1週間の締めくくりとなる今週のカムカムエヴィリバディ。
わずか15分のドラマの中に驚くほどの技法を尽くして物語を描いていた。
驚くべきは以前から採用されていた妄想シーンが、夢の中でありながら様々なメッセージを乗せて過去から未来へ物語を紡いでいく。
しかも、念を入れて物語は2つ3つのエピソードを同時進行で描こうとする。
るいと錠一郎が神社でお参りしているシーン。
そしてるいの部屋で昔の持ち物を探しているひなた。
2場面の物語が同時に描かれていたが、この2つはどれも夢の中の幻とも言えるシーン。
神社では錠一郎はるいの父 稔に変身。
50年の時を超えて、娘に親世代が抱いていた夢をもう一度語って聞かせる。
そして、ひなた。
戦後すぐに始まったカムカム英語の大切な部分を、直接インスピレーションで抗議してもらえたような。
平川唯一さんを演じたさだまさしが英語を学ぶ上での最も大切なレクチャーを授けることになった。
ネットでは既に来週の予告編も公開されている。
伏線回収はいよいよ核心部分に近づきつつある。
目次
雉真稔からのメッセージ
ディッパーマウスブルースからの帰り。
地元の神社にお参りに立ち寄ったるいと錠一郎。
ちょうど時間はお昼正午のサイレンが鳴るころ。
日にちは8月15日終戦記念日。
ちょうど50年前の昭和20年8月15日は天皇の玉音放送が正午に全国放送された。
その歴史以来8月15日は、日本では半旗を掲げ1分間の黙祷を捧げるのが習わし。
その風習は今でもしっかりと受け継がれている。
るいは神社でお参りしたときに、隣に立っているはずの錠一郎が父稔に変わったことに気がつく。
真っ白い軍服姿でるいの横に立つ稔。
娘に優しく語りかける。
るい❣️
どこにでも自由にいける世界に、お前はいるんだよ😍
これは戦死した父が錠一郎の姿を借りて娘への心づくしのメッセージ。
物語設定としてこの展開は驚くほど斬新で新鮮。
朝ドラはわずか15分で物語を展開する必要が。
しかし、最近の朝ドラは驚くほどの完成度で、何度も見直してその場面を確認しなければ正確な情報を得ることができない。
今日のエピソードは、わざわざこのときの撮影のために稔役の北村北斗が撮影に臨んだと聞いた。
そういえばタイトルコールの名前にもそのままの名前で載っていたので、このためだけに登場したと思っていいだろう。
るいへのメッセージは、自分が知りたいと思うことを今なら自由に思う存分できると語っていた。
驚きと感動と、何よりもびっくりするほどの設定がぐいぐい胸に迫ってくる素晴らしいシーン。
平川唯一さんからひなたへ託すメッセージ
正午のサイレンが鳴る頃、神社にいる両親とは別にひなたはかつての母親の過ごした部屋にいた。
そして、ここでも驚く現象が現れてくる。
電源の繋がっていないラジオから昭和20年8月のあの玉音放送が流れてくる。
さらにはカムカム英語の平川唯一さんのリアルタイムの放送も。
それは、全国ネットの放送の形をとりながらひなた個人へ語りかけるもの。
おかしな言い方かもしれないが、英語を日本人を励ますために広めようとした神様が、英語をなんとか話せるようになりたい日本人に時を超えて語りかけてくる。
そんなふうにも感じ取れた。
そしてカムカム英語と銘打った名物の放送はひなた個人を対象に念入りに行われたのだ。
英語を話せるようになりたくてうずうずしていたひなた。
聞くこと全てが体の中に染み行ってくるような不思議な感覚。
赤ちゃんの時から英会話を学ぶのであれば、何の問題もなく毎日少しずつ身に付いていく。
しかし、大人になってからはそううまくはいかない。
ここは、ハジを偲んで赤ちゃんに学んでみては。
心得として
焦らないこと
毎日少しずつできることから
赤ちゃんになったつもりで毎日積み上げていく
ひなたへの核心部分とも言える大切なメッセージ。
ひなたはるいの押し入れの中からカムカム英語のテキストを発見していた。
すでにこの時亡くなられて1周忌を迎えた平川唯一さんと霊的に波長が合っていたかもしれない。
今日のエピソードは、勇おじさんと雪衣おばさん、桃太郎がテレビの前できちんと立ち上がって黙祷するシーンも同時進行で描かれた。
物語にとって、終戦前後のエピソードが驚くほど大切なアイテムなことが、ここで語られたと言える。
本来穏やかに継続できるべきストーリーは、戦死したり、前後の様々なアクシデントで命を落とした人がいることが重要な要素になっている。
今日の物語の中では、15分の放送の中でこの幻想的なシーンが3分の2以上の時間を費やして詳しく語られたのだ。
るいと錠一郎
るいにとってトラウマになっていた母との別れ。
るいも安子もお互いに誤解があることをわれわれはよく知っている。
それは今の物語のストーリーではるいが自分に誤解があるかもしれないと思わせるような状況証拠が集まりつつある。
娘は過去の忌まわしい出来事を忘れたいと思うあまり、過去の記憶を封印してきた経緯がある。
本来覚えているはずのことも思い出すまいと心の奥にしまってしまえば、記憶はどんどん薄れていくもの。
今回呼び醒まされた記憶に様々な証拠が付き合わされることになった。
母親は娘の自分を捨てたわけではなかったのかもしれない。
その疑問をどうしても明らかにしなければならない。
この決意はとても重いと言える。
かつては母親を拒絶し、1人で生きることを心に決めていたはず。
しかし、家族を持ち、おじさんを送り、故郷で自分の詳しいルーツも知ることになった。
それはこの先、自分の目で確かめる必要があると。
自分の妻の思いを受け止めることに驚くほど寛容な錠一郎。
彼の懐の深さが今のるいの宝物でもあるかも。。
物語が向かうべき未来
すでにネットでは来週の予告編が公開されている。
しっかりと確認させてもらっているので、明日アップする1週間取りまとめのブログで紹介してみたい。
今週、物語は驚くほどの展開と、伏線回収でさらに大きな広がりを見せた。
今平成5年6年頃のエピソードとして描かれているが、この先さらに何年か過ぎることなんだろうな。