くわちゃんの独り言

音楽や映画が大好きな爺さん。長年の経験から知りえたことを発信します。

カムカムエヴィリバディ 斬られ役の矜持

 

『小野寺左近』を選ぶためのオーディション。

文四郎と虚無さんの見事な立ち回りに周りのものも驚きを隠せない。

2人の立ち回りをサンタと影から眺めるひなた。

2人の会話が不思議な説得力を持って迫る。

五十嵐ってあんなに立ち回り上手かったかな?

相手役の虚無蔵さんが上手いからや

つられて上手うなっとる😌

なるほど時代劇の殺陣ってそういうものかと妙に納得。

今日の物語はオーディションの前後のエピソードが、それぞれの胸の内とともに語られることになる。

2代目モモケンは20年前の父とのいきさつについて悩み苦しんできた。

同じことを虚無さんも。

このわだかまりが見事に解ける。

そして、傍で見ているひなたに語りかけるサンタ。

彼が2代目モモケン(だんごちゃん)とどんなふうに知り合ったかも詳しく語られることになったね。

物語の設定は1984年から1992年まで。

私にとっては昨日か一昨日くらいの感覚。

振り返る物語には不思議な信憑性が。

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大伯父とひなた

目次

2代目モモケンの20年後しの思い

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虚無さんと2代目モモケンの直接手合わせ

モモケンは父親から最後の作品の相手役を外されてしまったことが悔しくて仕方がなかった。

しかし、父親にとって左近を演じる役者が虚無蔵さんなことも納得。

それは、自分自身が父親を超えるだけの時代劇役者になるための乗り越えるべき壁。

オーディションで文四郎と虚無さんの立ち回りを見たモモケンは、自ら虚無さんの相手をかってでる。

彼は父親から当てつけで相手役を外されたとは考えたくなかったようだ。

ほかに何か大切な理由があるのではと、この物語の中でも脚本家の演出で描かれていた。

父親初代モモケンの相手役に伴虚無蔵が必要だったように、息子である自分が誰を相手役に選ぶのか、そのためのオーディションでもあった。

つまり父親と同じ虚無蔵を選んでしまっては父を乗り越えることができない。

自分にとっての左近を探しているのだとも考えたようだ。

サンタの述懐

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20年前 団五郎時代に映画館で遭遇していた

20年ほど前、場末の映画館でこの2人は遭遇していた。

サンタは目の前に繰り広げられる初代モモケンと伴虚無蔵の立ち回りを大いに評価。

その映画館でなんと当時の団五郎と遭遇。

団五郎は映画を見ながら号泣していた。

父親はなぜ自分ではなく大部屋俳優を選んだのか、そのことをいまだに悔しがっているような。

ドラマを見ていると、正直なところ今から20年前のサンタにしては若すぎるなと誰もが感じたはず。

時代劇俳優としての初代モモケンを高く評価していると語っていたサンタ。

泣いている団五郎にすぐに気がつく。

そしてそっと語りかけてたね。

父親の存在はわかりそうでわからない。

あんたの父親はあんたに相手役をやって欲しかったんやない。

自分と同じ黍之烝を演じて欲しかったんやないか?

そんなやりとりが20年前あったとはね。

サンタは父と子の関係についていくらでも語れるだろうな。

彼自身、父親金太と様々ないきさつがあったから。

息子として自分がどう振る舞うべきか悩んだこともあったはず。

その経験をもとに語れば、2代目モモケンにも的確なアドバイスができそうな。

初代モモケンの思い

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虚無蔵さんは一流の時代劇役者

初代モモケンは伴虚無蔵を高く評価していた。

いくつか理由があるだろうが、殺陣の素晴らしさ以上に光り輝くものを感じたに違いない。

伴虚無蔵は、主役を際立たせるまれに見る才能の持ち主だったから。

虚無蔵と共演すれば相手役は光輝くことになる。

映画作りの醍醐味とも言える存在価値。

そのことを言葉少なく息子にも伝えていたはずだけど。

その時息子は当てつけとしか解釈できなかった

お前よりも優れた役者だから😌

このセリフは父が息子にかけたものだが、息子にしてみれば最大の侮辱と受け止めるしかなかったようだ。

しかし、今日のエピソードの中でその辺の詳しいいきさつは様々な視点から詳しく解説されていた。

主役だけで映画は成り立たないこと。

主役を引き立てる脇役をどれだけ大切に、どれだけ入念に選ぶかで映画そのものの値打ちが決まってくることを息子に伝えたかったに違いない。

そう言われてみると大いに納得。

主役と斬られ役

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斬られ役あってこその主役

2代目モモケンは父親が経験した景色を自分の目線で確かめたかった

そのためにわざわざ自分自身が黍之烝役を演じ、虚無蔵に左近役を演じさせた。

そして、なぜ父親が彼を選んだのかを納得するに至る。

この物語が特に優れているなと思う点は、虚無蔵自身も20年間悩み続けてきたと語っていたこと。

映画がヒットしなかったのは自分自身のセリフが下手だったこととか、様々な理由を自分のせいにして、そのために今の自分があると語っていたよね。

モモケンに父親からのメッセージを伝えた後、虚無さんのなんともいえない表情がこの物語が語るべき何かを如実に示しているような切ない気持ちに。

私はスターです。

大部屋俳優なんかに軽々しく声はかけません。

そのセリフを聞いたときに、虚無さんの絵も言われぬ納得した表情。

いい作品だなぁとしみじみ納得する名シーンだったよね。

今日の物語の最後にモモケンに呼び止められるひなたの様子が描かれていた。

ここで終わっちゃうから明日のことを見たくて仕方がなくなる。

さらなる種明かしがあるんじゃなかろうか。