物語はいきなり大事件勃発から始まる。
幼なじみの貴司君が行方不明に。
昨日、岩倉家に駆け込んできた隣の「うめず」の雪乃さんは息子の失踪に慌てふためいていた。
どうやら、貴司君の勤めていた会社にも電話をしたらしい。
3日前に退職届けを出したまま、いなくなったとのこと。
どんな事情があるにせよ、周りに何の報告もなしにいきなりいなくなるって事はそれなりの理由があるんだよね。
幼なじみの舞は貴司君のわずかな異変を無視する形で、そのまま放っておいたことを後悔。
平静を装っていたけど貴司君には明らかに疲労感が漂って、いつもとは違う雰囲気だった。
今日の物語は“空を飛ぶエピソード”は一旦お休み。
自分の夢を叶えるため、必死に努力をしていたことで、周りの人への配慮が欠けていたことを悔やんでいる舞の様子が描かれる。
同じことを久留美ちゃんも。
彼女も父親との関係で、悩みを抱えていた。
物語の進行速度は驚くほど速く、貴司君から舞宛に電話が。
なんと、彼は五島にいるとの事。
それは、幼い頃、舞が五島から貴司君宛に送った絵はがきの場所を見たいかららしい。
舞と久留美ちゃんは貴司君に直接会うために五島まで赴くことになる。
目次
貴司君失踪
今までも仕事が忙しい時は、泊まりがけで会社にいたこともあった貴司君。
しかし、その時は必ず家に電話があったそうな。
今回は何の連絡もなしに、どこかへいなくなってしまった。
会社に電話をして確かめてみた母親の雪乃さん。
会社の話では、3日前に退職届けを出してそれっきりとのこと。
はっきり言うが、この時代は様々な業界でブラック企業、その他の話題は持ちきりだったと思う。
私自身も長く会社勤めをしたので、会社の事情や働く者の事情など、身につまされることが多い。
この物語で描かれた貴司君は、技術職と言いながら営業も任されるような過酷な労働環境で仕事をしていた。
営業は彼が1番苦手な分野だったんだろうな。
ノルマを達成できない彼は、事あるごとに会社から呼び出しをくらっていた様子もしばしば登場していたね。
さらに、最近の事情としては、彼の唯一の逃亡先デラシネが閉店してしまった。
本当は会社勤めなんかせずに文学のことを研究したかったんだろうと思うけど。
お金にならない将来は、親の手前、どうしても子供としては積極的には選べないよね。
お好み焼き“うめず”
母親としては、何かあったら逐一報告してほしいと思うのはよくわかる。
しかし、子供は親離れできていなくても、親には遠慮する生き物の部分もあるし。
貴司君は家の事情を考えると、自分の好きなことを選ぶわけにはいかなかった切ない事情が。
店をやっているこちらのお宅では、息子の話をじっくり聞いてやれる暇何かあるわけもなし。
この時代も、今の時代も、全国でこういった事情の親子関係は当たり前のようにあるんだなと少し悲しい気持ちになる。
世の中は複雑多岐になった割には、個人主義が当たり前だからね、親子といえどもそれぞれの気持ちを考えたんなら、あまり干渉できないようにはなっているし。
貴司君の抱えていた闇
必死に頑張っていた貴司君だったが、
デラシネの閉店以降は逃げ場がなくなったような。
仕事で、朝から晩まで責め続けられて、居場所も何も息をするのも苦しかったに違いないのだ。
追い詰められる、彼の気持ちが自分の胸に手を当ててみても何となく理解できる。
技術職と営業職は、基本的に役割が違うので兼任してみたってなかなかうまくはいかないね。
誰の電話にも出なかった貴司君だが、舞にだけは近況報告をしようとしていた。
子供の頃に見たかった景色があるとのこと。
子供の頃の思い出で、かつての舞から送られた絵はがきの景色を一度見てみたいと思っていたようだ。
追い詰められた人間がかつての記憶をたどる旅なんて、周りで見ている人から見れば、ひょっとしたら何かしでかすんじゃなかろうかと心配になる気持ちもよくわかる。
本人は、そんなつもりはないようだけど。
舞の後悔
舞は自分の航空学校入学のことで、頭がいっぱいで貴司君のわずかな異変に気がついてやることができなかった。
そのことを激しく後悔する。
さらには久留美ちゃん。
彼女もなんとなく元気のない貴司君の事は承知していた。
母親もいない自分でさえ元気にできるんだから、自分ならきっと貴司君の話を聞いてあげられる。
そう思ったようだね。
見た感じかなり深刻そう。
しかし、お互い相手の存在をきちんと確認できた事は良かった。
幼なじみ3人組の心の通いあいは他の人との関係とは別な印象がある。
どうやら、久しぶりの五島。
昔なじみの人たちともあったりするんだろうか。