くわちゃんの独り言

音楽や映画が大好きな爺さん。長年の経験から知りえたことを発信します。

ぼけますので、よろしくお願いします 〜おかえりお母さん〜 続編が持つパワー

 

前回の作品を見たのが4年前。

舞台は広島県の呉市。

一番新しい情報で言うなら、ご主人100歳、奥様91歳の夫婦の物語。

奥様がアルツハイマー病を発症したのが2014年。

普通は介護サービスを受けるべきところだが、当時90歳を超えていた父親が自分が介護すると言って実践していた。

その様子を映像クリエイターの娘さん

信友直子さんが映像として紹介したのがきっかけ。

もともと映像クリエイターとして活躍していた彼女が撮影とナレーションその他を担当。

映画はドキュメンタリーの形で描かれていた。

今回、続編の形で見せていただいた作品は上映時間がおよそ1時間40分ほど。

前回の作品を引き継ぐ形で描かれつつ、どこからが新しい映像なのか境目のない形で始まる。

しかし、前回と明らかに違う点はアルツハイマー病の奥様は映画の中ではなくなるまでが描かれていた。

ちなみに、2020年、6月13日奥様は91歳でお亡くなりに

この映画は自分自身の人生と重ねて見てしまう物語。

私なりの考察をしてみたい。

にこやかな老夫婦 しかし、物語は壮絶を極める💦

目次

映像作家 信友直子

東大文学部卒 映像クリエイター

彼女は、子供の頃から才媛だったんだろう。

父親は読書が趣味で耳がちょっと遠いけど、愛情いっぱいで娘を育てた

40歳で結婚した父親は子供ができるとは思っていなかったらしい

ちなみにこの物語の作者信友直子は1961年生まれ。

私より8歳年下で、現在61歳。

大学卒業後、森永製菓に入社したが、その後映像の仕事に関わることになる。

自分自身で本を書くことも。

45歳の時に乳がんにかかって摘出手術を受ける。

その時の様子が映像としても残っている。

抗がん剤治療で髪の毛も抜け落ちた 奥にいるのが母親

彼女の作る物語はほぼフィクションなしのドキュメンタリー。

淡々とカメラを回すやり方と穏やかな語り口は見ている者を安心させる。

この時信友直子さん45歳、母親は78歳と紹介されていた。

ちなみにお父さんは9歳年上なので87歳だったろう。

老夫婦の物語

母親は85歳でアルツハイマー病を発症 在宅で94歳の父が支え始める

物語で主要な内容のすべてはこの老夫婦についての語り。

この頃、まだ東京で仕事をしていた娘は、時々里帰りの形で呉の両親を訪ねていたようだ。

2014年ごろから母親に異変が

買ったことを忘れてひたすらりんごを買い続ける

心配になった娘が母親を専門医に見せたところがアルツハイマー型認知症と診断。

しかし、本人はいたって普通と感じている。

周りの人がボケていると指摘するのでそうなのかな?と思う程度。

アルツハイマー病の特徴がよく出ているなと思う。

洗濯を始めるが、あまりの疲労感にその場に寝転んでしまうことも

実はこの辺の映像は前作でも見たような気がする。

寝転んだお母さんの横をトイレに行くお父さんがまたいで行くシーンが記憶に残る。

普通ではありえない映像かもしれないが信友家では当たり前の事のようだ。

実はこの頃のお正月に花火を見ながらお母さんが語った言葉。

あけましておめでとうございます

ぼけますので、よろしくお願いします。

この言葉が作品のタイトルに選ばれる。

今回の作品も前作を補填する形で作られていた。

2014年に発症したアルツハイマー病。

2017年には脳梗塞を発症。

左半身に重篤な麻痺が残ってしまった。

その後さらに脳梗塞が再発。

そのまま寝たきりになってしまう可能性も指摘される。

実はこの時、大抵の人ならしかるべき施設にお願いすることを考えるはずなところが、こちらのご主人は自分が看病すると絶対に譲らなかったそうな。

耳の遠い夫とアルツハイマー病の妻。

夫婦2人の噛み合わない会話は見ていて切なさを感じてしまう。

バイバイ😅

長年連れ添った夫婦は、最後まで一緒にいようと他の人に任せることをよしとはしなかった。

そんな両親を温かく見守る娘。

何といっても一人娘なんだよね。

他に誰もいない3人家族。

家族の絆はこれほどにも強いものかと改めて思い知らされる。

脳梗塞で入院した妻を、片道1時間かけて毎日お見舞いする

ご主人は、妻の抱える障害を自分のこととして捉えていた。

そうすることが自分にとっては当たり前のことだと言わんばかりに。

明日は我が身

認知症の妻を支えるため98歳で筋トレを始める

ご主人は娘から母親のことをしかるべき施設に預けてはどうかと提案を受けたが、頑として聞き入れなかった。

自分が面倒を見る。

そんな父親を決して否定せずに素直に受け入れる娘。

98歳の父親がわざわざ筋トレを始めてきたるべき介護に備えようとしている。

見ていて切なくなるようなシーンだった。

アルツハイマー病は病状に波がある事でも知られる。

映画を見ていてびっくりしたのは死の間際でも妻は懐かしい自宅とか娘とか夫のことをきちんと理解していた。

普段は意識が混濁していてほとんど何もわからない状態だと思いきや、記憶に残った部分に触れるとたちまち過去の経験が蘇る。

映画の後半で描かれたシーンだけど、この内容は驚くほど身につまされる。

ひょっとしたらこの妻とか夫の姿は自分自身と被るのではないかと思った人も多かったのでは。

画面を見ていて私は人ごととは思えなかった。

同じ立場になった時、自分はどんな行動をとるのだろう。

と言うよりも、自分は何をどんなふうに感じるんだろう。

それはとてつもなく重く厳しい現実なような気がする。

感想とまとめ

映画の最後のシーン 感謝の言葉とともに

最後の方で父親の感想が述べられていた。

40歳の時、9歳年下の妻と結婚。

結婚が遅かったので子供などできないと思っていたところが、とても良い子を授かったとかみしめるように述懐。

このときの様子が私的にはとてもコタえたと思う。

ネットでいろいろ検索してみると信友さんはラジオの番組のパーソナリティーも行っていた。

久しぶりに見て納得できる映画だったと思う。