物語は平成4年から平成5年にかけてが描かれる。
もうこの頃だと、私の世代の人たちは皆記憶に新しいのでは。
甲子園での松井の5打席連続敬遠とか、新しい電気製品が次々と発売され始めた頃とか。
ひなたは文四郎との結婚に憧れていた。
お金がなくても仕事がなくても私はやっていけると精一杯の愛情表現。
しかし、肝心の文四郎は自分の身分の危うさを嘆いていた。
吉之丞妖術七変化に出演したことが最後の大きな舞台だったのかも。
それ以降は映画村の宣伝係とか、お化け屋敷の落武者の亡霊とか。
文四郎にとっては不本意な仕事ばかり。
彼は自分自身が侍でい続けることにこだわっていた。
要するに、もっとメジャーな存在にならなければひなたを妻として迎えるわけにはいかない。
確かに男子たるもの、女房に食わせてもらうようではただのヒモなのかも。
理想と現実の間で2人の思いはすれ違い。
目次
ひなたと文四郎
ひなたは自分自身の精一杯の愛情を捧げる。
お金がなくても仕事がなくても文ちゃんと一緒にいられればそれでいいと。
そう言いながらも彼女は少しずつ定期預金でお金を貯めつつあった。
対する文四郎は侍であることにこだわりを持っていた。
どんな仕事をしようが、自分自身が侍なことを否定するようなことがあってはならない。
それを少しひもといてみると、侍=文四郎のプライドと訳せる。
彼にとってのアイデンティティーは侍として大部屋俳優から抜け出して何とか独り立ちできるようになること。
物語を見ればすぐに気がつくことだが、文四郎はひなたの真心にどうしても応えてあげたい気持ちがある割には、不本意な自分の境遇では釣り合わないとさえ考えているようだ。
男子としてひなたを守らなければとの思いが先へ進むことをかたくなに拒んでしまう。
確か作家の大江健三郎だったろうか有名な言葉があるんだよね。
女は生活に生き、男は存在に生きる
初めてこの言葉を知ったのは、多分この物語の頃だったじゃなかろうか。
男と女の気持ちの差を知る上で核心をついていると感心したんだよな。
ひなたは、たとえ貧乏しても2人だけでいる時間を大切にしたいと考える。
文四郎は男子としてひなたにふさわしい存在でいることを考える。
お互い相手が大切であるが故に、気持ちに正直になればなるほどズレが生じてくるんだよな。
すみれさんの驚きの行動
物語の中でアクシデントのような事件が紹介されていた。
美咲すみれさんは破天荒将軍を演じた星川凛太郎と結婚を発表した。
物語の中でこのエピソードは必要なのかなと思いつつも、なんとなくありがちな話にも思える。
すみれさんはどう考えてもアラフォーだよね。
対する星川凛太郎も似たような年頃。
この頃、熟年同士の離婚だったり、結婚だったりが世の中でちらほら見えていた頃だね。
そういった世情も微妙に反映されているような。
物語の中にいっちゃんがごく普通に主要なキャラクターで登場しているのも味わい深い気がする。
文四郎の苦悩
文四郎は、待てど暮らせど鳴かず飛ばずの自分の境遇がそろそろ我慢できなくなってきた。
自分の仲間たちが、大部屋俳優を脱却して時代劇で主役を演じるようにもなってきている。
それに比べて自分は未だに映画村の案内係とか、
お化け屋敷の落武者。
物語の中で虚無さんとのやりとりが語られていた。
自分が7年間鳴かず飛ばずでいるのに虚無さんはおよそ30年間斬られ役でずっと継続している。
よく辛抱できますね😨
虚無さんの答えは的を得たものだった。
たとえ傘張りをして暮らしたとしても腰に刀を下げていれば侍。
いくら刀を振り回しても、女子1人受け止めてやれないのでは侍とは言わぬ。
おひなを泣かすな😡
その時は‼️😡
ぐずぐずして前に進めない文四郎に強烈なダメ出し。
殺陣の稽古は休めば腕が鈍る。
道場へ出てきてきちんと修練を積むように😤
そんなやりとりがお化け屋敷の中で。
しっかり扮装した装束をつけた文四郎に対し、何のメイクもしていない虚無さん。
もともと怖い顔立ちなので、暗がりの中にそのまま立っていれば良いとの指示らしい。
脚本家の遊び心が出ているシーン。
桃太郎の誕生日
桃太郎は相変わらず高校野球に夢中。
あの松井秀喜の高校生ながら5打席連続敬遠のニュースもちょうどこの頃。
そういえば結構ニュースになっていたね。
彼の誕生日は8月21日で、ちょうど夏の暑い盛りだった。
モモケンが自分の車でるいを病院まで運んでくれたんだよね。
その桃太郎は野球のほかに興味があると言えば小夜子ちゃん。
さて大槻家では彼の誕生パーティーをすることになったので、文四郎も呼んで盛大にやろうと言うことに。
しかし、悩みをいっそう深めた文四郎はひなたとの約束の場所にはいなかったのだ。
今日の物語はここで終了。
今週のエピソードは、伏線回収と言いながら、結構新しい事実も発表されたりして目が離せない展開になっている。