鎌倉幕府は成立時には、様々な勢力のぶつかり合いが。
歴史的には、日本ではじめての武家政権と言われながら、内実は権力争いと、疑心暗鬼。
特に当事者である源頼朝は幕府の基盤を安泰なものにするために、自分の身内といえども粛清せざるを得なかった。
今日のエピソードでは頼朝の弟、源範頼の粛清に至るまでの流れと、頼朝の娘大姫の悲劇が中心に描かれる。
歴史的な事実を中心に描かれたとされる物語だが、当時生きていた人たちがどんな胸の内で暮らしていたかを考えると、あまりに残酷で気の毒と思う気持ちを禁じ得ない。
それにしても源頼朝は、これから後の様々な武家政権、特に徳川家康等は大事絶賛していた武将だが、権威を保つためにどれだけの犠牲を強いたのだろうか。
脚本家の筆力によってユーモアたっぷりな部分もあったが、物語はあまりに残酷な展開。
目次
疑惑


息子万寿のお披露目で催された巻狩にて暗殺未遂事件が起こった。
情報がきちんと伝わりにくい時代。
鎌倉では頼朝が死んだものとして、源範頼を頼朝の後継に選ぶための策略が進んだ。
もともと範頼に野望などあるはずもなく、周りからそそのかされてやむなく起こした行動と言える。
あちこちで手を回して助命嘆願を願い出たが、結局、伊豆に流されることに。
この後、範頼は頼朝によって暗殺されることになる。


疑わしきは粛清がこの時代の習わしだったような。
頼朝の焦り
頼朝は鎌倉幕府を盤石なものにしたかったと言える。
そのためには朝廷とつながって、親戚関係になるのが1番と考えたが、自らの足元が揺らいでいるのでは困る。
頼朝自身は自らの兵力を持っているわけではない。
主に坂東武者たちの助けを借りてここまで勢力を拡大してきた。
この先、自ら獲得した権力を後世に伝えるためには、少しでも問題のありそうな身内は粛清して、他のものにシメシをつける必要が。
頼朝はこの時代、目覚めがあまり良くなかったような描かれ方をしていた。
おそらく遠からず当たっていただろう。
この時すでに、50歳間近な年齢で、平均的なこの時代の寿命から言えばかなり長生きだと思われる。
自分の行く末を心配したとしても不思議は無い。
大姫と政子
大姫はかつて許婚だった木曽義高のことがいまだに忘れられない。
しかし、自分のこの先やるべきことを考えれば両親のために何か役立つことを考えたのは健気なこと。
入内を受け入れるべく、京都に赴く。


それぞれが策を弄して自らの勢力を伸ばそうと、あらゆる足の引っ張り合い。
そのような綱引きの中で朝廷は存在していた。
事情を知っていた頼朝は様々な賄賂で、自らの勢力を伸ばそうと考えたが、思い通りうまくいく話でもなさそう。


物語を見ているにつけ、この時代の世情とはこんなにもあさましいものかと呆れかえるばかり。
どちらかと言えば、貴族としての振る舞いが巧みな頼朝は、朝廷との結びつきは悲願でもあったようだ。
坂東武者の矜持
坂東武者は今や北条の1人勝ち。
他の勢力は粛清されたり、頼朝の子飼いの犬として牙も爪も抜かれたような状態。
三浦義村はんそんな現状に甘んじることなく自分自身の勢力拡大を諦めてはいなかった。
自分がどう振る舞えばいいのかをよくわきまえていると言える。
悲劇から粛清へ
この時、鎌倉幕府では大姫の入内計画の後、肝心の大姫がなくなる悲劇に見舞われた。
大姫が亡くなったのは1197年。
鎌倉殿源頼朝が亡くなるのは1199年。
今日描かれたエピソードのわずか2年後に幕府の代替わりが行われるのだ。
頼朝はこの頃、既に心の中に闇を抱えていたと言える。
自分の立場を考えれば、身内だからといって処分を甘くするわけにはいかぬ。
自分の娘がなくなったことが、範頼の恨みから生じるものと信じたらしい。
そういうことも理不尽と片付ければそれまでだが、
この頃はもののけも怨霊も全て実在と思われていた。
怨念を送ったものを粛清するのは当たり前のことだったのかもしれない。
物語的に見て、そろそろ源頼朝の退場が近いと考える。
北条義時の活躍の場はむしろ源頼朝が亡くなった後の方が本格的に描かれてしかるべき。
また、物語だと政子の本当の活躍の場はおそらくこれからだろうと思うので。
今後の展開が待ち遠しい。