにしてもこの物語の出発点になっているのは平家の横暴ぶり。
そのことに反感を抱いた坂東武士たちが力を合わせて打倒平家に立ち上がるのだ。
日本が出来上がっていく頃の物語。
様々な登場人物たちの胸の内が描かれて、ある意味歴史の種明かしがされるようなそんな気にさえなってくる。