インターネットが趣味の私にとってFacebookなどのSNSも盛んに活動。
その中の映画大好きグループに所属しているが、
そこでレ・ミゼラブルの投稿をしたところが大勢の人から反響を得た。
この映画には驚くほどのファンが。
私もその1人。
過去に見た映画の中で感動した映画を5本上げろと言われたら、多分間違いなくカウントされる。
この映画が大成功した理由を考えてみると、なんといってもライブ録音で行ったこと。
このことに尽きると言える。
その特徴は一言で言い表すと驚くほどの臨場感。
今までのミュージカルの印象をがらりと変える作品だったと思う。
私なりの思い入れも含めてもう一度検証してみたい。
目次
監督トム・フーパー
この監督を調べてみてわかったことがある。
まだ50歳前で驚くほど若い。
彼が監督作品で有名なものは3つ
英国王のスピーチ
レ・ミゼラブル
リリーのすべて
実はこの3つの作品は私の中でも驚くほど評価が高い作品。
イギリスは映画芸術など脚本、監督、俳優など世界的な有名人を多数輩出している。
それはジャンルを問わず、活躍している人物が世界のあちこちにいると言うこと。
伝統は、私の個人的な意見だがシェイクスピアから始まっているのではと考える。
ここで演劇の下地となるものが歴史的に培われたのではと。
トムフーパーは高校時代から映画監督を目指していたと聞いた。
特にオックスフォード大学を卒業後は最初の映画監督デビューを果たしている。
そしてテレビのプロデューサーなどで手腕を発揮した後、本格的に映画監督の道に進んだようだ。
いきなり新人がチャンスを与えられるほどこの世界は甘くは無い。
所属していた場所で常に結果を残せてきたこと、また活動そのものが非凡だったことが彼の躍進につながったのだろう。
ライブ録音するミュージカル映画
たいていのミュージカル映画は映画の最中に出演者が歌を歌うことになる。
1人の場合や大勢の場合、状況はそれぞれ異なるが、
用いられる撮影方法はあらかじめ録音だけきちんと済ませておく。
当然劇中で音楽が流れるのだが、その時俳優たちは皆口パクで演技をする。
どんなにうまくやっても、リアルタイムではないので当然整合性に違和感が生じ、ここを持ってミュージカルが嫌いと言う人も大勢いるのが事実。
もちろんミュージカルでも名作と呼べるものは結構あったりする。
私が学生時代から見てきた中では、ウエストサイド物語、マイフェアレディなどは場末の地方の映画館で見ている。
大学生になってから、サウンドオブミュージック、ラマンチャの男などに触れてそれなりにミュージカル映画にも接してきたつもりではいた。
しかし、違和感があるのがミュージカル映画との認識を払拭するには至っていなかった。
今回取り上げるレ・ミゼラブルはライブ録音で今までの手法とは全く別なものが採用されている。
俳優はリアルタイムで歌い演技しているのだ。
そこには複雑な、テクニカルな課題をクリアしている苦心の賜物が存在している。
百聞は一見にしかず。
どんなものなのか見てみると一目瞭然なもので。
この演技は(歌唱は)圧倒的な説得力を持って迫ってくる。
それは説得力を超えて破壊力と言い換えてもいいかもしれない。
彼女はこのシーンでアカデミー賞の助演女優賞を受賞しているのだ。
これ、どうやって撮影したか大いに気になるところ。
実はオーケストラの伴奏は後付けなのだ。
このシーンでアンハサウェイはイヤホンからのピアノ伴奏をもとにこの歌唱をリアルタイムで歌っていた。
ちなみに彼女の耳にイヤホンは写っていない。
これはCG処理して消しているのだ。
このピアノ伴奏を担当したピアニストは、メイキングのDVDには載っている。
ちょっと痩せた感じの男性のピアニストで、レ・ミゼラブルのすべての歌に彼の伴奏がついていたのだ。
劇中で歌っている俳優たちは皆、彼のピアノをもとに歌っていた。
音源としてその時の歌唱を採用して、後からオーケストラの伴奏をつける。
録音中は、オーケストラの前に大きなスクリーンが用意されていて一定間隔で動く縦線が画面を行ったり来たり。
それがメトロノーム代わりだったと聞いた。
なんといっても大変なのは、ピアノの伴奏で役者たちがリアルタイムで演じているところを撮影し録音すること。
余計な音が入ることを極度に嫌った結果、床には防音のマットがきちんと敷かれていたらしい。
せっかくのピアノ伴奏も実際の映画に反映される事は100%ありえない。
それはあくまでも歌手を歌いやすくするための参考意見のようなもの。
あれだけの歌となると役者がアカペラで歌うことなど不可能なので。
レ・ミゼラブルの種明かしは、DVDを購入すればメイキングとして1枚余分に付録が付いてくる。
そこに詳しく語られているんだよね。
出演者たちの思い入れ


マリウスを演じたエディ・レッドメインはこの映画の数年後、リリーのすべてでトランスジェンダーとなった配役を演じている。
この映画もかなり有名で、wowowで見たと思った。
主役の彼は結婚していてその奥さんをアリシアヴィキャンデルが演じていて彼女この作品でアカデミー賞助演女優賞を受賞しているはず。
コゼットのアマンダ・セイフライドもその歌唱が認められたらしい。
彼女が小鳥がさえずるような可愛らしい歌い方をすると表現されていたが、まさにその雰囲気にぴったりの歌い方だった。
そしてエポニーヌを演じたサマンサ・バークス。
彼女も歌手として名の知れた実力者。
イギリス出身だが彼女の通っていた高校の先輩にジュリーアンドリュースやサラブライトマンがいる。
あの大スターたちの後輩と言えばよくわかる。
ちなみにエポニーヌ役には大勢の著名人たちがオーディションに参加。
有名どころではテイラースウィフトなど。
しかし、映画の制作スタッフはどこまでも役柄の印象を大切にしたようだ。
エポニーヌは叶わぬ恋に身を焦がして、自ら命を投げ出すのだ。
そんな可憐で切ない役柄を演じられる女優と言えばおのずと制限がかかるだろう。
ミュージカル映画を考えてみる
ライブ録音で作られたミュージカル映画はレ・ミゼラブル以外に私は知らない。
とにかく技術的な課題がとてつもなく大きい作り方だと言える。
しかし見ているお客さんからすれば、臨場感とか息遣いとかそういったものが伝われば圧倒的な説得力を持つのは言うまでもない。
これからのミュージカル映画はこの手法が多用されるのではないかと考えるが。
ただし、大変な苦労を必要とする事はあらかじめわかっていることなので、どれだけの人がどんなテーマでどんな作品に取り組むのか、これからの映画を注目して見ていたい。
私はまだ本格的な舞台の鑑賞を経験したことがないが、舞台とどんなふうに違うのかも大いに興味の湧くところ。
そんなことを考えると楽しみの種は尽きない。