1週間 沖縄を舞台にして描かれたちむどんどん。
既に物語としては折り返し地点を過ぎていると思われるが、物語の原点とも言うべき戦争体験が詳しく語られた。
本当は、もっと時間をかけ丁寧な取材や検証で描かれるべきとの意見も多いが、過去から未来への沖縄県民の伝えるべき真心が伝わってきたと思う。
そして、物語に登場するおもだった人たちは皆、沖縄になにがしかの縁を持ち合わせていた。
比嘉家の暢子を始めとする家族たち、また彼らと接する大勢の人たちもすべては沖縄の戦争体験のエピソードから思いを紡いできたと言えるだろう。
彼らの伝えるべき心の象徴が「ウークイ」。
本土ではお盆の行事に相当するが、沖縄でも三日間先祖をお迎えしてまたお送りする伝統行事として知られる。
その行事に思いを込めて、登場人物たちの過去が歴史の中に存在する様子が描かれる。
出会いは今も昔も変わらずあるけど、今回は主人公暢子と和彦が意気投合する様子が物語の進むべき未来として象徴的に描かれたと思う。
目次
物語の舞台は沖縄
1978年8月18日ウークイの最終日。
行事の三日間を締めくくる最後の日に、送り火を炊いてご先祖を再びあちらの世界にお送りする。
その行事に合わせたかのように家族全員が沖縄に集合。
家族それぞれは、様々な目標を持ちつつ、実は問題となる課題も抱えていた。
暢子は本当は大好きな和彦との交際を諦め、仕事に専念しようとしていた。
良子は夫との関係がいまひとつ進展しない。
親子3人が仲良く暮らせるよう夫の本家に認めてもらうしかない。
歌子はお父ちゃんと同じ沖縄民謡の歌手になろうと一歩を踏み出す。
母親優子は以前から好意を寄せてもらっていた善一さんのプロポーズをお断りすることになった。
そして、長男の賢秀は自分の名前の言われも聞くことができて、再び仕事をしようと決心するに至る。
母親が全力で告白した父親との馴れ初め。
そして今でも決して消えることのない戦争の記憶。
思い出そうとすると自分がおかしくなってしまうので、今まで子供たちに語って聞かせることができなかったらしい。
両親(優子と賢三)の記憶
優子は沖縄の上陸作戦の時、自分の家族全てを失ってしまった。
とりわけ幼い弟が自分の腕の中で息を引き取るのを見届けるしかなかったこと。
その事は今でもトラウマになっていて、思い出すのも辛いような。
賢三はいちど東京に出て叔母の房子と組んで料理屋をやっていたようだ。
一旦沖縄へ戻った賢三が再び東京に戻る事はなかった。
沖縄で優子と再会できた賢三は結婚して家庭を持つことになる。
2人の様子が物語の中で詳しく語られていたと思う。
ストーリーを組み立てるのも大変な作業だろうなと勝手に想像していたが。
戦場としての沖縄
嘉手刈老人が物語に登場したことで沖縄と東京を結びつけるきっかけになっていたはず。
彼は沖縄上陸作戦の時洞窟を逃げ歩いて必死だった、その時1人の少女と出会う。
その時、激しい艦砲射撃の下その少女とは別れ別れに。
その彼女をどうしても探し出したくて遺骨の発掘作業を始めたと語っていた。
そのことが新聞記事に載ったことで、優子や賢三の知るところとなって、さらには優子から房子へと情報は伝達する。
洞窟の中で亡くなった人はかなり多かったはず。
そして、大勢の人がその事実を知ることで寄付をしてくれるように。
それは言ってみれば、戦争で亡くなった人たちへのお弔い。
戦争で亡くなられた方はお気の毒以外のなにものでもないが、生き残った人たちもどれだけの苦しみと痛みを今に至るまで持ち続けているのか。
物語が描きたかったのはこの辺の事情だろうと推察。
朝ドラは昔からの作品を考えてみると戦争中のエピソードが描かれることが多かったと言える。
最近のどの作品を振り返ってみても必ず戦争中のエピソードが。
今回の物語もそこは絶対に外せなかったようだ。
今週のエピソードで脚本家や制作スタッフの想いの丈が語られたのかも。
幸せになることを諦めてはいけない
今週の一番の目玉は暢子と和彦が意気投合して結婚を誓い会う場面だろう。
2人とも紆余曲折があって、この場面に導かれたと言える。
そして、わずかながら来週の予告編が。
どうやら2人の結婚は簡単には進みそうもないような雰囲気だね。
さらには沖縄で描かれる良子の家族の様子。
予告編はわずかな時間だけだけど、来週の物語の展開の様子を探るには十分な情報源。
物語に登場した人たちがどんな未来に向かうのか物語の本来のストーリー展開はこれからかもしれない。